アメリカ企業 What’s going on there?

Masaです。

以前このような記事を書いたことがあります。

アメリカ企業でボスになる7つの条件

「3.周りに対して公平であること」

チームの中に、どんなに乱暴なやつがいても、どんなに仕事ができないやつがいても、ボスはすべてを公平に扱わなければなりません。

 

実は、今、その光景を目の当たりにしてまして。

 

会社の機密を漏らすつもりは毛頭ありませんが、今、実は、「90日ルール」というイエローカードをもらった技術者がうちのグループにいます。

アメリカ企業で、今後働く機会があるかたもいらっしゃると思いますので、何が起こっているかお話ししたいと思います。

 

そう...思い起こせば...彼が入社してうちのグループにやってきたのが、5年ほど前。私も彼が採用される前に、面接で彼と話したことがあります。その際の彼の印象は、「とらえどころのないやつ」だったと思います。出身大学はやたら良くて、勉強はものすごくできるんだけど、面接の質問に対する受け答えが的を得ていない。なので、私の判断は「No」でした。

ですが、その当時、猫の手も借りたいほどの忙しさだったため、上司の一声で彼を雇うことになったのです。

 

雇われてからの彼の働き具合ですが、相変わらず「とらえどころがない」。オフィスで仕様書でも書いているのかと思えば、ウェブサーフィンをしてるし、ラボで実験でもしてるかと思えば、ラボのPCでプライベートのメールをしているし。

テストの納期が迫っているのに一向にテストレポートが上がってこない。で、理由を聞くと、「XXの方がプライオリティが高いので、そちらを優先的に仕事をしていたので、こちらに手が回らなかった」とか、「マネージメントとのディスカッションで、テストのプライオリティが下がったので、そちらにはまだ手を付けてない」とかなんとか。とにかく、いろいろな理由を付けて「言い訳」をします。

で、納期数日前に、バタバタバタっとテストをしてレポートを提出します。納期に間に合ったからいいようなものの、こちらにしてみれば、危なっかしくて見てられません。もう少し余裕をもって仕事をしたらどうだろうかと何度思ったことか。

 

さらに彼、人とのコミュニケーションが苦手なんです。人の輪の中には進んで入っていきません。中国出身で、中国人とは大きな声で会話をするのですが、我々グループの中では、何か聞かれたときや、必要なときにしか話そうとしません。英語が苦手と言うわけではないんです。英語でのコミュニケーション能力は十分にあります。

 

それから...彼、やたら昼食の時間が長い。彼の家は会社から車で5分程度のところにあるのですが、毎日、昼食は家で取っているようです。いつも昼の12時前にオフィスを出て、戻ってくるのが午後2時少し前。ひどいときには、午後2時半過ぎまで戻ってこないときがあります。

まぁ、人間的には悪くはないので、私個人的には今までフツーに付き合ってきました。子煩悩で子供が好きなフツーの親父って感じですね。子供の話をすると止まらない感じ。彼の昼食時間が長いのも、子供と遊んでいるからなのでしょう。

 

そんな彼、周りから言わせると、

 

「仕事をしないので、万年平社員」

 

仕事をしていないわけではないのですが、周りと比べると、アウトプットの少なさでは断トツです。わたし的には、よくこの程度の働きで会社にいさせてもらえるものだと、いつもあきれてました。まぁ、マネジメントとしては、「いないよりもまし」なやつとでも見ているのでしょうか。とにかく、彼の存在が不思議でした。

 

個人的には、かわいそうな奴だって思っていますが、自分で自分を知りながら何もしない、向上心のまったくない彼に腹立たしさも感じてました。

 

つい先日、毎年恒例のパフォーマンス審査があったんですね。これは、去年一年間、どれくらい頑張ったかによって、昇給があったり、昇進したりする、みなさんお待ちかねの行事なんです。で、彼、今年も昇進なし。昇給額もかなり低かったみたい。

さすがに彼でも、その結果に納得がいかず、マネージャに食ってかかったようなんです。「どうして昇進できないんですか!」、「どうして昇給額がこんなに低いんですか!」って。

マネージャの答えは、彼も想像がついているはずです。「いや、君の頑張りでは、昇進、昇給どころか、降格、減給だ。」と言われたのかどうかは定かではないのですが、偶然にもその後彼とすれ違った私は、彼の落ち込んでいる姿を見たのでした。

 

「ありゃ、今年もダメだったのか」

 

と思った私。「どう、調子は?」などと声をかけられるはずもなく、そのまま、肩を落とす彼を見送ったのでした。

 

その翌日、彼は「風邪を引いた」とのことで、会社を休みました。その翌日も「風邪が治らない」とのことで休みました。それが金曜日のこと。で翌週の月曜日、彼、ようやく会社に出てきたんですね。で、たまたま彼を見かけたので、

 

「どう、調子は。風邪、もういいの?」

 

と尋ねると、

 

「いや、まだ気分が悪いんだ」

 

とのこと。

 

「もっと家で寝ていたら?」

 

と勧めると、

 

「うん、そうしようと思ってる。実は...」

 

と彼、私に話始めるんです。

 

彼:「実は、風邪をひいているわけではなくて、精神的なことなんだ。」

私:「そう。ストレスでも感じてる?」

彼:「いや...。誰にも言わないで欲しいんだけど...。この前のパフォーマンス審査の結果でマネージャともめちゃって。俺のパフォーマンスは最低だって言われて...。それで気分悪くなっちゃってね。」

私:「・・・(言葉を失う)。」

彼:「今日も気分がすぐれないのでこのまま帰ることにするよ。」

私:「その方がいいかもね。寝たらすっきりすると思うし。」

 

と、彼はそのまま帰っていきました。ある程度予想はついていたのですが、やはり、彼はパフォーマンス審査の結果が受け入れられず極端に落ち込んでいたようです。

私に言わせれば、彼のアウトプットを見れば明らかなこと。仕方がないでしょう。

 

当然、彼、1週間近くも休んだわけですから、仕事も山積み状態です。会社に出てきて、山積みの仕事を片付けると思いきや...、仕事のパターンはまったく変わらず。

 

「こりゃ、あかん!」

 

と思わざるを得ませんでした。

 

そんな彼の行動を見透かしていたマネージャは、毎日のように彼を自分のオフィスに読んで、今後仕事をどう進めるべきなのか彼とミーティング。何とか彼にフツーのアウトプットが出せるようにいろいろと工夫をしているようでした。

そんなマネージャーの好意をよそに、彼の仕事ぶりはまったく変わらないのでした。

 

超温厚なマネージャもさすがに堪忍袋の緒が切れたのか、若干声を荒げて、

 

「これにかかる時間は、それほど長くはないはずだ。どうしてそこまで時間がかかるんだ!」

「これは1時間程度でできることだと思うけど、なぜそれ以上の時間をかける必要があるんだ!」

「こちらのプライオリティの方が、あっちよりも高いことは理解しているはずなのに、どうして、こっちを先にやらないんだ!」

 

と彼にぶつかり始めました。私から見れば、マネージャが怒るのも無理のない話。

そういわれた彼、いつものように、

 

「他の仕事が立て込んでて、こちらの仕事に手を付けることができなかった」

「プライオリティを決めたのに、それをやっているわけにいかなくなった」

 

などと、理由を付けて言い訳をしまくります。

 

そんなやり取りが数日続き...

 

ある日、何気なしに彼に目をやると...、別に何かあるのかと意識して見たわけではないのですが...、彼のパソコンのディスプレーにある書類の表紙が表示されていたのです。

Written Performance Improvement Plan from “Manager”

思わずドッキリ!まるで自分に突き付けられたように感じ、息をのんでしまいました。

 

そう、これが例の、

 

90日ルール

 

ついに来たか!って感じですね。今まで、今の会社では見たことのない書類です。ま、普通に働いていれば、絶対に見ることのない書類なんですけどね。

つまり...

この書類に彼は、今後90日間で、自分のパフォーマンスを改善すべく、いろいろな計画を立てて、マネージャに提出する。そして、両者合意のもとに計画にサインをして、90日間でパフォーマンスを改善する。もし、90日でパフォーマンスに改善が見られたら、彼は引き続きこの会社で働くことができる。もし、マネージャに改善されたとみなされなければ、彼は、

 

クビ

 

会社かれ出ていかなければならない。

その書類を見た私、

「がんばれよ!」

と正直に思いました。 

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2 comments on “アメリカ企業 What’s going on there?”

  1. 教えてください。タイトルの「What’s going on there?」とは日本語でどういう意味ですか?

  2. コメントありがとうございます!直訳すると「何が起こっているのですか?」となりますが、普通はもっとくだけた感じで「何してんだろう」とか「どうなってるんだろう」とか、使う場合によって、若干ニュアンスが変わってくると思います。

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