怖い風邪薬の話

私の住むLAはここ数日で突然寒くなりました。気温が30度からいきなり18度くらいに下がった感じです。体力のない私はさっそく風邪気味になってます・・・

さて、今日はアメリカの風邪薬の話です。

アメリカの薬は強い!効く!という話をどこかで聞いた人も多いのではないでしょうか?

私も渡米したばかりのころは、この「すごく強い」というイメージのアメリカの風邪薬がちょっと怖かったので、日本から持参した「ルル」とか「バファリン」とかを使っていました。

が、数年たつと少しずつ日本から持参した薬の在庫も底をつき・・・

あるとき、「今日はどうしても仕事を休めない!」という日に風邪をひいてしまい、近所のドラッグストアで風邪薬を買いました。

アメリカのスーパーやドラッグストアに必ず置いてある、定番ブランドの風邪薬です。効用として「熱、鼻づまり、くしゃみ、頭痛などを緩和」と書いてありました。

この薬・・・

すごかったのです。

服用して1時間もしたころ、上記の症状がピタ!!とおさまっただけではありません。

むしろ、平常時よりもずっと元気!!ってくらい、絶好調になってしまったんです。

絶好調といっても急にパワフルになって飛び回れそう、というのとはちょっと違います。

風邪特有の、体どーんと重い感じはあるのに、その一方で、目の奥のあたりが急にぐわーーーっと開いて、頭が冴えて、集中力もあるし、思考能力が増した感じ。

なので、体調が悪いのにも関わらずその日の仕事がすごくうまくいきました。

通訳というのはまさに、頭が冴えて集中力があるときに一番うまくできるものなのです。

一日の仕事を終えた私は「風邪をひいて逆に良かったかも!」なんて思ってしまうほどでした。

そして、「今後、ここ一番というときに風邪ひいちゃっても、この薬があるから安心だわ」と思いました。

実際そのあと何度か、ちょっと風邪気味で頭がぼーっとするけど、「通訳を上手にしたい」という一心で、それほどひどい症状じゃなくてもこの薬を服用したことがありました。

今思えば、このときの私は、考え方がちょっと危ない方向に向かっていたと思いますが、そのときは気がつかずにいました。

なぜ風邪薬を飲むと頭が冴えて集中力がアップするのか?

あまり深く考えず、ありがたい副作用、程度にしか考えてませんでした。

その後、日本に一時帰国を経て、またアメリカに戻ってきたあとのこと。

また風邪をひいて「そうだ、あの薬」と近所のドラッグストアに行きました。

ところが、見つからないのです。

以前はどんなドラッグストアにでも必ずあった定番の薬。

同じブランド名の頭痛薬やアレルギー用の薬はあるのに、「風邪用」と書いてある、私が探している商品だけがないのです。

風邪薬の棚をよくよく探すと、商品のかわりに、端のほうに、あの薬の名前が書かれたカードだけが置いてあるのを見つけました。

その薬が買いたければ、そのカードをレジに持っていって買わなければいけないのです。

何故、こんな面倒なシステムに?と思いながらカードを持っていくと、IDを要求されました。そして名前、住所などをコンピュータに入力してから、やっと購入することができたのです。

このときはじめて私は「やっぱりあの薬、ちょっと特殊な成分が入っていたのね」と気がつきました。

その成分の名前は「Pseudoephedrine」。

鼻づまりを解消するための成分です。

そしてもうひとつの効用が「覚醒」。

そうでした。あの、目の奥がぐわーっと開いて頭が冴え渡る感覚。あれはまさに「覚醒」。そして「覚醒」と言えば「覚せい剤」。はい、Pseudoephedrineは覚せい剤の材料でもあります。

この風邪薬を買うのにIDや住所登録が必要になったのは、この成分が中毒になって風邪薬をハイになるドラッグとして濫用する人たちがいるから。また、大量に購入してドラッグを作ろうとする人がいるからです。

現在、カリフォルニアではこの風邪薬を一度に1人二個までしか購入できないという法規ができています。何度も買おうとすれば、データベースに名前が入っているので、濫用を疑われます。

そんな危ない成分の入った薬を「ここ一番のときにも安心!」とすっかり便利に思っていた私は、自分の安易さを心から反省しました。

大事な仕事がある日に風邪・・・なんてことにならないようにするには、やはり日ごろから地道に体力づくりするしかないですね。

みなさんも薬を飲むときは成分をよく確認して、Pseudoephedrineにはどうぞお気をつけください〜! 

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8 comments on “怖い風邪薬の話”

  1. 元々あまり薬に頼りたくない(あまり風邪自体ひかない)ので、常備薬のようなものはないのですが、1年半~2年に一度はガツンとくるので、その予兆の段階で薬を服用しますが…

    「こんなに効くの?」て感じですね、確かに。大体、副作用の但し書きの内容が長いし怖いし…

    やっぱ日頃の心掛け(程よく体を動かすとか)、食べ物から免疫力を得るしかないのですかね。

  2. これから風邪の時期ですね。
    うちでは子供用の咳止めと熱さましは常備。あとはドクターも「とにかく寝ること!」と言ってますね。
    このPseudoephedrineは、「スーダフェッド」っていうやつですよね。なかなか読めなかった・・・。

    子供用の咳止めの成分を乱用するティーンがいるので、親がコントロールしましょうみたいな注意書きを見て、「おぉ、アメリカっぽい」と思いました。簡単に手に入りますもんね。
    ウェブサイトも貼ります。
    http://stopmedicineabuse.org/

    アメリカの薬は本当、気をつけないと怖いです・・・。

  3. やばいですね~。
    これ読んで、薬局に買いに行く人いますよ、絶対。

    私はおかげさまで、毎日睡眠たっぷりでほとんど風邪を引かないんです。

    でも実は、アメリカの「夜用」風邪薬が好きで、たまに風邪をひくと「やった!風邪薬飲める!」とちょっとうれしかったり。夜用の風邪薬を飲んで、落ちるように睡眠に入るのがすきなんです♪ やばいですねぇ。。。

    ストレスも免疫力落ちるので要注意ですね、これからの季節特に。あったかいもの飲んでほっこりするのがいいです。

    お大事に。。。あ、今風邪ひいてるわけじゃないか!
    予防がんばりましょう!

  4. アメリカに来たばかりなので、まだ日本から持参した薬があるので大丈夫ですが、なくなったときに気を付けて買わないといけませんね。

  5. タツヤさん、ほんと「効く」のは確かですね。38度くらい熱があったときに飲んだら、1時間くらいでガーンと熱が下がり、8時間後にまたガーンと上がってしまいました。「今日という今日は・・」という、ほんとに大事な日にとっておいたほうがいいですね。そもそも大事な日に風邪引かないようにすべきだし、体を犠牲にしてまでやらなきゃいけない仕事なんて実際はそんなにないはずなんですけどね・・・笑

  6. Erinaさん、子供が高熱だすとイブプロフェン系とそうじゃないやつ、交互に4時間ごとに飲ませろっていわれますよね。子供が高熱を長時間出すと本当に危ないらしいので、ドクターの言う通りにしましたけど、やっぱりちょっと抵抗がありました。
    スーダフェッドっていうんですか。読めないままコピペしてました・・・笑

  7. Makiさん、はい、今風邪気味なんですよ。まーFluじゃなくてColdなので、普通に生活してますけど。

    これ読んで買いにいく人いますかね?!密かにそれを恐れて、あえて商品名とか画像を出さなかったんですけどね。この成分いりの風邪薬を飲んだからってハイになれるわけじゃないですよ〜、みなさん!!あくまでその材料になる成分が微量含まれてるってだけですよ〜。

    すとんと落ちるように眠る快感、わかります。一時期Nyquilにはまっちゃったんですよね・・・って、私、ほんと危ない人みたいですね(笑)

    アトピーが劇悪化して、かゆくて一睡もできなかったころ、Nyquilを飲むと抗ヒスタミン剤でかゆみもやわらぎ、気絶するように眠りに落ちることができて助かったんです。これで毎日頼るようになってしまうと問題だけど、私の場合は本当につらかった数日間を切り抜けることができて、強い効き目に感謝しました。つくづく、薬は使い用ですね。

  8. Masakoさん、そうですね、平均的日本人でもアメリカでは小柄なほうに入るので、「大人は一錠」とか決まっていても、たとえば筋肉ムキムキのガタイのいいお兄さんとかと同じ量でいいとも思えないし・・・、アメリカの薬を初めて飲むときは、成分を見て量も若干少なめにとるといいかもしれないですね。

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