歯列矯正 in Arizona (2)

IMAG0716皆さんこんにちは。Junです。前編から大分間が空いてしまいましたが、今回後編です。
いよいよブレイスを着用。先生は歯の上に青い接着剤を乗せ、金属のブラケットを一つずつピンセットで慎重に乗せていきます。一番奥の歯のみ輪っか付きのブリッジを上からはめ込まれ、接着剤に紫外線を当てて硬化させ、一旦休憩。

先生が手でワイヤーのカーブを作った後、ワイヤーを差し込むのは歯科衛生士。見事な八重歯だった私は、ワイヤーも太くて矯正力の強いタイプを差し込まれたようで、何とも言えない締め付け感というか違和感。顔をしかめている私に衛生士さんは「判るわ~、私なんて2回もブレイス着けたのよ~。今日はこれから相当痛むと思うから、鎮痛剤を飲んで頑張ってね」と言われました。

ここで、恐らく日本の矯正ではないであろう、アメリカならではな一品が登場。それが冒頭の写真です。アメリカでは若い内から矯正が一般的なので、何つーかオシャレの一環?なのか、メタルのブラケットに付けるゴムの輪っかの色を選べるのです。私はオファーされませんでしたが、ワイヤーの色まで選べるとか。贔屓のスポーツチームカラーにしている子供も居るそうです。

終了後はケアセット(歯ブラシ、歯間ブラシ、ワックス、デンタルフロス、デンタルフロスを通す輪っか付きのテグス、デンタルミラー、ミニ砂時計がセットになったパック)と鎮痛剤を貰って帰宅。矯正中に虫歯になると非常に大変(金額的にも)らしいので、歯磨きは朝晩2回、高機能電動歯ブラシで。その後必ずデンタルフロスをかけるのですが、当然そのまま出来ません。そのために輪っかのついたテグスを使います。フロスを輪にくぐらせ、テグスをワイヤーの下から歯の裏に通して外し、フロスをかけます。それを全ての歯にやるので、フロスだけで5分位かかります。この点、インヴィザラインは普通に磨けてフロスもそのままかけられるのですご~く楽だと思います。

飲み物には制限はありませんが、ブラケット破損を防ぐため、食べ物には少し制限があります。固いモノ、歯にくっつく系のガム、グミ、キャラメル、リコリスなどはNG。また、肉などは小さく切って食べるようにと説明を受けました。私はフランスパン食べていて、奥歯のブラケットが取れましたけどね…。

インストールから数時間後。予想以上に痛くなり、鎮痛剤を飲んでも、喋っていて歯と歯がうっかり当たろうものなら「キーン」という痛みが脳天に走ります。こ、こ、これは辛い。噛むなんて絶対に不可能なので、夫にコーンスープを作って貰いました。でもこんなに痛かったのは初日だけで、2日め夜からは普通にご飯も食べられるようになりました。

ブレイス矯正最大のデメリットは、ワイヤーと歯の間に食べ物が詰まる事です。相当不快だし、食べ終わったら速攻トイレに行って、歯間ブラシで食べ物を除去してうがいしなければ口は開けられません。ものすごく詰まっている感覚でも、除去してみたら大した量ではないのですが、最後まで慣れませんでした。更に金属のブラケットのデメリットとして、ちょっと出っ張りがついているせいで、寝ている時に口内に傷が出来て口内炎になってしまう事…。ワックスは口内炎になったら使ってねとしか言われなかったので、翌日起きたら既に口内炎が出来ていました。ワックスを丸めて出っ張りにくっつれば傷は出来ないので、それからは問題なかったですが。

私の矯正歯科では、6週間に1回診察があって、その度に先生がチェックし、衛生士が指示通りにワイヤーを装着(締め具合もその都度違う)し、ゴムの色を選んで付けてもらって、ケアセットを貰って帰るという流れでした。歯並び自体は半年を過ぎた頃には大分揃って来ていたので、「予定より早く外してくれないかなぁ」と思い訊いてみたら、八重歯の場合は、先ず引っ込んでいる歯も含めて全てを前に出し、揃ったところで後ろに引っ張っていく、と説明されました。

8ヶ月を過ぎた頃、後ろに引っ張っていく矯正が始まりました。何をやるのかと言えば、ブラケットに輪ゴムをかけるだけ。ブラケットの出っ張りはこのためにあったのですね。上下2ヶ所ずつ、言われた歯のブラケットに4本の輪ゴムをかけます。「輪ゴムは最低16時間を目安に、なるべく長くかけててね」と言われたのでご飯の間以外は基本的にかけました。輪ゴムだからと舐めるなかれ。結構引っ張られる感じで、やはり最初は違和感が。更に口も開け辛くなるので、喋り辛い。ブレイスに慣れて歯並びが揃って来たと思ったら次は輪ゴムと、試練は続くのでした…。

そして更なる試練が。矯正終了前にして、イスタンブル(トルコ)に引越する事になってしまいました。ここでアメリカでのローンは打ち切り。英語が出来るトルコ人の矯正歯科医を紹介して貰い、「じゃあ600ユーロ(当時は1ユーロ=102円程度)でいいや」とえらいザックリとした対応で、行く度に適当に払うという形で終了。意外にもトルコの矯正技術は高く、ちゃんとしてくれて良かったです。ケアセットは貰えませんが…。結局、アメリカで残っていたローンとトルコの600ユーロを比べたら、総額3,000ドル以下。大分お得に済みました。

リテーナーはまさにインヴィザラインのようなプラスチックのマウスピースです。最初の3ヶ月は1日16時間、4ヶ月めからは就寝時にと指示を受けた際、「いつになったら外して良いのか?」と訊いたところ、「寝てる間は一生着けていた方が良い」と言われました。いくら矯正しても、歯は元に戻ろうとするため、一番大事なのは「保定」なのです…。矯正は一生終わる事はないのかもね、と知った次第です。でも不便なブラケット生活を送ったおかげで、夜のリテーナーなんて楽なもの。3年以上経った今も、2日に1回リテーナーを着けて寝ています。

矯正を始めて思ったのは、各国における捉え方の違いです。矯正先進国のアメリカでは、友人の8歳の娘ちゃんですら「私も早く着けたい、何色にしようかな」と私のブレイスを見ては言っていました。私からすると信じられない感覚です。学生時代、矯正をやっている子を見ると「あんなの着けたくないなぁ」としか思えなかったし、日本だと八重歯は可愛いと言われていたし、大人で金属のブレイスを着けるのには相当抵抗があります。

でも、アメリカでは子供の頃矯正してもその後の保定が甘くて再度大人になって着けたという人も見かけたし、大人がブレイスを着けていても誰も気にしません。イスタンブルでも大人でブレイスを着けている人を街中で結構見かけました。その後2年住んだ香港でも矯正は普通で、やっている子供達は多かったです{香港は歯医者はバカ高いので、矯正も高そうな気がしますが…)。私は日本に住んだままだったら、多分やらなかったでしょう。

アメリカに住んだからこその矯正は大変ではあったけれど、予定通り18ヶ月でブレイスとはお別れ出来たし、やはり私にとっては、コーヒーやワインを好きな時間に好きなだけ飲めたのは、他のデメリットを打ち消して余りあるものでした。何たって安かったですしね。そして今は、歯並びを気にせずに大口を開けて笑えます。アメリカに住むなら、歯列矯正、オススメです。 

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4 comments on “歯列矯正 in Arizona (2)”

  1. はじめまして。ブログ読ませていただきました
    去年の10月に日本から旦那(アメリカ人)と娘とアリゾナに引っ越してきました、Kanakoです。
    人生初のアメリカでわからないことだらけなのですが、これから免許取得、そのうち歯科矯正もしたいなと思っていてコメントさせていただきました。
    お返事頂けたらうれしいです。
    また記事楽しみにしています!

  2. Kanakoさん、返信遅くなってしまってスミマセン
    コメントありがとうございます。免許取得は、居住している市によって実技の内容は違うと思われますが、学科は以前記載した通り、州共通だと思いますので、頑張ってください!
    何かありましたら、いつでもご相談くださいね。って、私もまだアリゾナ歴がトータル3年なので、判る範囲でしかお答え出来ませんけど。

  3. はじめまして。
    こちらのブログを拝見し、米国での歯科治療(矯正・歯痛)について来年に検討中なので、保険についての情報をご教示いただけると幸いです。
    もともと「金属アレルギー」があるため、2008年に根管治療を行うと同時に口内金属のかぶせ物を撤去してそれらの歯を「レジン充填」をしましたが、最近になってその時の歯の1本だけ痛みが出てきました。この際に、メンテナンスも兼ねて渡米も検討してますが、なにより、費用については不安なこともありますので歯科治療費用、医療保険について併せてよろしくお願いします。
    P.S
    問い合わせから送信しようとしたけれど送信の画像が表示されないのでこちらから。

  4. 鈴木たか子様、コメント返信遅くなって申し訳ありません。
    アメリカの医療保険は非常にややこしい上に、歯科と眼科は別の保険になります。
    歯の治療の為だけとなると、渡米してまでやる必要はないと思います。
    私の場合は20%しか引かれませんでしたし。
    何であれ、保険に入るには、ソーシャルセキュリティナンバーが必要になると思いますが、そちらはお持ちでしょうか? 
    近い内記事に書こうと思っていますが、夫がルートキャナルをしなければいけなくなり、アメリカだと高いので、車で3時間走ってメキシコまで行って治療を受けて来た(ルートキャナル+ジルコニアクラウン)位、例え保険に入っていても歯科の治療費は安くはないです。

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