ダーリンはモーティシャン ~お手伝い編~

私のダーリンは、カリフォルニアの田舎町Lone Pineで葬儀屋兼副検視官をしています。

(Lone Pineで有名な、鳥形のアーチ)

以前にも書きましたが、彼が担当する地域は広大です。

そして何故か、人が亡くなる時は重なるものなのです。特に夏。ハイキングに釣り。人々が集まる時に事故が増えます。この夏も例外では有りません。

 

ダーリンは只今、仕事に追われています。

ここ2週間で、既に5人の方が彼の担当地域内で亡くなっています。山では今現在サーチ&レスキューの皆さんが、遭難者をさがしています。遺体搬入、本人確認、死因判明の為の解剖、家族との打ち合わせ、書類作成、届出、火葬の際の移動。 ホリディで来て亡くなった方を地元まで送り返す。

諸々これら全てを、同時進行独りでやらなくてはなりません。事務員も、アシスタントもいないので、電話応対、諸手続きにと大忙しです。

側で見ていても、大変さが伝わってくるので、手伝いを申し出てみるのですが、資格が無いので専門的な事は手伝えない。電話対応は、代表番号が旦那の携帯に転送されるので、手出しが出来ない。書類の届出を代行したくても、免許と車の無い私が、15マイル離れた役所に行く事ができない。

完璧主義の旦那からすれば、私が電話を受けても、まともな受け答えは出来ないと思っているだろうし、書類に不備があった場合等を考え、届出を私に託すとは思えないのですが。

 

(お葬式中に出すサイン)

そんな私に出来るお手伝い。それは。

重い遺体を動かすとか、重い遺体を移動するとか、重い遺体をキャスケットに入れるとか・・・・・・。

最初の頃は、遺体が直接私の目に触れない様に気を使ってくれていた彼も、最近では、結構気軽にストレッチャー移動をお願いされる事が多くなりました。恐怖とかは無いのですが、傷跡も生々しい遺体を見るのはさすがに堪えます。

 

社会現状なのでしょうか、体重300lb.を超える方も多いですね。キャスケットに収めるのも大変で、最大限に横幅を広げる機能付き製品を利用するとか、特注品を頼むなど費用も嵩みます。

 

女性の遺体に服を着せる。これが次に多いお手伝い。

ブラウスは、スカートにたくし込むべきか、そのままにするべきか?上着も着せ、上半身部分しかキャスケットの蓋は開けないと判っていても、慎重に完璧を目指すダーリン。化粧を施し、上手くいかないと嘆き、機嫌が悪くなる彼をなだめる。(ここ大切)

私から見たら、穏やかに眠っている様に見えるのに、何が気に入らないのか?理解不能。最終的に、遺族の方から、ありがとうの言葉があるまで、彼の憂鬱は止まらないのです。

完ぺき主義者って本当に扱いにくい。

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5 comments on “ダーリンはモーティシャン ~お手伝い編~”

  1. Norikoさん
    先日はお会いできてうれしかったです!
    夫がNorikoさんのダーリンのお世話にならなくて良かった!
    山での遭難なんて、考えただけでもぞっとします。
    はやく運転免許とってくださいね~。

  2. 初めまして。
    シリーズ、興味深く拝読しております。
    完璧主義は確かに扱いにくいですよね。
    でも何回か読んでいくうち、Norikoさんの旦那さんに最期を送り出してもらえる方は
    幸せだと思いました。

    お体に気を付けて激務を乗り越えてくださいとお伝えください。
    そしてもちろんNorikoさんも!

  3. Makiさん

    こちらこそ、嬉しかったです。
    まさに砂漠の中で、出会えたオアシス。感謝してます。
    本当にご主人が無事でよかった。

  4. そうそう、免許より先に、車買っちゃいました。
    連休明けに、DMV行って来ます!!

  5. Hisayo さま

    ありがとうございます。本当に難しい人なんですよ。
    でも、仕事に関する評判はかなり良いです。
    (すいません、自慢しました!)
    実はこのシリーズの事は、主人にはまだ言ってないんですけど、
    彼がこのコメントのことを知ったら、きっと喜びます。

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