アメリカン・ドリームとは?

あなたにとって、「アメリカン・ドリーム」とは何でしょうか?

 

80年代に生まれ育った私にとってのそれは、明るい音楽やきらびやかなファッション、リベラルな人々が登場する、ハリウッド映画から始まった気がします。

日本とは違う人たち、言葉、食べ物や飲み物、町並み、ライフスタイル・・・海の向こう側にはそんな見たこともない世界があるということに、子供としてすごくワクワクしたことを覚えています。

当時はもちろん、まさか自分が実際に渡米し、色々な経過を経て今の人生にたどり着くとは全く想像もしていなかったし、アメリカ生活が10年を超えても、まだまだ日本での人生とアメリカの人生が混ざった夢を寝ている間に見たりします。笑

 

アメリカン・ドリーム

 

今日はどうしてこんな話を書きたいかというと、今回のボストンマラソンで起こったテロ事件の真相が明るみに出始め、私は容疑者たちの境遇に深く心を痛めることになりました。

もちろん、彼らが(おそらく)やった(であろう)ことは許されることではありません。亡くなった3人の方の尊い命や、怪我をした方、体の一部を失った方、家族の方たちのことを思うと、本当に悲しくなります。

 

ただ、「テロリスト」という言葉で一括りにする前に、少し書き残しておきたいことをここで書いておこうと思います。

 

容疑者の2人は、ロシアのチェチェンからやってきた兄弟でした。

26歳の兄と19歳の弟。

10年ほど前に、両親と姉妹と渡米したそうです。

両親は現在はロシアに戻り、兄弟と姉妹をアメリカに残しました。彼らの叔父や叔母も東海岸に住んでいます。

 

このような移民家族のケースは珍しいことではありません。

日本人として渡米するというと、たいていが単身の留学生、または核家族単位の駐在員家族、または国際結婚を理由に渡米という、個人の渡米です。

叔父も叔母も従兄弟も祖父母も、おそらくパーマネントで全員で渡米、というケースは日本人移民では珍しいケースでしょう。

 

親戚の証言によると、この容疑者の兄弟2人は、「アメリカ」という国に馴染めなかったそうです。

しかし、表では兄はボクシングで成功し、弟では学校でも人気者で成績優秀という事実もあります。

そんな兄弟に何があったのか?

 

これはきっと、宗教とか外交関係とかでは説明しきれない、個人の心の闇が深く関係しているのではないかと私は思いました。

「チェチェン出身のイスラム過激派」という一言で片付けてしまうには、少し短絡的なのではないか?と思ったのです。そこに反応し、アメリカという国にとって危険因子だと判断するのなら、なぜ事前にもっと厳しい対策をしないのか?

そう思いませんか?

でも現時点で、アメリカという国はそうはできていません。

 

 

アメリカン・ドリームを夢見て祖国を離れる決意をした「かもしれない」両親。

それに、結果として振り回された「かもしれない」子供たち。

与えられた環境に「はい、そうですか」と柔軟に対応し、そこで成功するためのノウハウを短期間で身につけ、自分の足で立ち上がる。それができるのは当たり前ではない、ということを実感しました。

この国の独立精神や自由と責任、個人主義というものにプレッシャーを感じたり、息苦しく感じる人だってたくさんいるのかもしれない。

私自身が感謝している「アメリカン・ドリーム」も、このような悲惨な事件につながってしまう現実がそこにはある。

アメリカという国が、全ての人にとっての「ドリーム」であるとは限らない。

その事実が悲しく、そして残念に感じた事件の背景でした。

 

 

ロサンジェルスに、日本人ビジネスオーナーを対象とした、「一旗会(ひとはたかい)」という団体があります。

とても精力的に活動し、日本人のビジネスオーナーをサポートしている団体として私はとても応援している団体です。

そのウェブサイトに、こんな一節があります。私の大好きな言葉ですので、紹介させてください。

 

「まず認識してもらいたいことは、アメリカは強いもの、頭の切れるもの、度胸のあるもの、金があるもの,我武者羅に頑張りの効く人間だけがのし上がっていけるシビアでエキサイティングな世界です。・・・・これは何も初めから、皆様の燃えている起業精神に水をさすつもりではなく、それぐらいの心構えが必要だという事を言いたいのです。」

 

この文章を読んだとき、「まさにそうだ!」と私は思いました。

これは起業家、留学生、主婦、会社員、関係ありません。

アメリカという国は、こういう人間によって立ち上げられ、こういう人間によって動かされてきました。そしてそれは、今でもそうです。

 

私はアメリカという国が好きです。

私は日本とアメリカの二国しか知りませんが、アメリカが好きです。

上に書かれたような、シビアでエキサイティングなこの国は、自分自身を鍛え、結果として成長させてくれるからです。

移民としてのハンディキャップを乗り越え、アメリカ人と、そして世界と、対等に勝負できるこの国は、本当に懐の深い社会だと感じます。

 

みなさんはどうでしょうか?

アメリカでがんばっている日本人のみなさん、応援しています。

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