推定無罪
こんにちは、Erinaです。今日はちょっと昔のハリウッド映画みたいなタイトルです。
今週、アメリカを沸かせた一つの事件に、結末が下されました。
ヘイトクライムの記事でも書いた、「トレイボン・マーティン事件」です。
昨年に起こったこの事件は、現代の人種差別問題として発展し、街中のデモや人権活動などに至りました。
そして今日。
フロリダの陪審員たち(Juries)によって、判決(Verdict)が下りました。
これを、”Verdict is in.”と言います。
判決は“Not guilty”。
つまり、ジマーマンの「無罪」が陪審員たちによって宣告されたのです。
このverdictへの賛否は両論で、ツイッターやフェイスブックを始め、アメリカメディアは様々なところで炎上しています。
「フロリダは人種差別の州だ」とか、かなり個人的に攻撃をしている発言まで。もちろん、ジマーマンを擁護する側もいて、売り言葉に買い言葉のようなやりとりが目に付きます。
私は今回の判定までの流れを見ていて感じたこと、それは、
アメリカの人種差別意識はまだまだ根強い。そしてそれは、ピンと張っていつ切れてもおかしくない糸のような状態にある。
アメリカ生活が10年を過ぎて、アメリカ社会のことがわかってきたと思っても、まだまだ自分は外国人であり、「人種差別」というアメリカ文化は、想像以上に根が深く、差別する側・される側に関わらず、人々の心の奥深くに眠っている怪物であるということ。
それが何らかのきっかけで起こされて出てくると、アメリカ社会はものすごく強いリアクションを見せる。
ということでした。
現代の法律には、「推定無罪」というポリシーがあります。
英語では“Presumption of innocence”で、よく使われる言い回しは、
”Innocent until proven guilty”
です。
これは、「有罪と証明されるまでは誰でも無罪である」という意味で、今回の事件のように、特に一方が亡くなっていたりして有罪を実証することが難しい場合、被告人は無罪となるのです。
今回の事件も、有罪を実証するための証拠が十分に強くなかったということで、このverdictになったのでしょう。
今回の告訴理由をきちんと読んでいませんが、もし理由が、「丸腰の相手に対して銃を使った」というのであれば、また何か結果が違っていたかもしれません。(それを理由に、ジマーマンを裁ける法律がアメリカにあるかどうかはわかりませんが・・・・)
う~ん、人を裁くのってとても難しい・・・と、私は思わずうなってしまいました。
「絶対に120%この人は有罪です!!」と誰もが納得できる証拠がない限り、有罪判決は下せないのです。
こうやって現代法は冤罪を防いできたわけですから・・・。
私は事件当日、現場で全てを見ていたわけではないので、何が真実かはわかりません。
おそらく、当人たちだって、現場で見ていた人たちだって、全てを正確に把握していたわけではないかもしれない。
「ジマーマンはこういう人間だったから・・・」とか、「トレイボン君はこういう若者だったから・・・・」という憶測はたくさんありますが、それに左右されるのもちょっと怖い気がします。
真相はすべて、闇の中に入ってしまったわけです。
ただ、悲しい現実は、一人の若い男の子(人種が何であれ)が、またも銃の犠牲となり、命を落としてしまったこと。この現実は、今でもこの瞬間でも、アメリカのどこかで起こっていること。
そして、ジマーマンは今日、どんな夢を見ながら眠るのでしょうか。彼のこれからの人生はどんなものになるのでしょうか。
これはちょっと怖いですよね。
昨夜、友人らと飲んでたら、内一人が携帯に速報を受信して「陪審員が…」て話から、結構色々な話に飛んだのだけど…
僕アジア人がいて、ゲイがいて、奥様がアジア人て奴がいて、黒人が二人いて、みたいな集まりだと、話が若干複雑なのだけど、「いやぁ仲良いのが一番よね」と乾杯して〆て終わりました。
日本にも一部の友達の中に、アジア差別を口に出してしまう奴らもいるので、度合いは違えど何処にでもある話ですね。アフリカ人の友人に聞いたら、あちらでも同じらしいです。当然ヨーロッパ内でもかなり激しいですし、難しいですよね。
悲しいかな、僕にはあまり理解できないし、もし仮に「人種」が焦点だったのなら、それこそ僕らが生きてる内に解決するような、早い話ではないようですね。
とりあえずフロリダは気をつけるべきなのか…(と大袈裟に反応するのも問題なのだろうが)。
同じ様なことが最近トロントでも起きました。
TTC(トロントのバス)に乗っていた18歳の少年がナイフで乗客たちを脅し、全員をバスから降ろしました。(運転手も降りていた)そこに警察がやってきて、バスに残っていた少年に拳銃を向けてナイフを捨てるように警告したのです。(4回くらい)
それでも少年はナイフを持ち、バスの中に居座っていました。別に暴れているわけでもなく、ただバスから警官たちを見下ろしていました。
外には警官が15人~20人くらいバスの周りを取り巻いています。するとナイフを捨てろといった警官がいきなり発砲したのです。3回、そして6回。合計9回少年に発砲しました。
警察官が全く攻撃してこない少年に発砲している間、周りにいたたくさんの警官たちは突っ立てそれを眺めていました。本当に人ごとのように見ているのです。緊張感は殆ど感じられませんでした。
なぜ、こんなに詳しい状況がわかるのかというと、防犯カメラが全てを撮っていたのです。
全く危険性のない状況に見えたのですが、どうして発砲したのでしょう?それも9回も。そして、それを見ていた警官たち。ビデオを見ている限りはどうしても納得出来ない状況でした。
警察はもちろんこの出来事を調査しています。これから、もっと詳しい事がわかると思いますが、あのような状況で撃たれてしまうなんて、怖いです。恐怖警察になってしまったらどうしよう。発砲した理由がきちんと納得したものであって欲しいです。