人の解雇 アメリカ流?

人の解雇 アメリカ流

いやいや、最近うちの会社でも、ある日忽然と消えてなくなる人がいるんですよね。昨日挨拶を交わしたのに、今朝、会社の名簿から消えてる人とか。

レイオフなんてのは、かなりやさしい解雇です。

「XX部署は、連続3期赤字で、今後の売り上げ増加の見通しも立たないので、Y月Z日付けで部署の従業員をレイオフする。ついては、Severance(解雇手当?)として、勤続年数に応じて、給与の3~12か月分をXX日までに支給する。解雇日は、人事部員の立会いのもと、身の回りのものを整理して退社のこと。」

なんて感じですね。

これでも、日本流から見れば、かなり厳しいでしょう。日本の場合、(最近はそうでもありませんが)いかに人を切らないようにするかを考えることがまず第一ですから。

 

実はこの私も一度、アメリカでレイオフの経験があります。かなりの大企業で、総従業員数が10数万人の会社でしたが、商品の売り上げがまったく伸びず、会社の利益も計画を大幅に割り込む時期が続いていたので、部署ごとごっそりと切られました。100人以上は切られたと思います。

たまたま、そのときは、ある部署のマネージャーをしていたので、レイオフの一部始終を見ることができました。私も最終的にはレイオフされたのですが、従業員がレイオフされ、出て行ったあとの、オフィスの整理だとか、残務などをしました。

レイオフがアナウンスされる1日前に、マネージャ連中が上層部に呼び出されます。まぁ、会社の状況をある程度は知っているので、「ついに来たか」ってなもんです。会議室の中で、人事部の立会いの下、レイオフの手順が説明されます。

朝一で、CEOからアナウンス。うちの場合は、規模が大きいので、アナウンスは電話会議で。一般従業員はこの時初めてレイオフを知らされることになります。大体皆さん予想はしてたんですけどね。

その後、人事立会いの下、一人一人身の回りの整理をして、一人ずつ退社。人事部員が一人一人会社の出口まで付き添います。社外秘の書類なんぞを持ち出されても困りますからね。

で、すべての一般従業員が退社したら、次は、マネージャ連中が、オフィスの掃除に取り掛かります。

ちなみに私たちの場合、切られた人数が多かったので、確かオフィスの整理に3日ほどかかったと記憶しています。とにかく、従業員の机の中のものから、ブレークルームの冷蔵庫の残り物まで、すべてきれいにする必要がありますから、かなりの時間がかかりました。

基本的に、マネージャ連中もレイオフされたわけですから、会社の備品や資料などを持ち出すことはできません。でも、一般従業員と違ってマネージャなので、その辺のことは十分理解しているだろうと、会社側も見てたんですかね。人事立会いの大掃除にはなりませんでした。

オフィスを片づけ中に、マネージャ同士で話をするんですね。

A:「ねぇ、あんた、これからどうする?」

B:「おれ?実は、こう言うこともあろうかと思ってすでに行動を起こしてあった。来週から、次の会社に行くことになってる」

A:「あんたは?」

C:「俺の場合、25年も勤めた会社だろ?だから、少しショックがでかい。なので、ちょっと休んで次の手を考えることにするよ」

D:「せっかくだから、片づけが終わったら、いっしょに食事にでも行かないか。結構ビールの上手いレストランがあるから。」

なんて、感じだったと思います。

集団レイオフはこんな雰囲気です。

 

では、「クビ(fire)」の場合はどんなもんか...。

まず、人をクビにするには、ある手順があります。よほどのことがない限り、即刻クビってことにはなりません。

以前もこのブログで書いたような気がするのですが、まずは、「猶予」期間が与えられます。通常は90日程度です。この期間内で、ある程度の改善が見られない場合には、「クビ」ってことになります。

クビの理由は、

・仕事ができない
・グループの輪を乱す
・勝手に突っ走る
・会社のルールを守らない

くらいですかね。会社として、仕事の出来ない人間を雇い続けるほど「アホ」な話はありませんからね。お金を捨てていることと同じことになりますから、とにかく切りたいわけです。

でも、契約社会なので、「だって、きらいなんだもん」では成り立たないわけで。なので、こう言う「3ヶ月」ルールを課すんでしょうね。

逆に、こう言うルールを当事者に課すことによって、自分の「罪」を自覚してもらって、自ら会社を去ろうと言う気にさせるって意味もあるのかもしれませんね。

で、3ヶ月しぶとく会社に留まり続けても、やはり改善が見られない場合は、「残念ですが、お引取りください。」ってことになるわけです。退社の手順は、レイオフと同じです。

 

この「クビ」よりもすごいのもあります。

「即刻クビ」かな。うまく日本語がはまりません。

即刻クビは、

・セクハラ、パワハラ
・殴り合いの喧嘩
・暴言
・お金の使い込み

をすれば、なりますかねぇ...。

即刻クビは、本当に早いです。逆に言えば、会社として、当事者に早く辞めてもらわなければ、お金の無駄遣いになる、業務に支障をきたすなどの悪影響が出ますから、とにかく一刻も早くお引取りいただきたいってことです。

即刻クビの場合は、その場で「出て行け~!」と宣言されます。すぐに人事に連絡が行き、携帯電話、社員証など、会社の備品をその場に置いて、自分の荷物もそのままで、外に放り出されることになるでしょうか。身の回りのものは、その後、自宅に配達されるとか。

さすがアメリカ企業って感じがします。

 

個人的には、日本企業のアメリカ法人で働いたこともあるのですが、こんなアメリカ企業のようには動きませんでしたね。

まず、人を切る場合に、必ず話しに出るのは、「会社が訴えられたらどうするか」ってこと。

これ、私からすれば、超ナンセンス。でも、日本から出向されてきた赴任者の方々は、「訴訟」と言う言葉を聞いたとたん、「いや、そりゃまずいでしょう。違う手を考えませんか。」ってのが普通。

会社に何の貢献もせず、お金ばかり使い込み、人の輪を乱すような人は、即刻クビにすべきなのに、「いやいや、もう少し良い手があるでしょう。」と、解雇を引き伸ばし、お金をどんどん捨てていく。最悪。

会社として、その人をクビにするだけの十分な理由があるから、クビにするんですよ。訴えられたとして、その訴訟に勝てないわけがない。

「いやいや、でも、訴訟を起こされたら、それに費用がかかるでしょう」

なんて、「アホ」なことを言ってる人もたくさんいます。

訴訟に必要な費用と、会社に害を与えている人を数ヶ月雇い続けるのに必要な人件費と、天秤にかけてみてくださいよ。

 

おっと...話が少しずれてしまいました。

 

もし、貴方がアメリカの会社の上層部の人だったら、人を解雇することについて、もう一度じっくり考えてみてください。

その人を雇い続けて、無駄金を使い続けるのか、裁判費用を払ってまで、その人を切るのか...会社としてどっちが得でしょう。

われながらGood Question! 

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4 comments on “人の解雇 アメリカ流?”

  1. ちょっと前に、ジョージクルーニー主演の Up in the Airという映画がありましたね。企業がクビを宣告するときに、専門の人に頼んで、代わりに言ってもらうというもの。あれって、本当に存在するのでしょうか?あの映画を見た時、こんな仕事があるんだって、驚いたのですが。

  2. Ayaさん、
    私もあの映画見ました!
    面白かったです。

    あの職業、私もかなり謎に思って、ショックでした。でもありえるんじゃないかなぁ・・・。
    彼がどういう肩書きなのかわかりませんが・・・・「クビきり屋」?

    私もいつの間にか気づいたら「あれ?あの人は?」ってことありました。技術職企業には多いんじゃないかな・・・。入れ替え激しいですからね。

    インターンのときは、私のボスが社長と口論になって、「その場で辞める!」ってなったらしいです。あ、同じ会社で、お金の使い込みで即クビになった秘書もいたな・・・もちろん彼女は横領で逮捕。今思えば、どんな会社だ?って感じですね。笑

  3. ほぉ~、そう言う映画があるんですか。やはり、アメリカ人も「解雇する」とは言いにくいってことでしょうね。それって、多分、会社でもかなり上層部の人を切る場合じゃないですかね。もしかしたら、そんな仕事があるのかもしれませんね。

  4. おそらく、技術職企業の方が少ないような気がしますね。一般的に技術屋って、よほどのことがない限り、上司とぶつかるようなことはないから。自分の好きな設計とか開発とかができていれば、たとえそれほどの進歩がなくても、あまり、不満を感じないかもしれません。どちらかと言うと、営業職とか企画なんかにそう言う人たちって多いんじゃないですかね。いや...違うかもしれないな...。

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