傷つけるのも人、救うのもまた人
終戦記念日が近づいてきました。
戦時中は憎み合っていた相手国のアメリカから発信です。
私の1歳半になる娘は、Momoといいます。
今回はMomoという名前がきっかけで知った、あるストーリーを書こうと思います。
こちらではよく、初めて出会う人も子供の名前を聞いてきます。
先日、よく行くコーヒーショップで、ある女性と出会いました。話の流れから私たちが日本人だと気づいたようで、聞かれました。
「この子の名前は?」
「Momoと言って、日本語で桃という意味があるんですよ。」
その時、その女性が嬉しそうに悲鳴を上げました。
「質問したいことがあったの!日本でMomoっていう名前は、実際に女の子につける名前なのかって!まさにこの子が桃なのね!」
すごく興奮した様子のこの女性。続けて話し始めました。
彼女の知っているMomoの話を。
ここから先の話は、もしかすると私の聞き間違いや理解不足があるかもしれませんが、実際の話を調べる前に、あえて彼女から聞いたままの話を書きます。Taro Yashimaについて詳しく知っている人はぜひ教えてください!
彼女のお気に入りの絵本に、Umbrellaという絵本があるそうです。
その著者はTaro Yashima。
名前はまるで日本人ですが、実はこのTaroさんはアメリカ人なんだそうです。
というのもTaro Yashimaは戦時中、米軍の保安官として日本に住んでいました。
しかし、戦争が激しくなっていくにつれ、日本に住んでいる罪のないアメリカ人が、集団リンチに遭うなど、命の危険にさらされる事件が相次いだそうです。
Taro Yashimaは、自身と奥さんと、長男長女の4人家族。
何とかして家族を守りたい…どうしたらいいか…とにかく頭をひねりました。
そこで出した答えが、改名でした。
家族全員、日本によくある名前に改名し、
『自分達は日本という国を知っている、素晴らしい人と文化に溢れている国だ、自分達は戦争とは関係なく、日本という国を愛している』
そんなメッセージをこめたそうです。
そこで名付けられた末っ子の女の子が、Momoでした。
戦後、アメリカに戻ったTaro Yashimaは絵本作家となり、何冊か絵本を出版したそうです。
その中の1冊が、Umbrellaというタイトルで、主人公が愛娘のMomoちゃんだったんですね。
そしてもう一つ、これは先日日本にいる姉から聞いた、最近日本で放送された特別番組の内容です。
コロラド州にある在米日本人/日系人強制収容所に関する話。
合法的に入国した在米日本人(永住者)や、アメリカで生まれ育ちアメリカ国籍を持つ日系アメリカ人のほぼ全員が収監されていく中、当時コロラド州知事だったラルフ・L・カー氏は、在米日本人・日系アメリカ人を守るため、彼らの権利を訴え続けたんだそうです。
「我々は、ある人の仲間に対する愛情や国家に対する忠誠心を、その人の祖父が生まれた場所で判断することはできない。すべてのアメリカ人は、アメリカ合衆国の国境の向こう側の出身なのだ。」(引用: Wikipediaより)
日本でもアメリカでも、みんなが生きることに必死だった世の中で、人を守ろうとする人がいたんですね。
戦争の事実は消せないけど、傷ついた人を救うこと、救おうと動くことは誰にでもできる。
百害あって一利ないと思っていた”戦争”の一幕から、私は学びました。それを教えてくれたのも、また人間でした。
私も大切なことのために立ち上がれる、勇気を持った人間になりたいです。
(写真引用: Amazon.comより)
名前って大事だなぁって私もアメリカに来て思いました。
自分のidentityなんだなぁと。
「その名前って、どこの(国)?」って言われることが増えて、「あ、当たり前の名前じゃないんだ」って気づかされたりね。
そんなに大事なものを、変えること、どれだけの覚悟があったんだろうね。
勉強になりました。運勢とかのために、改名する人っているじゃないですか。ちょっと違和感感じてました。
私の祖母は、名前が「勝(かつ)」というのですが、男の子みたいな名前で嫌だと、本人は「勝子」と名乗っています。正式に改名はしていないので、銀行などの正式名称は、勝のままです。戦争や、やむをえない事情で改名を余儀なくされた方たちは、どんな思いだったのでしょう。