JFSCワークショップ「世界の難民について知ろう!」

先週土曜日は、ここサンディエゴでJFSC(Japanese Family Support Center)のワークショップが行われました。

スピーカーは、アメ10にも登場してもらった、なおさん(記事はこちら)とふきこさん(記事はこちら)。

 

なおさんはビルマのカレン族という少数民族の生活支援、ふきこさんはUPAC(Union of Pan Asian Community)というNPOで働かれています。

「世界の難民について知ろう!」というトピックで、今回は難民支援に従事されているこのお二人のお話を聞くことは、日本人として、そしてアメリカに住む日本人として考えることをたくさん残していきました。

 

今回のワークショップでの新しい発見は、私たちの住むサンディエゴという町が、難民に対してとてもフレンドリーな町であることでした。

統計を見ても、サンディエゴはアメリカ国内で、最も難民の受け入れが進んでいる町なんだそうです。加えて、アメリカという国自体が世界で最も難民の受け入れをしている国であること。

つまり、サンディエゴは一番の中の一番 = 世界で最も難民・移民フレンドリーな町!!

おぉ~なるほど~! 

私自身、日本から単身で移住してきて、「移民一世」というステータスになりました。つまり「ガイジン」です。

サンディエゴに住んで10年、それが原因で嫌な思いをしたことはほとんどありません。(英語が通じなくてへこむことは多々ありますが。笑)

サンディエゴという町の気風というか、あっけらかんとしたところがあるというか、とにかくみんな違うのですから、「違い」に対してあまりこだわらないのがサンディエゴ。

この町で生まれ育ったアメリカ人も、みんな口を揃えて言います。「私たちだってみんな移民なのよ」って。

「自分自身が移民じゃなくても、自分の祖先はどこか別のところから来た」

そういう意識が強くあり、お互いを尊重しながらうまくやっていこう、という強さがここサンディエゴにはあります。

アメリカにやってくる難民支援の流れ

 

そんな中で、移民・難民の方たちと触れ合いながら毎日お仕事をしているなおさんとふきこさんのお話はとても興味深いものでした。

 

 

私が、なおさんのお話の中で、「これだ!」と思ったところがあります。

それは”Job Development”。日本語では「お仕事支援」でしょうか。

なおさんが、

「これが一番大事なんです。」

というのを聞いて、私は深く納得しました。

 

「支援」とは、必要としている物品を与えることだけではありません。 

自分の足で立って、一人で歩いて行けるようになること。それが最終ゴールです。

そのためには、「自活」できるようになること。

それを理解しているなおさんは、このお仕事支援が一番大事だと知っています。

 

私の尊敬する人物の一人、アメリカ32代目大統領フランクリン・ルーズヴェルトは、1929年から始まった大恐慌後、ある政策を行いました。「ニューディール政策」です。

これは、アメリカ経済がとんでもなく悪化し、レイオフ・倒産が相次いだときのこと。

仕事がなくなったアメリカ人が溢れたときに、大統領が「よし!ダムを作るぞ!橋を作るぞ!」と国営のインフラストラクチャーに増資しました。

その結果、大恐慌で仕事を失くした人たちが再雇用され、国内の経済復帰に貢献したのです。

 

「労働」は人為的に作り出すものであり、そしてそれが経済(マクロ・ミクロ)のあらゆる場面で人を動かす要素であること。

それを実行しているなおさんは、本当に素晴らしいお仕事をしていると感じました。

お話しする那央さん

 

なおさんのお仕事支援のおかげで、サンディエゴの99 Ranch Marketという中国系大手スーパーで働く人のほとんどは、カレン族だそうです。または、レストランなどにお仕事がないか聞いてまわり、紹介してもらう。

トラブルがあれば、何が原因か突き止めて、自己解決を図る。

そういうお仕事をしています。

 

 

UPACというNPOで働かれているふきこさんは、また別の角度から移民・難民と触れ合っています。

サンディエゴには、移民・難民が利用できるサービスがごまんとあります。医療、教育、仕事、地域コミュニティ、子育て、家族・・・・などなど。

しかし、新しい国にやってきて右も左も分からない人が、そのサービスの存在を知って、フル活用できるか?と聞かれたら、答えは「ノー」でしょう。

そこをふきこさんは一対一でつなげ、問題解決を図ったり、新しい世界を広げてあげるお手伝いをしています。

 

母国で培った経験や成功が、新しい国では生活の役に立たない。

中にはドクターや大企業の社長さんなどもいらっしゃるそうです。

しかし、ここでは社会福祉や自分の子どもたちに頼らないと生活できない。

「そのショックやギャップはとても大きい」とふきこさんは言いました。

UPACの説明をするふきこさん

 

ただそこでも、この記事でも書いたように、現実を見つめ、今あるものをよりよいものにしていこう、と考える方はいます。

 

私は今回、ふきこさんのプレゼンテーションを聞きながら、彼女が背負っているものの大きさと、彼女のプロとしての意識の高さに飲み込まれていきそうでした。

それは「かっこいい」なんて言葉では表せない、移民・難民コミュニティを引っ張っていくリーダーシップでした。

 

 

 

今回のワークショップの感想を参加者のみなさんからいただいたので、匿名でいくつか紹介します。

 

難民の方を支えるサポートのシステム、また難民の方の気持ちというのも少し理解ができたように思います。日本人としていろんな活動をされているということにとっても感動しました。私も何かお手伝いしたいという気持ちになりました。


 難民について知らなかったことについて学ぶことができて有意義な時間を過ごせました。難民が直面するチャレンジの中には国際結婚でアメリカに来ている人々がぶつかるものと共通するものがあると感じました。


なおさんの「日本人であることを忘れてはいけない」という謙虚な心がけも心に残りました。 UPACの幅広い働きについても知ることができてよかったです。


 自分のことで精一杯な時が多いこの世の中でなおさんのようにボランティアで人助けに励む姿、とてもまぶしく拝見いたしました。

ビルマとミャンマーの違いや、難民キャンプの事情など初めて聞くことだらけで、本当に勉強になりました。自分の無知さを嘆きながらも私でも何か世の中のために役立つことができるかもしれない、という気持ちになれました。その気持ちから実践移行が一番の努力とは思いますが、今日、家に帰ったら友人や家族にこの話をして一緒に考えてみたいなぁと思っています。 


目先のことにフォーカスされがちでしたが、いきなり、目線が広がった思いを強く感じました。今日の話は、若い子供、また、学生にも聞かせたい話でした。


 

 

私自身、自分の生活で手がいっぱいで、他人の生活を支援するというものが全く想像できませんでした。

しかし考えてみると、10年前に留学生として渡米し、たくさんの人にお世話になってきました。

 

私は今回のお二人の言葉を聞いて、自分がやっていること、できることの全てに意味があり、意味を持たせることが必要だと感じました。

なぜなら、私たちは誰でも、一人で自分勝手に生きているわけではないからです。

どこかで自分の一挙手一投足に意味があり、誰かの影響を受けて、誰かに影響を与えながら生きている。

そういう目に見えないつながりがすごく愛おしく思えたし、そこにはお金や数字では表せない有機的な人の温かさがありました。

自分も社会の一部であること、貢献は大きい小さいの問題ではないこと、私たちは誰でも「人生のミッション」を持っていること。

そんなことに気づいた一日でした。

 

JFSCとして、自分自身の生活向上も大事ですが、こうやって新しい世界を広げていくお手伝いもしていこうと強く感じました。

 

 

 

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