地産地消を目指して(前)

突然個人的な意見で失礼しますが、アメリカは野菜が不味いです。アメリカは牛乳が水っぽいです。アメリカはお肉がやたら硬いです。

「水が違う」とか「種類が異なる」という要素があるので、「比較的大味で水っぽい」という表現が正しいかも知れません。それにしても不味いです。

米国に来て「米国らしいスケールの大きさ」を肌で感じれる代表格「Wal-Mart」。(色々な政治的背景がありますが)事実上、庶民の食卓を支えています。

僕も「安さ」と「便利さ」、「~のついで」という理由で一時は「ここでしか買い物をしてない」という頻度で利用していました。

フィクション映画(2006年)「Fast Food Nation」とドキュメンタリー映画(2009年)「Food, Inc.」を観るまでは、ですが(*これらのYouTube動画を米国外で再生できなかったら、ごめんなさい)。

前者は米国ファーストフード業界の実状をモデルにしていて、後者は同作家が米国食品業界を取材した作品です。

これらを観ると、まず米国大型デパートでは食品(僕の場合は特に肉類)を買えなくなります。僕は、たぶんもう二度と「Wal-Mart」で食品を購入することはないのかな、と(実際2008年夏の渡米以来、あそこで食品は購入してませんが)。

———-

横浜の実家は「山を越えると鎌倉」という緑に囲まれた環境。記憶を辿る限り常にイトーヨーカ堂が徒歩圏内にありますが、お母さんの買い物は主に近所の商店街や個人商店が中心。やはり地元で採れたフレッシュな野菜は文句無しに美味しいわけです。当然店先で店員さん近所のおばちゃんらと所謂「井戸端会議」が開かれるわけです。

また、「地主さん」が同級生や先輩後輩にいる地域なので、「(普通に畑のような)庭で取れたから持ってけ」と近所のおじちゃん・おばちゃんに呼び止められ袋一杯の野菜を持たされるのことも多々あります(今帰省してもそうですが)。

その後「家を継いだ」幼稚園や小学校の同級生が数えるほどいたりする土地柄。値段が比較的高めと言っても、なるべく自転車、電気関連工事、塗装、和菓子、お肉お惣菜、薬局、パンその他など可能な限り個人商店で揃えるようにしています。

「顔を知らない大型デパートにお金を落とす」より、どうせなら「近所でお金を回したい」という、「地域に根ざす」という考え方。少し大げさですが…

———-

ここ数年、アメリカでもこの動きが流行です。元来個人に重きを置き、独立志向が強い国民性ですが、「Shop local」や「Support Small Businesses」という英語フレーズが改めて定着しています(既に60~70年代のヒッピーカルチャーには定着していた概念らしいです)。

食品について言えば、種類には確かに地域ごとの限界があります。それでも、アメリカでは難しい「季節を食から感じる」ことが可能です。

野菜もこだわれば(でも実際そんなに高額ではない)、トマトを筆頭に、味が段違いです(地元農家から直接購入)。「うぇッ不味い」と飲んでいなかった牛乳も、今飲んでいるものは日本のもの(僕は「よつば」ファン)に匹敵します(僕はウィチタ近隣の酪農ファームのものを愛飲)。普段は「ゴムみたいに固い」お肉も、探せば全然美味しいのが入手可能ですし(同じく近隣の町で購入)、地元のハチミツはアレルギーに良いらしいですし(鼻炎気味だったんですが、これが効いてるようなので継続決定)。春になれば(全米ほとんどの地域にありますが)「ファーマーズマーケット」も再開されるし。

こうして地元との繋がりを強めると、アメリカでも地元に「馴染み」ができます。お店に入ると「あら、たっちゃん。そういや、今日これが珍しく入荷したのよ。2~3個持っていきなさいよ」という(万国共通の)店のおばちゃんのごり押しに負けるわけです(「払う」と言っても、「いいのよ」と軽く手であしらわれるアレです)。

ただ負けてばかりもいられないので、こちらはそれ必要以上にそのお店で買い物をしてしまうわけです。

このサイクルが小規模ながらビジネスを活気付け、地域を活気付け、自分も一員だと実感するわけです。まぁ日本の地元大好きな自分なりの「楽しいホームシック攻略法」とでも言いましょうか。

次回はカンザス州ウィチタ内の馴染みのお店を紹介しま~す。

Photo courtesy of wallpapers-free.org. 

Visited 55 times, 1 visit(s) today

4 comments on “地産地消を目指して(前)”

  1. 私の母は、私が生まれてから、30年近く家で自然食の共同購入をしていて、(生協のようなものでしょうか?)子供のころから、東京に住んでいながら、自然食に囲まれた生活をしていました。牛乳や乳製品はすべて「よつば」瓶につめられた新鮮な牛乳は、ふたを開けると、上のほうが生クリーム状になっていて、本当においしかった。卵も、アメリカのものとは、比べ物になりませんよね。もちろん野菜も。ニューヨークのファーマーズマーケットは、高額で毎日の食卓には難しいけど、健康のことを考えたら、やっぱりそっちのほうが断然いいですね。

  2. アヤさん、一度「よつば」に行くと中々他の牛乳に納得することないですよね(贅沢志向なのかは別として)。ウチも町内の「何なにさんのお勝手の発砲スチロール箱に取り行く」家庭でした。あと豆腐と納豆もそうだったかな。

    僕は横浜生まれなんですが、両親は北海道の人なので以前は「乳製品に妥協は許されない」感じでした。

    普通にこっちの食品て日本より割高ですよね、基本的に質は雑なのに。ただ、その土地その土地で採れる食品を食卓に置くことで、土地特有のアレルギーなどへの免疫力は実際に上昇するらしいのです。下手に薬代をかけるより、食事にある程度のお金かけるほうが安いらしいです。

    最近は工夫をすれば、アメリカでも比較的食事面での不自由はなくなりましたが、お米は日本で食べるお米に匹敵するものにまだ巡りあってません。

  3. 私はもともと食への意識があまり強くなかったのですが、子供が生まれてからは、良いものを食べさせたい(というより、悪いものを食べさせたくない)という考えが強くなりました。悪いもの多すぎですからね、ここ。

    あとは、旅行先のワシントンDCでまずいレタスとトマトを食べてからは、カリフォルニアは野菜や果物に恵まれていることに気づき、国内でも違いがあるんだなと知りましたね。
    おいしいメキシカン料理はやっぱり新鮮なレタスとトマトがなくちゃ。

    私は札幌出身なので、海産物へのハードルが高いのか、こちらに来てまともに魚を食べる気がしません。寿司なんてカリフォルニアロールどまりです。

    自分の手で育てた野菜や果物ほどおいしいものはありませんね。まずは大きな庭がある家の購入を・・・!

  4. エリナさん、アメリカ内で出回っているアメリカ産野菜はほとんどカリフォルニアみたいですね。食品てあまり旅をさせていけないですよね。てか、「この質でこの値段付けるか」てのが多過ぎます、こちら。僕も海産物には(特に中西部では自殺行為になるので)手をつけてませんね。母は札幌出身で、父は苗穂出身。基本北海道を経てしまうと「アメリカの食」は中々厳しいものです。特に中西部、何もかもが生産地から遠過ぎるというか(あ、肉類は特産ですがそんなに食わんし)…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です