メキシコに蝶を見に行こう!

こんにちは!
Maki-Kです。

2月。
日本は一番寒い時期ですね。
サンディエゴはもう草木に花が咲き始め、春到来です。

今日はちょうど今がシーズン、「メキシコの山へ蝶の集団越冬を見に行く旅」の紹介をします。

情報たっぷり詰め込んで、ちょっと長くなっちゃいました。
お時間のある時に読んでください。

 

モナークバタフライ(メス)

さてアメリカにお住いの皆さん、この蝶は見たことありますか?(あ、蝶の写真がいっぱい出てくるので、虫が苦手な方はいつでも目を逸らせられるように、身構えてお読みください)

サンデェイゴではひらひらと飛んでいるのをよく目にしますが、Monarch Butterfly(モナークバタフライ)、日本語でオオカバマダラという蝶です。大きさは日本でよく見る黄色いアゲハチョウより一回り小さいくらい。
オレンジ色が鮮やかです。

 

この比較的ふつーに見かけるちょうちょ。
実は、す・す・す・すごいんです~。

私はこの蝶に特別興味はなかったんですが(だって普通にその辺飛んでる蝶ですよ)、
何年か前にメキシコ中央高原のモレリアという町に夫の出張について遊びに行った時、メキシコ人の友達がちらっとこの蝶の話をしたんですよね。

その時はあまり気にも留めなかったんですが、今度は娘が見ていた「Wild Kratts」という野生動物の生態を楽しく教えてくれる子供向けアニメ番組でこの蝶のことをやっていたんです。

「Wild Krattsで取り上げられるくらい有名な蝶なんだね」っとちょっと興味が湧いて(でも番組の内容は見ていない)、で、次にまたモレリアに行ったときに、同じメキシコ人の友達に今度は私から「蝶を見に行きたいから車で連れてって」とリクエストしたら、今は季節じゃないから駄目と言われ。。

なに?季節があるの?
という事は蝶の予定に合わせて旅行の計画を立てないとダメなのか。。。

っということで蝶についてちょっと調べてみました🦋🦋🦋

そしたら驚いたのなんの。

この蝶、アメリカ北東/カナダからメキシコの山まで、なんと最長でで5000kmにも及ぶ渡りをするんです。

そして11月~3月にかけて何百万匹の群れが集団越冬するんですが、あまりにたくさんの蝶がとまるので、蝶の重さで木の枝が垂れ下がるとか!

えー!すごい!
そんなたくさんの蝶、この目で見てみたい!

がぜん蝶を見に行く気になった私、どんどん調べを進めます。

 

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🦋アメリカでは普通に見かけるモナークバタフライ、
大きくロッキー山脈の東側と西側のグループに分かれます。
そして長距離の渡りをするのは東側のグループ。

🦋西側のグループは渡りはするのですが、ルートは東⇔西。夏をロッキー山脈周辺で過ごし、冬は西へ移動してカリフォルニアの海沿いで越冬します。・・・ということはサンディエゴで見るモナークちゃんはメキシコの山には飛んでいかないのか。ちょっとがっかり。ま、蝶もこんな気候のいいところからあえてそんな遠くへ行く必要もないよね。

🦋東側のグループはメキシコの山で集団越冬し、春になると北向きの渡りを開始。
まずはテキサス州辺りまで飛んでそこで卵を産み、ここで渡りは次の世代に引き継がれます。

そうなんです、世代をまたいで渡りが行われるんです。

春から夏への北上ルートの渡りは4-5世代をかけて行われます。アメリカ北東/カナダまで幼虫のエサとなるMilkweed(ミルクウィード・日本語ではトウワタ)を求めて渡りをしていくモナークバタフライ。この北向きの渡りをしていく世代は寿命が5~7週間

そして渡りルートの最北、アメリカ北東/カナダで生まれるモナークバタフライはSuper Generation(スーパージェネレーション)と言われ、なんと一世代で一気にメキシコまで南下をします。

このスーパージェネレーションの寿命は驚きの約8カ月!他の世代の5倍です🦋🦋🦋🦋🦋。

夏の終わり、生まれた土地を後にして、風に乗りながら、太陽の位置と地磁気を頼りに、2カ月かけてたどり着くメキシコの越冬地。

自分が今まで一度も行ったことのない何千キロも離れた場所へ、どうして迷わず飛んでいけるのか!?

モナークバタフライの渡り (Graphic; The Xerces Society for Invertebrate Conservation)

 

研究が進んで太陽の位置と地磁気を利用して渡りをしていると分かってきたそうですが、行き先がどこかも知らず、地図も持たず、それでもたどり着つべく場所にたどり着くるとは!

寿命の方は幼若ホルモン(昆虫の成長を調整するホルモン)をコントロールして、延びるらしいのですが、あのはかなげな蝶が8カ月も(しかも考えられない長距離の移動をして)生きるなんて。

なんか人類の夢、不老不死や若返りへのカギを握っているんじゃないかこの蝶は。
山で出会ったときに私にこっそり秘密を教えてくれないかしら…

なんて、いやはや、ものすごい力を内に秘めているのですね、モナークバタフライ🦋。

 

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こうして予習もばっちり✌
モナークバタフライへの気持ちが高まったところで、いざ、メキシコへGo✈!

私たちがまず向かったのは、前出のメキシコ中央高原、ミチョアカン州の州都モレリア。
去年の2月のプレジデントデーの週末を利用しての旅行でした。

モレリアへはティファナ空港から飛行機で3時間。
以前紹介した国境を越えて空港へ直接行ける橋を使いました。

モレリアの町へ行くのはもう3回目なので、慣れたものです。
空港でレンタカーを借りて、まずはモレリアで一泊。
そして次の日の朝早く出発🚙!

モナークバタフライの越冬地がある町、Angangeo(アンガンゲオ)までは片道3時間のドライブです。

このドライブ、あらかじめGoogleマップでルートを調べて、地図も印刷して持ってきたけれど、やっぱり頼りになったのはスマートフォンのナビでした。

これ、グーグルマップのナビがなかったら、たどり着けなかったなぁ。。
中央高原のコロニアルシティは街中の道路が複雑で、おまけに一方通行がたくさんあって、ただ通り抜けるだけでも大変なんですよね。

道路わきの看板も頼りになりました。

 

とりあえずはグーグルマップ様のおかげで、途中迷うこともなくアンガンゲオの町へ到着。

アンガンゲオ・・・なんか郷愁を誘う響き。
やっぱり私、前世はメキシコ人だったのかも。。

しかーし。 このアンガンゲオの町からが大変でした💧

 

 

 

アンガンゲオの町の中。只今絶賛迷い中~。

山の中の小さな田舎町。
なのに中で迷いまくり。

まさかそんな細い横道がルートだとは思っていないので、さらっと行きすぎ・・なんてことを繰り返し、
なんとか軌道修正して蝶の住む山へ🚙=3!

 

 

 

 

ところでモナークバタフライはスペイン語でMariposa Monarca(マリポサ・モナルカ)
うぅん、なんて素敵な響き✨

🦋モナークバタフライの越冬地があるこの一帯はMonarch Butterfly Biosphere Reserve(モナークバタフライ・バイオスフィア・リザーブ/オオカバマダラ生物圏保護区)に指定されていて、ユネスコの世界自然遺産でもあります。保護区の中にいくつかコロニーがあり、そのうち4ヵ所が一般公開されています。

🦋私たちが行ったコロニーはアンガンゲオの町からすぐのSantuario de la Mariposa Monarca el Rosario(エル・ロサリオ・オオカバマダラ保護区)

私が調べた限りここが一番メジャーみたいだったので、とりあえず初めてなのでここへ行くことにしました。

※エル・ロサリオ保護区のFacebookのページへはここをクリック。
このFBページはシーズン中頻繁に写真やビデオがUPされるので、旅行前に見るとかなり気分が盛り上がります♪

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急こう配の道を必死に前の車について行きます。

さて、やっとアンガンゲオの町から抜け出し、「ええ?こんなところ行くの!?」っというかなりの急こう配の道で一気に山を登って行きます。

山腹の小さな集落を抜け、途中道端に立っていたおじさんに車を止められ、「え?なに?」と良く解らないままお金を払わされ(後でわかりましたが駐車場の使用料でした)、とりあえず走って行くと・・・

 

 

 

さすが世界遺産、にぎわっています。多くがメキシコ国内からの観光客です。

あら、保護区入り口すぐの駐車場に着きました。

どうやら裏道からたどり着いたようです(笑)

駐車場を囲むように食べ物やさんが並んでいます。
そして車を止めて外に出たとたん、食べ物屋さんからの客引き合戦。ひぇ~。

 

 

 

 

料理は薪を使ったストーブで。メキシコの田舎の生活は大変そう。

まぁ丁度お昼だったので、そのうちの一軒で食事をすることに。

 

 

 

 

 

 

 

サボテン、カルネアサダ(ステーキ)、ライス、豆。どれもメキシコの定番料理。

味は特別期待していませんでしたが、結構おいしかったです。やはり食はメキシコにあり。

 

 

 

 

 

 

 

そしていざ!蝶の待つ山へ!

入り口正面のアーチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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壁に直接サインや絵が描いてあるのが、メキシコ方式。

チケットを買って中に入ります。

 

 

 

 

 

 

 

まずは比較的きれいに整備されている階段を、ひたすら登ります。

🦋蝶の保護区があるのは標高2700mの高地。


標高も高いし、登りも結構急なので、普段運動していないと辛いかもしれません。

階段を上るのはちょっと大変…という人には入り口横から馬に乗って別ルートで山を登ることもできます(別料金)。

 

蝶はまだか~。

階段を登り切り、さらに山道を上がって行きます。まだ蝶はいません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして広い原っぱにたどり着くと・・・あ、蝶っ!

日当たりのよいなだらかな丘。ここまでは馬に乗って上がって来れる。

ここで初めて蝶に対面!

そんなにたくさんではありませんが、ひらひらと飛んでいるものも、茂みに止まっているものもいます。

 

 

 

そして地面にたくさん🦋🦋🦋🦋!

湿った地面から水を飲んでいるようです。

この時点ですでにこんなに蝶が集まっているのを見るのは初めての私。

きゃー!
テンションUP ⬆⬆ !!

 

 

 

 

 

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さらに山を登って行きます。

山を登るにつれどんどん数を増す蝶たち。

空を見上げるとたくさんの鮮やかなオレンジ色の蝶!

極楽に来ちゃった!?っと一瞬思う(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・

大きな音を立ててはいけないので、人は多いですがかなり静か。

 

あ、何やら人だかりが・・・

どうやら目的の場所に着いたようです。

どれどれ蝶はどこかな・・・

え?なに?…あれ!?!?

 

 

 

 

大きいハチの巣か何かがぶら下がっているようにも見えます。

おわっ!
ほんとに枝が垂れ下がってる!

あれ、全部、蝶!?

インターネットや本の写真で見た通りの光景です。
うわー、すごい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スマホで撮るには遠いっしょ!

蝶の保護のため木のかなり手前にロープが張ってあり、これ以上近くへは行けません。ここへ行くときはズーム付きのカメラが必須。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝶が止まるのはOyamel(オヤメル)というモミの木。

カメラのズームで少し寄ってみます。

うわぁ。

蝶の重さで枝が垂れ下がっているのが良くわかります。

この光景、最初に見つけた人はびっくりしたでしょうね!

🦋このモナークバタフライの越冬地が発見されたのは1975年。それ以前はたくさんの蝶がメキシコの山の方へ飛んで行っている事は知られていたけれど、こんな風に集団越冬していることは知られてなかったそうです。ただもちろんこの山で暮らす人たちはずっと前から毎年秋にやってくるこの蝶のことは知っていて、蝶の訪れがメキシコのDia de los Muertos(死者の日)とちょうど重なる事もあり、死んだ人たちの魂が蝶となって山へ戻って来るのだと信じられていたそうです。

 

 

 

日の当たる暖かい所では、こうして羽を広げて日光浴したり、明るい日差しの中を飛び回って花の蜜を吸いに行ったり水を飲みに行ったり。

 

 

 

 

 

 

思い切りズームで寄ってみました。

日陰では気温も上がらないので、蝶たちは羽を閉じ身を寄せ合って、こうやって枝に止まっています。
いや、それにしてもすごい数。

一体何匹いるんだろう??
何百万匹?
何千万匹?

🦋このメキシコの森で集団越冬するモナークバタフライの数は、越冬地の森に作られるコロニーの広さで推定されるのですが、2016-2017年の冬はコロニーの広さが合わせて2.91ヘクタール。これは現地で実際に調査されています。そして1ヘクタール当たりどれくらいの蝶がいるのか。これが研究者によって推定数にものすごく幅があり、10,000,000~50,000,000匹。なので蝶の数は・・・29,100,000~145,500,000。

・・・まぁ、とにかくすごくたくさんという事で(笑)🦋🦋🦋🦋

 

 

飛び交う蝶に囲まれる特別な体験。

午後の一番暖かい時間帯は、あたり一面に蝶が乱舞して、まるで極楽に来たのかと思うほど。大きい蝶なので、ファサファサという羽音も良く聞こえます。・・・蝶の羽音、聞いたことありますか?

そして運が良ければ蝶が体に止まってくれたりもします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


この保護区の森のなかで蝶たちが越冬するために止まるのは、ほんの限られた一部の木のみ。

毎年同じ木のだいたい同じ枝に、蝶が集まるそうです。

もちろん去年の蝶と今年の蝶、そして来年の蝶は同じ蝶ではありません。
世代を超えて、どうしてこの森の限られた木に集まるのか。

自然の神秘、ですね。

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この蝶のコロニーへのルートは前出の草原のところからループになっていて、帰りは違うルートで戻ります。

私たちは草原まで下ってきたところで、娘が「ママとパパには蝶が止まったのに、私には止まりに来てくれなかった…(涙)」と悲しそうに言うので、それじゃぁもう一度見に行こう、ということでループを登り直し。

結局入り口に戻るまで5時間、本当に心ゆくまで蝶の山で過ごしました。
(残念ながら結局娘には蝶は止まってくれなかったんですけど↷)

 

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さて蝶を見た後は、保護区入り口横にずらりと並ぶ、お土産屋さんで買い物です!

旅の思い出の品、お忘れなく。
地域経済の助けにもなります♪

お土産屋さんが軒を連ねる

蝶のマグネット🦋蝶の置物🦋蝶のマグカップ🦋蝶のキーホルダー🦋蝶のTシャツ・・・まぁとにかく蝶づくし。

 

 

 

 

 

 

お土産はその土地の民芸品が一番!

私は松葉の束を編んで作ったバスケットを買いました。トルティヤチップを入れるのにぴったり。1年経った今でもさわやかな松の香りがします。

 

 

 

 

 

 

お土産ショッピングを終え駐車場に帰って来るころには、観光客の姿もまばら。だいぶ長居をしました。

 

 

 

 

 

 

この辺りでは馬で移動している人も良く見かける。

帰りは表通りから、観光バスの後について迷うことなく帰って来れました。メキシコシティをはじめ、近くの大きめの町からツアーで来る人も多いみたいです。

 

 

 

 

 

 

 

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あ~、いまこうやって振り返っても、素晴らしい体験でした。

幼虫のエサとなるトウワタの減少や農作物に使う農薬の影響、森林の違法伐採、地球温暖化による環境の変化などなど、モナークバタフライを取り巻く状況は楽観視できませんが、これからも蝶たちが渡りを繰り返し、私たちに生き物の神秘の力を見せ続けてくれますように!

みなさん、次の旅行はモナークバタフライに会いに行きませんか?

モナークバタフライの集団越冬のシーズンは、11月~3月です。

 

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2 comments on “メキシコに蝶を見に行こう!”

  1. はじめまして、オハイオに住む恵美と申します。

    モナークバタフライを検索していて辿り着きました。

    私の住む地域では、恐らく、スーパージェネレーションが生まれる地域だと思うのですが、郡が、ミルクウィードの生育を住民に斡旋しています。ミルクウィードの種を集め、栽培したい人に配っています。
    それで、何となくすごい蝶ということは、知っていましたが、改めて、こんなにすごい蝶だとは、想像もしませんでした。
    素敵な体験を紹介してくださってありがとうございます。

    松葉の束で編んだバスケットも、とても気になります。

  2. >Emi Coffmanさん

    恵美さん、コメントありがとうございます!
    記事読んでいただいて嬉しいです!

    お住まいの地域でモナークバタフライが見られるんですね!
    ミルクウィードぜひぜひ育てて蝶を応援して欲しいです🦋!
    ほんとうにこの蝶はすごいですね🦋!

    松葉のバスケットは5年経った今でも、松のいい香りがします💗
    恵美さんも機会があればメキシコまで越冬中の蝶を見に行ってください~✨

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