ビザと専攻と国籍とロッケンロー(散文)

僕は、一度目の留学で挫折しています。

日米では学校の仕組みが大変異なるので、一概に比較できないのですが、ま、自分の中では単純に「中退」という扱いです。

途中で帰国してしまったので大した意味はないのですが、その昔の専攻は「Music Education」。

ジャズ教育に重きを置きつつ「音楽教育とは」をゼロから物凄く厳しく叩き込んでくれた、全米音楽教育界隈では有名なカナダ出身の恩師・ジムのお陰で、「日本人留学生、全額奨学金で名門私立へ」と地元テレビで流れるほどの好待遇をゲット。

「将来は音楽教授かな。」

悠々自適かつ上質の学生生活を満喫しながら有名大学院への進路に心弾ませていました。

帰国直前までノースダコタ州ビスマルク(Bismarck, North Dakota)の公立校で教育実習をし、大学や楽器屋でも多数の生徒を抱え、州を越えて演奏の仕事をこなし…

でも、やる気がすべてですね。

当時、実家で色々な出来事が重なったというタイミングもありましたが、一度「ん?何か違う」と思い始めてしまった後は、それまで描いていた将来像がガラガラガラぁと目の前で見事に崩れていきました。精神的に幼かったのでしょう。1999年夏、完全帰国。

時は流れ、日本での脱サラと再米国留学が実現したのが、2008年夏。

第一の目的は「とにかく大学卒業」。

「こんなヤッツケで良いのか」と疑問に苛まれながらも、「昔の単位を移行できる」という安易な理由で「Music Education」を再開。

やっぱ、なんか違う。

再び前述のジムのお陰で巡り会った、この時の編入先(現職場)「Friends University」。多額の奨学金を貰っていたのですが、この学校では「専攻」と「奨学金」の縛りがほぼないことが判明(ちょっと遅かった)。(通常、州立大などでは「専攻限定の奨学金」などの「縛り」があります)

「音楽以外の何かにしたいが、何をしようか。」
「もう最初の学期が始まってしまったし、早く決めねば…」

そんなこんなで決めた専攻が「Communications with an emphasis in Journalism/Public Relations」。ま、色々な要素を混ぜこぜして「とにかく書く」という趣旨の専攻です。

そう、ひたすら英文を書くわけです。

「え~」と思われそうですが、どうしてこれになったのかというのは、若干話が長くなるので割愛しまくると、「他に何をやれば良いのかマジ分からなかった」から。

もともと結果オーライな人生(性格)なので、あまり深く考えて辿り着いた結論ではありません。もう「ノリで?」みたいな。「マジで?」みたいな。さまぁ~ず?、みたいな。

超適当です。

でも実は「脈略皆無」の状態から見つけた方向性ではなく、たまたま日本での直前の仕事が「取扱説明書のテクニカルライター/制作ディレクター、機械系翻訳(和英、英和)」だったから。(正確には渡米前日までの「短期派遣で高島屋地下の売り子」という面白かった職がありますが)

始発帰宅でも通常出勤が続く激務で「死ぬ死ぬ」思いながら続けていた仕事でしたが、嫌いではなかったので。

とりあえず、個人的には音楽よりは「大学らしい印象を受ける」というのもありました。

ま、やってみたら、たまたま「合った」感じです。

この専攻、ひたすら取材して毎週2~3本の記事を書き添削して編集するだけなんですけど、素直に楽しかったです。

その後、自分の中では卒論扱いだった「大学の国際化について」のレポート兼企画書の下書きが、担当教授達から教頭、副学長、学長と渡り、「ウチに来ないか」という流れを経て「米国での就職」という運びになりました。

「人間どこでどうなるか、本当に分かりませんね。」

先月帰省した時、その昔お世話になっていた制作会社の社長とも談笑する機会がありましたが、そう言って笑っておりました。

つくづく同感。

「この時、この人とすれ違ってなかったら…」という瞬間。皆さんも多々あると思いますが、この年齢になると「点と点が、十ン年を経て線で繋がる」現象が増えてきて、不思議でたまりません。

「これって運命?」

いつか、マサさんがサンディエゴで「これでもか」という量の海鮮(舟盛り?)と美味しい日本酒を「まぁまぁ」と言いながらジャンジャン勧めてくるんだろうな、とか。

「え~すいません、ほんとにぃ」とか言いながら、グイグイ空ける俺みたいな。

それは運命に間違いないので、逆らわずに「ご馳走様」と言いたい。

ありがとう、マサさん。本当にありがとう。

ちなみに僕は高校時代、英語の成績は三年間とても安定して「2」か「3」(10段階)。

英語が苦手だけど留学したい、そこの君!

あきらめちゃいかん!

とりあえず来ちゃいな!

英語が得意な君!

そのままがんばっちゃいな!

取って付けたように「H-1B」と「出身国」や「母国語」などの関係について一言。

これら三点には、基本的に相互関係はありません。

ま、ざっくりと見ると「中国・インド出身者はカナダ出身者より不利だ」とかはありそうですが…

「大学での専攻と仕事内容が直結している」という項目が最重要事項の一つである「H-1B申請」。

アメリカの大学で『日本語を専攻』しない限り、「日本人だから日本語を武器にして」というのは移民法上では通用しません(申請相談の段階で、移民弁護士にダメ出しされるはず)。

従って、通常これはグリーンカードを持っている人のみが使える「技術」となります(実際こちらで日本語を専攻されていれば、理論上はいけますが)。

現在留学中または「これから留学したい」という方が「将来、アメリカに(アメリカ人との結婚以外で)滞在し仕事をしたい」場合、専攻を決める際には是非お気を付けください。

一般的に「Business(MBA含)」や「その地域ごとの免許取得に特化した専攻(Educationなど)」も「H-1B申請」には「適さない、というか、ほぼ無理(移民弁護士ジム談)」とのこと。

最近「お~うまいことやったね~」という珍しい「ビジネス専攻」の事例に遭遇しましたが、一般的には避けたほうが無難な部類かも知れません(その辺に詳しいインド人・スリランカ人留学生の間は「当たり前の知識」として認識されているようです)。

「H-1B」、やはり理数系や技術系などの「いかにも特殊技能」を持ってらっしゃる方々が強いっす。

この辺について、その他「H-1B申請」経験者達から、一言二言ありそうですが…

噂では、これからまた移民法(特に非移民の就労関連)が大幅に変わるとのこと。

ま、今年は大統領選挙ですしね。

ビザ上、「綱渡り」が続く小生は、考え出すとキリがないので、ま、なるようになるかな、なんて「流れ」に身を任せておきます。

一昨年前の数字で申し訳ないのですが、米国が在米留学生から受ける恩恵は年間200億ドル($20 billion)以上。この金額は、毎年着実に上昇しています。

それを受けて米国政府は現在「留学生ウェルカム」という姿勢なので(東京の米国大使館副領事談)、当分の間、留学生には「追い風」が吹き続けそうです。

「アゴがしゃくれた」という英語表現。

アルクで調べてみるまで分かりませんでした。

日常英会話って難しいね。

ロッケンロー。 

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