あるナースのつぶやき(3)~ 病院の構成について~

Yokoです。またお会いできましたね。嬉しいです。

今回はアメリカの病院(というか私の勤務する病院)についてお話ししようと思います。

私の勤務する病院は約540床の中規模総合病院です。

もちろん病院によってその組織・構成・決まり事には違いがありますが、大体似たような感じだと思いますので、何かのご参考になればと。

 

まず、病棟の種類から。

  • ER(ED) (Emergency Room/Department) 救急外来
  • ICU (Intensive Care Unit) 集中治療室
  • PCU (Progressive Care Unit) 後ほど説明しますね
  • ED OB (“イーディオブ” Emergency Dept. Observation unit) ED観察病棟
  • Med/Surg (“メッドサージ” Medical/Surgical unit) 内科・外科病棟
  • PRU (Physical Rehabilitation Unit) リハビリ病棟
  • Women Center 産婦人科
  • NICU/PEDs(”ニキュウ” “ピーズ” Pediatrics)新生児集中治療/小児科
  • OR (Operating Room) 手術室
  • PACU (“パキュウ” Post-Anesthesia Care Unit) 麻酔リカバリー室
  • ACC (Ambulatory Care Center) 外来手術・術前処置
  • Endoscopy 内視鏡室
  • Cath Lab (heart catheterization laboratory) 心臓カテーテル室

7年も勤務していますが、入口が別なWomen Centerには入ったことがありません。PEDsも現在はChildren’s Hospitalのスタッフが働くという、妙なシステムになっています。セキュリティの関係でこの二つの病棟には足を運ぶことがありません。産科・小児科系に興味のある方、ごめんなさい。

ER、OR、PACU、Endo、Cath Labにも病棟ナースが用事があって出向く事はほとんどありません。なので中がどうなってるのか全然わからないんですよ~。(汗)

日本で働いていた病院では受け持ちナースが手術を受ける患者さんをストレッチャーに乗せて行き、手術後にはお迎えにあがり、そこでナース同士、簡単な申し送りがあったりするわけですが、うちはTransporter (という職種がある。人を運ぶのみ!) がストレッチャーを持って来て患者さんをピックアップ/ドロップオフします。実は病棟にはストレッチャーが常備されてません。これ最初、不思議だったなぁ。

基本的に手術の行きは申し送り無しです。完成した術前チェックリストをチャート(カルテ)に入れて置くだけ。ま、今は院内統一のコンピューターチャートになってるのでどこからでも覗けるけれど、それ以前、各々バラバラな紙チャート時代は「こんなんで患者さんの事分かってんのかなぁ?」と不思議でした。

帰ってくる時はPACUのナースから電話での申し送り。ですからORナースは実際会ったことがありません。(どんな人が働いてるんだろう?)

手術内容についても、もっと詳しく知りたかったら先生のオペノートを後で読んでみてね、ってな感じでしょうか。そんな時間はないんですがね・・・

 

話が逸れました。

 

ここで典型的な病院での患者さんの流れを追ってみましょう。

 

まず、具合が悪くてERにやって来ますね。自力でくる人もいれば、もちろん救急車でやって来る人も沢山います。時々、ERを通らず、外来Drのオフィスから直接入院「Direct Admit」してくることがありますが、稀です。

 

そこでとっても、とっても具合の悪い患者さんはICUへ入院となります。

うちにはMedical ICU (MICU) とSurgical ICU (SICU) があります。

内科系か外科系かって事ですね。

ICUでは1時間おきのVital Sign (バイタルサイン、血圧や脈拍など) チェックをすべてモニターで管理し、点滴やチューブがたくさん入っていたり、Ventilator (“ヴェンチレーター” =レスピ、人工呼吸器) の患者さんもいます。患者2人に対し、ナース1人の割合です。(2:1)

 

ICUで少し回復すると大抵次はPCUへ転棟となります。

PCUは病院内で最もベッド数の多い所で、うちの病院には全部で6つのPCUがあります。ERからの入院がほとんどで、PCUの患者さんは全員24時間Telemetry (“テレメトリー”、心電図モニター)付きです。なので、Telemetry Unit、略してTele (“テリー”) とか言ったりします。一応各病棟でスペシャリティを掲げたりしていて、私が勤務するPCUのスペシャリティはStroke(脳卒中) / Neurology(神経内外科)です。・・・が、結局何でも屋と可していて心臓、肺、腎臓、肝臓疾患、その他もろもろを看ています。患者4人に対し、ナース1人の割合です(4:1) 呼吸器、循環器、消化器、泌尿器など各科で分かれる日本の大きい病院とはちょっと違いますよね。

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「うわ~っ、心電図苦手~」と思ってるそこのあなた。大丈夫です!

私も全くの心電図初心者でした。日本でのモニターは生きてるか死んでるか(一般の皆様、大変失礼っ!)を見てるだけだったんでは?というしょうもないナースでしたので・・・。

就職してから新人教育に混ざって心電図のクラスを取らせてもらいました。その後も毎年病棟ナース教育の一環として心電図を読むテストがあります。この病棟ナース教育についても今度つぶやいてみますね。

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さて、PCUで更に回復したところで患者さんはTelemetry(心電図モニター)から「卒業」して退院できたり、Med/Surg、PRUなどに転棟になります。

もちろんMed/Surgでは心電図モニターを必要としない患者さんをER、PACU、時にはICUから直接受け入れています。うちの病院にはMed/Surg病棟が2つ設置されていて、一つはOncology(癌疾患)、もう一つはGeneral/Ortho(一般外科・整形外科)です。Med/Surg系は患者さん5人まで受け持ちさせられることがあるようです。

 

以上が大まかな患者さんの入退院の流れになっています。

退院にもいろいろあってこれまた話が長くなりますので、またの機会に。

 

繰り返しま~す。これは私の勤務する南カリフォルニアの一病院の構成に過ぎません。

地域や病院によって組織、構成、ルールが全く違いますのであしからず。

 

今回はなんだかとってもテクニカルな?お話になってしまいました。他にもいろんな部署で様々なナースが活躍しています。またこちらについてもぶつぶつとつぶやいてみたいな~と思っています。進学・就職プランのお役に立てれば嬉しいな。何かわかりにくい所がありましたら教えてくださいね。

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3 comments on “あるナースのつぶやき(3)~ 病院の構成について~”

  1. 感慨深く読ませてもらいました。
    私も今、ある疾患を患っているのですが、Low incomeゆえ、毎回Drがかわり、1からの説明ト、毎回変わるDRの意見に、ほとほと疲れてしまっている、病院通いです。
    アメリカの医療って、日本みたいに繋がってないんですよねー。
    日本のに慣れている私には苦痛です、病院にいくのが。
    喘息になろうが、イボができようが、がんができようが、、まずは自己治療から...と、思っています。病院代もすごいし...
    自分の命と引き換えの高額医療、損なら死んだほうがまし。と。思う今日この頃。
    高額医療費のストレスで死ぬか病気で死ぬか。

  2. ↑あ、私 Direct admitされ ERいき 2回経験済みです。 それでも、対処療法なのだから、もう、自己防衛しかないと、思うのですが、 ステージ4でも、文句言いまん、 アメリカの医療。 

  3. アメリカで病気や怪我をして困る方はたくさんいらっしゃるようですね。風空さんのようにフォローアップが必要なのに保険などの関係で決まった医師に罹れないのは辛いです。
    しかもこの医療費といったら、本当に目玉が飛び出て落ちる額ですものね。

    おっしゃるとおり、私も自分で自分の身体の面倒をみるのが非常に重要だなぁ、と日々思っています。
    よく患者さんに「いつ、どんな病気に罹って、どんな症状があって、何のお薬を?mg、一日に何回飲んでいるか」を紙に書いていつでも持って歩くように言います。
    新しい薬が始まったらその都度リストをアップデートするのも忘れずに。
    特に英語が通じない患者さんなどはこのリストがあるだけで、患者さんの状況を理解するのに本当に助かります。
    そのリストを家の冷蔵庫に貼っておくと緊急で救急隊の方にお世話になる時も役立つかもしれません。(どこかで救急隊がそれをチェックする、と聞いたことが。ホントだといいな・・・)

    どうぞお大事に。

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