アメリカのフリーウエイの走り方


実は、先週金曜の午後から、ラスベガスに行ってました。


カジノが目的ではなくて、娘のチアーリーダのコンペティションの応援。


ラスベガスの話は次回に回して、昨日、月曜日、ラスベガスの帰りの道中で面白い経験をしましたのでお話しさせてください。かなり長くなりますが...。


コンペティションは日曜日午後8時で終わり。すぐに帰路について、深夜にサンディエゴ到着と言う手もあるのですが、同じ手を取る人たちで道路が渋滞するのが普通です。うちの場合は、もう1泊して月曜日午前中に帰るのが普通。道路も空いていてそれほど時間もかからないんですね。


と言うことで、午前中の11時頃にサンディエゴに向けて出発。ガソリンも満タン。うまくいけば、午後4時前には家に着くことができるはず。


ラスベガスから出て、しばらくこんな風景を見ながらひたすらI-15を南下します。


DSC05894


と、30分ほど走ると...


「この先、事故あり。」の表示。


「いやな感じ...」


しばらくすると、前方の車のブレーキランプがいっせいに点くのが見えました。


「げー、渋滞だよ...。」


これ以降、すべて、アメリカに来て10年以上になるわれわれが初めて経験すること...


ご存知の方も多いと思いますが、カリフォルニアからラスベガスに行く場合、陸路はフリーウェイI-15になります。つまり、これ以外の道でラスベガスにたどり着く方法はありません。もちろん、獣道を通ると言うのなら別ですけどね。あるいは、サファリラリーよろしく砂漠の中を砂埃を巻き上げて走るとか。または、超大回りをして北側から入るとか(そんな人いませんけどね)。


「ついてないね」とかみさんと娘。


「大丈夫、何とかなるって。ま、時間もあることだしね。」と私。


30分ほど、トロトロと歩行スピードが続きます。と...、前の車のブレーキランプが点いて...。それっきり動かなくなりました。10分、15分、待てど暮らせど車は全く動きません。


前の車からお父さんが犬を抱えて降りてきました。犬の用を足しに行くんでしょうか。いや、彼自身かも...。


後ろからやってきたおばさんは、進行方向を見ながらなにやらしゃべっています。


どこからか、双眼鏡を持ち出して前の様子を見ている人たち。


辺りはこんな感じ。


DSC05896 copy


実は、事故があったのは、上の写真の矢印の辺り。


われわれが止まっていたところから、事故がどれくらいの距離で起こっていたかと言うと...


Cima


アメリカがいかに広いかが良くわかると思います。


結局、事故現場を抜けることができたのが、止まってから約2時間後。普通なら、ラスベガスから1時間弱で通り抜けられるところを、3時間かけて抜けたことになります。


事故は見るも無残。2台の車、前の部分がありません。相当な勢いでぶつかって、ローリングして...。想像すると恐ろしい。車の近くには、黄色いシートをかぶせられた人(?)。


安全運転を心がけましょう。


「はぁ、ようやく動ける。」と娘とかみさん。


と...、85マイルほどでぶっ飛ばしていると、後ろから、「ゴツン」と鈍い大きな音が聞こえ、その後、ハンドルを取られるような感じ。ちょうど、氷の上を運転しているような感覚。


「やばっ...、やちゃったかな...」


急いで車を路肩に寄せて、右後輪を見てみると...


アメリカフリーウェイ


「あぁ~あ、パンクだ...。ひで~な~、こりゃ。」


「何とかなるの?」と娘とかみさん。


私「大丈夫、パンクなら何回も直してるでしょ?すぐにタイヤ交換するから。」


と、パンク交換セットを準備して、ジャッキを車の後方にセット。われわれが止まった場所は、砂漠の真ん中。1km直線のちょうど真ん中辺り。


Cronese Lake


クリクリとスティックをまわしていく。ジャッキが伸びきった状態。でも、まだ、タイヤを交換するには十分に上がり切ってない。


私「う~ん、ジャッキをセットする位置を間違えたみたいだな。まずは、ジャッキを下ろして...。」


とクリクリとスティックをまわす。ん?


私「ありゃ?下がりきらない。これじゃ、ジャッキがセットできないじゃないか...」


状況がわかりにくいのですが、つまり、伸ばしすぎたジャッキを戻しても、元に戻らず、本当にセットしたい位置にセットできなくなってしまったってことです。まだわかりにくいですかね(汗)。


と言うことで、車が持ち上がらなければ、タイヤは交換できません。


娘「どうするの?」


かみさん「AAAに連絡して来てもらうしかないね。」


AAA(トリプルA)と言うのは、日本で言うJAFのアメリカ版。


私の方は引き続きジャッキを直し、娘とかみさんでAAAを呼んでもらうことに。


娘「AAA、20分くらいで来るって。」


私「良かった。これで直してもらえるな。」


ところが...、それから数分後、AAAから電話がかかり、45分後に行くとのこと。


私「参ったなぁ...、帰るの遅くなるな。」


でも、仕方がない。待つしかありません。それからまた30分後、AAAから電話。オートアンサーで、


AAA「5時10分ごろ、そちらに到着予定です。」


私たち「はぁ?今、何時だと思ってるんだ?もう1時間、待たなきゃならないの?」


私たちはすでに、1時間その場に立ち往生していました。


私「待つしかないかな...」


娘、かみさん「本当、運が悪いね。最悪。」


私「いや、事故にならなかっただけでも良かったよ。フリーウエイでパンクしたら事故を起こす可能性が高いからな。」


3人...車の中でボーっと。


それから5分後くらいだったか、私がフェンダーミラーを何気なく見ると、後ろにカリフォルニアハイウェイパトロール(CHP)のパトカーが止まるのが見えました。


実は、AAAを待っている間に、1台のパトカーがわれわれを見て見ぬふりをして、走り去って行ったことがあったんです。普通、路肩と言えど、フリーウエイで車を停車するのは大変危険な行為。禁止されています。ですので、CHPは必ず止まって何らかの処理をする必要があるはず。


私「お、ポリースだ。」


娘、かみさん「やっと来てくれた...。」


ポリースオフィサーがパトカーを降りてわれわれの車に近づいてきました。


かみさん「パパ、撃たれないようにきをつけてね。」


私「撃たれるはずないじゃん...。」


オフィサー「どうしました?」


私「すみません。車がパンクしてしまって。で、ジャッキが壊れたんで、AAAに電話して来てくれるように頼んだんですけど、5時まで待てって。今、AAAを待ってるところなんです。」


オフィサー「どのくらいここにいるんですか?」


私「3時ごろAAAに電話しましたから、すでに1時間ほどいますね。」


オフィサー「もうあと1時間ですか。ちょっと辛いですね。ラストネームを教えてください。私の方からAAAをプッシュしてみます。」


と、トランシーバーを使って、何やら本部とやり取りをしているようです。


オフィサー「ところで、ジャッキは壊れたんですか?」


私「良くわからないんですけど、元に戻そうとしても下がりきらないんです。多分、中の歯車がうまくかみ合っていないと思うんですけど。こんな問題がなければ、自分でタイヤくらい交換できるんですけどね。」


オフィサー「4万ドルもするSUV用のジャッキにしちゃ、お粗末ですね(笑)。じゃぁ、私が上からジャッキの頭を押しますから、あなたは、そのスティックでくるくる回してみてください。」


と、2人がかりで格闘しているうちに、あ~ら不思議、ジャッキが元通り動くようになったんです♪。結局、中の歯車がうまくかみ合っていなかっただけのようです。


オフィサー「じゃぁ、これをセットして、車を持ち上げましょうか。」


私「ええ、ありがとうございます。」


と、2人がかりで、タイヤを交換。オフィサーによれば、SUV用の補助タイヤは、普通の車のものと違って、かなりしっかりしているのでフリーウエイをそれなりのスピードで走っても問題ないとのこと。


オフィサー「これでOK。直りましたね。」


娘「パパ、手が油で真っ黒だよ。」


オフィサー「これ、使ってください。」


と差し出したのがウエットティッシュ。


私「ありがとうございます。助かりました。」


オフィサー「これからどちらへ?」


私「ええ、サンディエゴへ帰ります。」


オフィサー「もしかしたら、サンディエゴ・チャージャーズファン?」


私「ええ、もちろん大好きです、チャージャーズ。」


オフィサー「おお、そりゃ良かった(ガッツポーズ)。」


オフィサー、少しおどけ気味。面白くて、気が利いて...。こんなオフィサーもいるんだと思いました。


オフィサー「じゃぁ、私がバックして、後続の車にウォーニングを出しますから、私が合図したら、走行車線に入ってください。じゃぁ、気をつけて。」


私、かみさん「本当にありがとうございました。助かりました。」


で、オフィサーのパッシングの合図の後、走行車線へ。オフィサーがわれわれの車の左側を走り去る際、3人で手を振って挨拶。彼も手を振り替えしてくれました。


アメリカに来て10年以上経ちますが、いまだかつて、これほどやさしいオフィサーを見たことがありません。私も含めて3人とも、とても良い気分でした。


かみさん「名前とメールアドレス、聞いておけば良かったね。後で、お礼が言えたのに...。」


それから車を飛ばすこと3時間。午後8時に家に到着。結局ラスベガスから家まで、9時間。


最悪の経験をしたわれわれでしたが、不思議と気分は最高でした。

 

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6 comments on “アメリカのフリーウエイの走り方”

  1. 良くないことは連鎖するもんなんですね(汗

    しかし、15キロの直線なんて初めてみたww

  2. N@さん、こんにちは。コメントありがとうございます。

    >良くないことは連鎖するもんなんですね(汗
    そうですね。でも、終わりが良かったから、すべてOK(笑)。

    >15キロの直線
    実際には、20キロ以上の直線だと思います。恐ろしいですね。

  3. A merry Christmas to Mr.Masa!

    いやぁ、まさにパニック映画でよく見る光景。(笑)
    CGじゃないこの直線。広大なアメリカの象徴ですね!

    僕もNYのJFK空港からクーパーズタウンという町まで
    高速を走ったんですが、カーナビが必要ない!
    表示がわかりやすくて、真っすぐなんですもん(笑)

    車社会、アメリカ。最近はトヨタ、ニッサンときにヒュンダイと
    走る車はアジア系が増えましたが
    広いアメリカの道を築き上げた先人に尊敬。

  4. Marlboroさん、毎度、コメントありがとうございます。

    >パニック映画でよく見る光景
    確かに!あちこちでクラクションが鳴ってる感じですね(笑)。

    目に見える距離でも、実際に走ってみるとえらく時間がかかるので、「結構遠いな」なんて感じますね。

    >JFK空港からクーパーズタウン
    ニューヨークにもそんなところがあるんですか。カーナビ必要ないですね。あまりに見通しが良いので、どうしてもスピードを出しがち。ポリースに捕まらないように気をつけなきゃなりません。

    それに直線で単調だと、眠くもなりますね。居眠り運転にも気をつけましょう。

  5. いい話ですね。オフィサー、いい人です。
    こんな人ばかりなら世の中幸せですよね。
    来年、私もサンディエゴからラスベガスへ行きます。
    安全運転を心がけます。
    今は日本ですが。

  6. 長澤さん、コメントありがとうございます。

    何かと嫌われている警察ですが、こういういい人もたくさんいると思うんですよね。

    ラスベガスへのドライブ、お楽しみください。

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