中西部の生活 – 2 : 高級リゾートホテルに住むような生活?!

さて、先輩に救出してもらって移動したモーテルはすぐとなりにファミリーレストランがあり、その斜め向いにスーパーがあったので、もう何もない平野をえんえんと歩くことはなくなりました。

まあ、相変わらず駐車場も道路も広いので「となり」「むかい」と言ってもあまり人が歩いていない場所をテクテクと歩くのは同じなのですが・・・

とにかくモーテルに1週間滞在しつつ、先輩の助けを借りて入居するアパートを探し始めました。

先輩も働いているので行動できるのは平日の夕方と土日のみ。仕事で疲れているだろうに本当に申し訳なかったのですが、私もオハイオに来て車がないとこれほど車を持っている人におんぶに抱っこ状態になるとは、想像もしていなかったのです。

毎日毎日あちこち連れて行ってもらうのは気がとがめたので、アパートはあまり深く考えずさっさと決めてしまいました。

ここで「アパート」と書くのは英語で「Apartment」なのでそのままカタカナにしているのですが、日本語の「アパート」と私がこのときオハイオで入居を検討していた住居とでは、実はかなりイメージが違います。

車がないと話にならない広大なオハイオの土地ですから、アパートも有り余る土地をぜいたくに使って建てられていて、広々とした夢のように美しい空間になっています。

敷地内にジムやテニスコート、プール、ジャグジーなど様々な施設がそろっている複合設備ということで敷地全体は「アパートメント・コンプレックス」と呼ばれます。

オハイオ郊外のアパートメント・コンプレックスはどこも素敵なところばかりで、車がなくて不便な毎日の中、アパート探しそのものは「こんなきれいなところで暮らせるなんて!」とウキウキする作業でした。

Rent.comより

私が住むことに決めたアパートは全体的に緑豊かな森林と青い湖という風景がテーマになっていて、ゲートから敷地に入ると見えるのは、白い柵に囲まれた緑の芝生、大きな湖の上を優雅に泳ぐ白鳥たち。なんだかおとぎ話の絵本の1ページのようでした。

芝生はなだらかな丘陵になっていて、その間に散歩やジョギング用のトレイルが作られています。テニスコートなどの施設や何十人も入れる大きなジムもあり、そういう広い広い敷地の中にゆったりとアパートの建物が配置されているのです。

アパートの建物より、全体の敷地の面積のほうがずーっと広いという構造です。人工の湖に白鳥という、ただ景観を美しくするだけのためにそういう敷地が使われています。

オハイオのアパート探しは、まずこういうアパートの敷地の真ん中にあるオフィスを訪ねるところから始まります。オフィスにはたいてい数人のスタッフが常駐していて、とてもフレンドリーにウェルカム!と迎えてくれます。

Rentals.comより

私が訪ねたアパートメント・コンプレックスでは、そこはオフィスというよりホテルのロビーのような雰囲気でした。レモネードやクッキーが用意されて いて、住民たちがくつろいだりパーティを開いたりできる大きなラウンジ、その向こうにはやはり高級リゾートホテルのようなプール。初夏の日差しの下、デッ キチェアにねそべる人々。

スタッフが私をモデルルームに案内してくれて、私はその部屋を一目で気に入ってしまい、入居は即決でした。

何もかも信じられないくらい美しくて、インテリア雑誌を切り抜いてきたかのような部屋でした。

高 い天井、光がさんさんと差し込むリビング ルーム、大きな格子の窓枠・・・。そしてキッチンの広さといったら。1人暮らしなのに絶対こんなスペースは必要ないと思いましたが、私が東京で暮らしてい た狭いマンションのベッドルームがすっぽり収まってしまいそうな広さ。キッチンコンロが五個(東京のマンションは一個・・・)。巨大な冷蔵庫は、私がオハ イオで暮らした数年間の間一度もいっぱいになることはなく、1段か2段くらいしか使いませんでした。

leadingapartments.comより

このアパートメント・コンプレックスには数人で貸しきることのできる映画館もありました。好きなDVDを持ち込んでもいいし、アパートが用意してくれているDVDを無料で借りることもできます。客席はおしゃれなカウチで、みんなでピザを食べたりしながらリラックスして映画を観ることができるようになっています。

それから住民だけが利用できるクラブハウスがとなりの敷地にありました。プールやジャクジーにレストランやバーが併設されていて、住民は友達を呼んでプールサイドで食事をしたりお酒を楽しんだり。週末にはDJが来ました。食事やお酒は有料ですが、その他プールなどの施設利用は無料です。

クラブハウスにはスパもついていて、ネイルやマッサージのサービスがありました。これも有料ですが敷地の外でやるよりは安く、わざわざ遠くに出かける必要がありません。

上に書いたリゾートホテルのようなオフィスのラウンジには、早朝に朝ごはんが用意されていて、出勤前に立ち寄ると焼きたてのマフィンやベーグル、フルーツ、コーヒーなどをつまむことができました。これはもちろん自分のアパートの建物から車でやってきて、オフィスの前に車をとめて朝ごはんを食べて、また車で敷地の外に出て行くのです。とにかくアパートの敷地は広大なので、ごみ捨ても郵便物を取るのも車移動です。

edwardcommunity.comより

さて、私の住んでいた部屋の間取りは日本風にいえば1LDKですが、日本のマンションで同じだけの面積があったら2LDKか3LDKにして家族が住めるのではないかという広さです。

それに加えて上記のような贅沢な施設、景観、広い敷地、サービス。

それで家賃は750ドルだったのです(2003年頃の話なので今はもっと高いかもしれませんが)。

仮に今の為替だったら5万8千円くらいですね。

このアパートの売り文句は

「Most people live like this only a few days in a year」

でした。大抵の人は1年に数日しかこんなふうに暮らせない・・・、つまりリゾートホテルが毎日の住居になるというわけ。

アパートに入居手続きをしながら私は、無事運転免許をとって、車を買って、このアパートの住民としてクラブハウスを利用したり快適なリビングルームで1人映画を楽しむ自分を想像しました・・・今は大変だけど、かならずそういう生活がもうすぐ実現する!

それだけを励みに、オハイオで車なしの不便な生活やその他の試練に耐える日々でした。
続編ではその試練について書きます。 

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2 comments on “中西部の生活 – 2 : 高級リゾートホテルに住むような生活?!”

  1. リアルにその通りで、面白いですw
    ちなみに僕は家族で来た中学生ですけど、
    家からどこかに歩いて行ったことは一度もありません(−_−;)
    (Bus stopくらいでしょうか…)
    もちろん空港toモーテルはバスで、
    モーテルto家は父の仕事仲間?の車で送ってもらいました(^.^)
    今はクリーブランドにいますが、
    舗装されている道を歩いている人を
    見たことがありません(´・Д・)」
    ああ、LAに行って見たい…
    (まだ2年目です)

  2. 返信が大変遅くなりすみません。実際に中西部に住んでらっしゃる中学生の方にコメントいただいてとてもうれしいです。きっと、まだ運転免許がもてない年齢の間は、日本の都心のように歩いてコンビニに買い物にいったり、電車に乗って自力で移動できる場所のほうが楽しいんだろうな、と思います。私は子供がいるので、親の立場からすると、子供に車を与えるまではある程度行動を親がコントロールできることで安心感があります。きっと一度免許と車を与えてしまったらあっというまにどこかにビューンと飛んでいってしまうだろうし、今度は飲酒運転とか友達とふざけていて事故とか、そういうことが心配でたまらなくなるとは思うんですけど・・
    ちなみにLAは都会ですが、やっぱり車がないと生活にかなり制限がありますよ。アメリカ在住の間に、ご家族といろいろな場所を訪ねることができるといいですね。でも中西部というのはそれこそ親の転勤でもないかぎり住まないだろうし、日本から観光で行くところでもないし、貴重な経験だと思います。

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