ハロウィンキャンディは海を越える
みなさん、こんにちは。Erinaです。
今日はハロウィンですね。
アメリカ国内ではものすごい量のキャンディが消費される日です。
子供たちがバケツ一杯のキャンディをもらって嬉しそうなのは良いのですが、やはり毎回のことながら、「それ全部食べるの?」と気になります。大人にとっては「ほんのちょっと」の糖分も、子供の小さな体にとってはものすごく大量になってしまうものです。
そこで、アメリカではこのようなプログラムが進められています。
「ハロウィンキャンディを戦地の部隊(Troops)に送ろう」
というものです。
やはり戦地で毎日厳しい仕事をしている軍人のみなさんは、母国のキャンディが恋しいそうで、家族からの郵送便にはM&M’sやスニッカーズを入れてもらう、ということもよくあるようです。
そこで、「送りましょう!」と言ったのが、アメリカの歯医者さんたち。
Trick or treatでもらったキャンディを指定の歯医者さんへ持っていけば、それを集めて戦地に送ってくれるそうです。こういう発想はアメリカならではですね。
虫歯も防げて、家を離れて仕事をしている軍人さんたちの役に立てるなんて、一石二鳥!家からキャンディが減って、ママも嬉しい!一石三鳥!!
昨年はこのプログラムを通して戦地に送られたキャンディは、なんと127.5トン!
上のウェブサイトで、Zipコードを入れたら近所でこのプログラムに参加している歯医者さんが見つかります。
去年までは、1パウンドのキャンディを持って行けば、歯医者さんが1ドルくれたそうですが、今年はお金の代わりに歯ブラシなどをあげる歯科もあるようです。まぁ食べ物を無駄にしないだけで嬉しいですけどね。
もし「どうせなら・・・」と他にも戦地に送ってくれると嬉しいものは、リップクリーム、歯ブラシ、歯磨き粉、エナジーバー、靴下、ビーフジャーキー、そして感謝のお手紙。だそうです。
もう一つはOperation Shoeboxという非営利団体で、物品をTroops(戦地に派兵されている部隊)に送る活動をしているそうです。
上のリンクに載っている住所に送ると、キャンディを戦地に送ってくれるそうです。
M&M’sなんかは戦地に持っていけるように開発されたそうですし、アメリカのキャンディとミリタリーというのは、切っても切り離せない関係があるのかもしれませんね。
・・・と、この記事を書いていて思い出したことがあります。
太平洋戦争後に、当時の日本の子供たちが「ギブミーチョコレート」と言って、駐屯していたアメリカ兵たちからキャンディをもらった、というエピソードを聞いたことがあります。
日本でその話を聞いたときは、とても遠い世界の物語のように感じましたが、今、アメリカのキャンディが海を越えて、戦地の部隊に届けられることを目の当たりにすると、「やっぱり現実だったんだ・・・」という気がします。
戦後、食べ物がなくて混沌としている中、アメリカ兵からもらった異国のキャンディが、現在の日本の年輩の方たちに食べられていたという事実は、今考えると、とても不思議な感覚です。
現代日本で生まれ育った私は、「日本が混乱状態にある」という状況を想像できませんでした。東北大震災で、あれだけの秩序を保った日本が、「混沌としていた」なんて信じられますか?
しかし、アメリカに来て、戦争が今でも現実のものであることを知りました。
世界のどこかでは、今この瞬間にも、家が爆撃され、家族が殺されている誰かがいる。
子供たちは親を亡くし、兄弟姉妹を亡くし、友達を亡くし、家や学校や遊び場を失う。
日常は失われ、情報は交錯し、何を、誰を信じたらよいのかわからない。
そしてそこに現れるアメリカ兵たち。
迷彩服にヘルメット、大きな銃器を背負っている異国の人間たち。
彼らもまた、自分の家族と離れ、家を離れ、危険な任務についている。
その彼らからもらう、カラフルなプラスチックの包装紙に包まれた甘い食べ物。
「戦争」という誰も望まないことが起こった中で、ちょっとしたキャンディが少しでも誰かを笑顔にできるのなら・・・それは自分がやるべきことだな、と私は思うのです。