アメリカを知ろう:軍隊と戦争(前編)
こんにちは、Erinaです。
みなさんは、アメリカという国を考えたとき、どんなことを思い浮かべるでしょうか?
多様性?
移民の国?
ハリウッド映画?
色々とありますよね。
アメリカに移住したいと考えているみなさん、アメリカにあるどんなものが魅力的でしょうか?
英語
国際社会
機会(Opportunity)
自由
・・・などなど、アメリカには、日本人から見て異質で魅力的なものがたくさんあることは間違いありません。
しかし、自分にとって魅力的なものだけを見てアメリカにやってくると、実際に来てカルチャーショックを受け、ひどい場合は心が折れてしまうこともあるわけです。
そこで、今回は、アメリカという国の根本的な部分、つまりアメリカで生まれ育った人間なら、自然と備えていく部分に触れていける記事を書こうと思います。
これはたとえば、日本にやってくる外国人が、日本の文化やしきたりをきちんと学び、日本という国をリスペクトすることと同じです。
家に入るときは靴を脱ぐとか、食べる前には「いただきます」と言うとか、私たちが当たり前にやっていることです。こういう当たり前のことをできるかできないか、知っているか知らないかで、周りの人たちを不快にさせることが減りますよね。
そしてこのしきたりを、単純に「靴は脱ぐものですよ」と教えるのではなく、どうしてそうするのか?その文化の美しさはどこにあるのか?というところまで知ってもらいたいと思いません?
日本からアメリカにやってくる私たちも同じだと思います。
「アメリカはこういうものだ」と鵜呑みにしてしまうのではなく、どうしてこういうことが起こるのか。背景となる歴史や心理はどういうことなのか。
そういうことを知ることで、アメリカという国を深く愛せて、アメリカ生活をより楽しむことができるからです。
そんなわけで、今日のテーマは「軍隊と戦争」です。
この記事でも書きましたが、1945年からずいぶん経って生まれ育った私は、おそらくこの記事を読んでいる多くの方と同様、「日本の戦争」というものを知りません。
軍隊の話をしたら、「ミリタリーオタク?」と思われる世代です。
私はサンディエゴに住んで12年になりますが、やはりこの経験がなければ、「アメリカと戦争」ということについてここまで考えることはなかっただろうと思います。というか、別の意見があったでしょう。もしコロラドなどの山間部に住んでいれば、エア・フォース(空軍)、中西部~南部に住んでいればアーミー(陸軍)の人たちに触れ合うことが多いでしょうから、また別の視点になっていたはずですし、ミリタリーにゆかりのない都市に住んでいれば、戦争のことなんて考えることもなかったかもしれません。
ここサンディエゴはネイヴィー(海軍)やマリーン・コー(海兵隊)と呼ばれる軍隊のメッカ。
町を歩けば軍服を着た軍人を見かけるし、観光地のサンディエゴ湾で目を引くのは原始空母の数々。コロナドのビーチで日光浴をしていたら、頭上すれすれを濃いグレーのジェット機が飛んでいくし、バルボアパークにある海軍病院そばでは、同じく濃いグレーのヘリコプターが轟音を立てて出入りするのを見ることができます。
日本語で「ミリ妻」と呼ばれるミリタリーの方と結婚した日本人の奥さんたちもたくさんいるし、サンディエゴの経済はミリタリーなしでは考えられません。
ここで誤解しないで欲しいのは、「戦争を好きな人間は誰一人としていない」ということです。
私は戦争の話が好きでこの記事を書いたわけではありません。
戦争に出向する軍人たちも、人を殺したいわけではありません。
アメリカの戦争というのは、「好きか嫌いか」というレベルの議論ではないのです。
じゃあどうして戦争はなくならないのか?
それはずばり、国家レベルで見ると、戦争はアメリカにとって「政治手段」の一つだから。
つまり戦争は、国益目的以外の何者でもありません。アメリカが正義で、異文化が悪だと思っていたら、それは間違いというか、表面的なものでしかありません。
ここでクイズ。アメリカの小学生は必ず答えられる質問です。
アメリカ全軍隊のCommander-in-Chief(最高指揮官)は誰でしょうか?
Who is Commander-in-Chief of United States?
答えは・・・
アメリカ大統領
ですね。アメリカ在住のみなさん、答えられました?
つまり、現在ならオバマ大統領が、「戦争開始だ」と言ったら、いつでもアメリカは戦争が始められるわけです。アメリカの戦争を知るには、アメリカの政治状況を知らずにはいられないわけですね。
2001年に起こった9/11以降、アメリカは現在でも戦争当事国です。
「私は戦争を知らない」と始めに言いましたが、それは日本での話であり、アメリカに住んでいる現在、私はアメリカの戦争を一つ体験している最中です。
この13年間、あらゆるアメリカ経済は、戦争を中心に動かされてきました。身近なところで言えば、ビザを取るのが難しくなったりしました。
昨年の9/11記念日のスピーチで、オバマ大統領がこう言ったのを覚えています。
「演説で周ったある都市で、一人の男性に言われました。『ミスタープレジデント、私たちはもうこの戦争に疲れています。この国は疲れているんですよ。』と。」
国家予算はいつ終わるのかわからない軍事費に割かれ、その分、教育や研究など国家の未来がかかっている部分が削られていく。経済はなかなか上を向かず、失職率も思ったように下がらない。
そういう現実に、アメリカ市民は疲れているのです。
オバマ大統領就任後、アフガニスタンやイラクから軍隊がどんどん撤退されてきていますが、ウクライナ情勢やナイジェリアのボコ・ハラムのようなことが起こると、アメリカ軍隊は動き続けるのです。