三十路男子、苦難と奮闘
こんにちは。Naoです。
高校の教員を休職して10月よりカンザス州に移住し、勉強とスポーツを両立させるべく奮闘しております。
思い返せば3年前の1月、チームOBの仲間たちと、アメリカ・インディアナ州で開催されるチアリーディングの全国大会に出場しました。
渡米して大学に通うことはもっと前から考えていたのですが、いわゆる「アラサー」として現実が少しずつ見え始め、厳しいかなと思い始めていた頃だったので、正直この大会で自分を納得させて切り上げようと思っていました。
と、思っていたんですが…
逆に、自分の中で新しい世界が開けてしまったんですね。経験したことのない、こんな世界があるのかと。
日本でやっているときは、良い意味でも、悪い意味でも、「特別」な存在としてこのスポーツをやっていました。
ですが、アメリカでは、「当たり前」の存在なんですね。小さい子から学生、大人まで。とんでもない雰囲気でした。
結果として、むしろ火がついちゃいまして、その時、「体が動かなくなる前に、一度でいいからこの世界を体験したい」と決意しました。
そしてちょうど3年の月日が経ち、
気づいたら学生になるとこまで来てました。
人間やってみるもんですね。いくらかかったか計算したくもありません。
3年前の自分が想像できただろうか、、としみじみ感慨に浸ってしまいましたが、
まだ全然ゴールじゃありません。写真撮ってるだけではスタートラインどころでもありません。客ですそれは。
ということで、渡米後、ヘッドコーチにコンタクトを取り、練習を見学させてもらいました。
なんと渡米の1週間前に、男子部員追加募集の選考(トライアウト)が行われており、残念ながらそれには参加ができませんでした。
チームのレベルは、良い意味でも悪い意味でも「ちょうどいい」感じでした。こんなこと自分ごときが言うのはおこがましいんですが、器械体操の練習環境がこの大学には無いため、体操能力面では自分にアドバンテージがあるように感じました。ただ、やはりアメリカ人。昔からYoutubeで見てましたが、
巨漢。巨躯。
もう骨格が違うというか、なんかおかしいです。子犬と大型犬くらい根本的な何かが違う気がします。
もともと自分も骨の太い方ではないので(学生時代は上に乗ってたくらいの体格です。)、フィジカル面がとにかく劣る。
男女チーム(男女共学、という意味の「コエドCo-ed」と言います)のコーチと話して(話せるほどの英語喋ってないですけど)、トライアウトには間に合わなかったけど、能力的には参加できる可能性があるので、ヘッドコーチと相談してみる、と返答をいただきました。
お、好調な滑り出し、と思ったのですが、ここもまたアメリカというか、まあ連絡が遅い遅い。
1通メールを送ったら2週間は返ってこない。
こちらも典型的な日本人マインドが働いて、「1通の返事に対して2通以上送るのはキモいんじゃないのか」とためらう。
状況は、少しずつ、少しずつ進み、返事を待つ間、とにかく食う、鍛える、英語勉強する、を続けました。
ちなみに2か月半経ちましたがろくに英語は喋れませんし聞けません。ヤングなルームメイトたちのパーティが大騒ぎでいつも部屋に聞こえてくるんですが、下手すれば1単語も聞き取れないこともしばしばです。「ファッキン」と「オーサム」だけ聞き取れても意思疎通にはなりません。
まあとにかく能動的にコミュニケーションを取り、「日本語脳」を脱却するトレーニングを地道に続けていくしかないですね。
で、返事をゆっくり待っててもつまらないので練習を見学しに行ってコエドのコーチに問い合わせたところ、
「練習いつでも来ていいよ。練習前のアップの時間だったら参加してもいい。ただ朝練はきついと思うから、来るなら夜がいいんじゃないかな。」
と。
最初からそうしてれば良かった。やはり自分から行動しないと何も変わらない国です。
ちなみに彼の言う「朝練」というのは、朝6:15~8:00までのものです。
バカ言うんじゃないよ高校生じゃないんだから。
水は夜練、木は朝練です。ちょっと青ざめました。
それから数週は、練習前のアップに参加させてもらいました。やはり女の子も大きめなので、日本でできていたようなことがなかなかできず、1からのスタート、という感じでした。ただ、技の呼び名や、動き方が日本と異なる部分が多々あり、ちょっと危ない目にも遭いました。これも慣れていかないといけないですね。
部員はこの謎のアジアのオッサンにも優しく、みんな丁寧に教えてくれます。6割くらいしか聞き取れてませんけど。最初29歳って言ったらかなり驚かれました。22かと思った、と。
良い国です。
3年前に、青いユニフォームのチームの大学も見学に行ったのですが、そこは世界一と言われる「ケンタッキー大学」でした。自分が出場した大会と同時期に、大学生の学生大会がフロリダで開催されており、それの発表会でした。
ということですので、留学している大学のチームも、同じ大会に出場すべく、冬に向けて彼らの練習はハードになっていきました。12月は大会直前なので、なかなか練習には参加できませんでしたが、なるべく見学しに行くようにしました。10月に入部した1年生の黒人の男の子(体操経験者)がよく話しかけてくれるので英語の練習にはなるのですが、まぁ彼の英語も早い早い。
「スタンゴーやろうよ!」といわれ、「え?スタンゴー?え??なに?」とおろおろちんぷんかんぷんしていたら
「Stunt Group」でした。日本語ではグループスタンツ。ダブルベース、と言ったりします。
4人で組むチアの技ですね。
こんなん慣れんのかよ!わかるかよ!
日々鍛錬ですね。筋肉もスポーツも英語も勉強も。30歳にしてまだまだ学ぶべきことだらけです。
さて、ヘッドコーチいわく、アスレチックディレクターの判断待ち(日本の体育会と異なり、奨学金や備品支給などもあるので手続きが煩雑)ということで、果たして正式入部はできるのでしょうか。
まずは、彼らの遠征の無事と、演技の成功を祈ります。来年は、「そっち側」にいることを目指して。