【アメリカで10倍うまく家を購入する方法】 住宅ローンを組む

アメリカで10倍うまく家を購入する方法シリーズ。(他の記事はこちら

今回は、アメリカの住宅ローンについてお話してみます。

しばらく前のこの記事で、家購入を確実に進めるためには、ローンのPre-Approval、またはPre-Qualifyをしておきましょうという話をしました。

その中でもアメリカには様々な住宅ローンがあるのですが、今回はそれらの紹介をしていこうと思います。ケーススタディもありますので、家の購入を考えている方は電卓と紙と鉛筆のご用意もどうぞ・・・笑

 

アメリカの住宅ローン

 

まず、アメリカの住宅ローンは、”mortgage”「モーッゲージ」と呼ばれます。

“loan”(ローン)と言うと車のローンやビジネスローンなど、広く表すことになるので、住宅ローンはスペシフィックに「モーッゲージ」と呼びます。一般的なmortgageは30年ローンで、これは日本と同じでしょう。

 

アメリカのmortgageは、Conventional, FHA, VAと呼ばれる3種類がメインです。

 

A. Conventional Mortgage

Conventional(コンヴェンショナル)は、一般銀行やクレジットユニオンなどが提供しているもの。

これらのダウンペイメントは、10%以上が必須で、たいていの場合は15~20%くらいでしょうか。これは、現金や別の持ち家など、資産が多めにある人向けです。

まずは、自分の銀行に行ってアプライします。

 

 

他にアメリカには、政府機関が関係しているものとして、FHA mortgage, VA mortgageと呼ばれるものがあります。今回はこの聞きなれない、FHAにフォーカスをあてようと思います。

 

B. FHA Mortgage

通称”FHA”(エフエイチエー)は、”Federal Housing Administration”の略で、HUD (発音は「ハッド」、US Department of Housing and Urban Development)と呼ばれる政府機関がファンドするものです。

このmortgageは、政府が貸し手(Lender レンダー)に一部出資しています。

どういうことかというと、 

政府(HUD) → レンダー(mortgageブローカーなど) → 住宅購入者

となるわけです。

 

FHA mortgageの目的は、住宅購入をaffordable(買いやすい)にすることなので、ダウンペイメント(頭金)は低め。2013年2月現在では、ダウンペイメントが住宅価格の3.5%から購入可能です。

ただ、このFHAにクオリファイされるには、いくつかクリアしなければならないことがあります。

 

1. mortgage額の限度額

FHA mortgageには限度額(Cap)があり、これは地域によって違います。

アメリカ国内でも不動産価格の差は大きく、モーゲージのバランスを取るためにこのような限度額が設定されています。

こちらのHUDウェブサイトに行って、自分の州とカウンティを入力すると、最高額がいくらかわかります。

たとえば、同じカリフォルニア州内でもこれだけ違います。

一般的なSingle-Family houseを見た場合・・・・

San Diego-Carlsbad $697,500
San Francisco-San Mateo $729,750
Oxnard-Thousand Oaks (LA近郊) $729,750

など、大都市郡では最大限度額も$700,000前後。

 

それが都市から離れると、

El Centro (サンディエゴから東へ1時間半) $325,000
Bakersfield (LAから北へ2時間) $368,750
Susanville (・・・・・どこでしょう?) $285,000

となり、これらの町では平均不動産価格も低いんだろうな、という予測がつきます。

あくまで「平均的な不動産」のためのプログラムなので、この最大額以上の豪邸などを買いたい場合、FHAは不適となります。

 

2.高い信用性 

FHA mortgageのリスクを低めにするために、レンダーは信用性の高いBorrower(ボロワー、借り手)を探します。

このためには高クレジットスコア(クレジットスコアについてはこちら)、安定した収入、持っている資産のliquidity(リクイディティ)などがチェック要素です。

Liquidity(リクイディティ)とは、資産の流れやすさ。つまり、現金に還元しやすいかどうか。

現金にしやすいものは、株や債権など。

現金にしにくいものは、不動産や車、アート品など。これらは”less liquid”と呼ばれます。

 

3. 家のコンディション

FHAはリスクをもっと小さくするために、家(建物)のコンディションが良いものを選びます。

この記事でも書いたような、安全性が低い状態のForeclosure物件などは、このアウトラインに引っかかることがあるそうで、なかなか承認されないそうです。つまり、FHA で家を買うなら、Foreclosure物件は難しいかもしれません。

 

4.PMI (Private Mortgage Insurance)

Mortgage元本の割合が家の価値に対して大きい場合、PMIと呼ばれる特別な「保険」を買わなくてはなりません。

これは毎月の支払いが義務化され、支払額は物件の価格によって異なります。

このPMIは、mortgageのprincipal(プリンシパル、元本 )が家の価値の80%以上の場合に払わなくてはなりません。この価値は購入価格ではなく、Appraisal(アプレイザル、発音は「アプレイゾー」)と呼ばれる査定で出される公式な価値です。Appraisalは家の売買の際には必ず行われます。

 

上の1~4のことを考慮して、家を買うのにFHAローンを組むというケーススタディを見てみましょう。紙と鉛筆と電卓は用意しましたか?

  • 買いたい家の額:$400,000
  • 手持ち現金:$15,000
  • FHAのダウンペイメント:3.5%
  • 利子率:3.75%
  • 家のAppraisal価格:$405,000

というシナリオを考えてみます。 ここでは、Appraisalの結果が購入価格より少し高かったというケースです。

$400,000の3.5%は$14,000ですので、手持ち現金でカバーできますね。

クレジットスコアも問題なし、収入も問題なし、となると、ダウンペイメント支払い後の$386,000が最終mortgage amountになります。

これでレンダーから”Pre-Approval Letter”をもらいます。「あなたに$386,000貸してあげますよ」という手紙です。

 

さぁ、オファーとカウンターオファーの応酬も終わり、めでたくこの家を買いました。

このウェブサイトによると、月々の支払いは利子率3.75%の場合、$1,787.62 だそうです。

 

これにPMIを追加します。

まずはLTVを計算しましょう。

LTVはLoan-To-Value ratioの略で、mortgage残額を、appraisalの価値で割って出されます。

LTV = (mortgage 残額)÷(Appraisal の価値)

= $386,000÷$405,000 = 0.953 = 95.3%

 

LTV 95.3%の場合、PMIはいくらか?という割合は、レンダーによって異なります。

たとえばこれをmortgageの0.75%としましょう。(だいたいそれくらい)

すると、

$386,000 X 0.75% = $30,108

が年間の支払額となり、

$30,108÷12=$250.80/月

となるわけです。

 

このPMIがなくなるのがいつかも調べてみましょう。

これは、月々$1,787.62 を返済して、プリンシパルが80%まで払い下げられたときになくなります。それがいつかは、”amortization calendar”と呼ばれるこのウェブサイトで調べられます。

ここで

  • Loam Amount: 386000
  • Loan Term: 30 years
  • Interest Rate: 3.75 %

と入れます。”Show by month”にチェックをしてください。(他は無視) 

そうすると、大きな表が出ますから、右コラムの”Balance”というのを見てください。

Appraisal valueの$405,000をもとにしてLTVが80%になるのは、プリンシパルが$324,000以下になるとき。(計算は$405,000 X 0.8 = $324,000ですね。)

バランスが$324,000以下になるのはいつかな~・・・・と、この表で探すと、October 2020のバランスが$323,368.17で、初めて$324,000以下になります。

つまり、これから約8年間、毎月、$1,787.62 + $250.80(PMI)を払うことになり、その後は$1,787.62 だけになります。

 

 ・・・・・と書いたその日に、私のレンダーから電話があり、FHAの法律がつい最近変わり、PMIは自動的になくならないということを教えてくれました。PMIをなくすには、LTVが80%以下になってから、もう一度 Re-finance (通称”re-fi”「リファイ」)しなくてはならないそうです。つまり、別のローンを組みなおすということですね。これはまた別の機会に書きましょう・・・。

 

C. VA Mortgage

“VA”(ヴィーエー)は”Veterans Administration”の略で、現役・退役軍人を対象にした政府機関です。このVAが、現役・退役軍人と家族のために家購入のお手伝いをするプログラムがVA Mortgageと呼ばれます。

お金の流れは以下の通り。

政府(VA) → レンダー(モーッゲージブローカーなど)→ 住宅購入者(=現役・退役軍人と家族のみ)

  • ダウンペイメント額
  • 購入可能な家
  • 軍隊でのサービス年数とランク

など、このプログラムを利用するにはまたガイドラインがあると思いますが、ここでは詳しくわからないので、専門家に聞いてみてください。

 

 

 どうでしょうか?

アメリカの住宅ローンについて少し参考になったら幸いです。

また、この記事で使った数字は、2013年2月現在のカリフォルニア州での情報です。時と場合により変動する可能性がありますが、アメ10ではその責任は取れませんのでご注意ください。

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2 comments on “【アメリカで10倍うまく家を購入する方法】 住宅ローンを組む”

  1. 初めてメールします。 現在サンディエゴに住んでいて、家の購入を検討中です。 頭金を極力押させて、$300,000~400,000位の物件を探しています。 銀行にコンタクトを取り、 Pre-Qualificaion Letterを入手しましたが、20%の頭金とのこと。 これは高すぎるため、記事を読ませていただき、 FHA Mortgageに興味があります。 上記内容に加え、どこにコンタクトすればよいか、等々、詳しく教えていただけないでしょうか? 以上、よろしくお願い致します。

  2. Senju Furuieさん、コメントありがとうございます。

    “FHA Lender San Diego”などで検索してみると、モーッゲージブローカーがリストアップされるかと思います。

    こちらのHUDのウェブサイトでは検索もできるようです。
    http://www.hud.gov/ll/code/llslcrit.cfm

    これらでいくつかコンタクトしてみてはいかがでしょうか?
    もっと込み入った用件であれば、私たちのコンタクトページから個別メッセージをいただければお応えさせていただきます。よろしくお願いします。

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