New Year’s Eve Party

以前の記事でアメリカの1年間の流れを説明したときに、アメリカにはお正月というものがなくて、1月1日だけは休み、2日からすべて正常に戻る・・・と書きました。

今日はその1月2日。私の会社も今日から仕事始めです。

大晦日はNew Year’s Eve Partyに招待いただいて楽しく過ごし、元旦は日本式に「初日の出」を見にいって、午後にまた日本人の友人宅にて新年会。12月22日からずっと連休でパーティ続きだったので、これで楽しく休暇を締めくくり、リフレッシュして仕事をスタートできそうです。

今日はそのNew Year’s Eve Party の様子について書こうと思います。

New Year’s Eve Partyは、夫の友人家族が招待してくれました。夫の友人はBrian Yuznaさんという、ちょっとマニアックなホラー映画が好きな人々の間では有名なプロデューサー。”Return of the living dead III” (バタリアンシリーズの3つ目、邦題「バタリアン・リターンズ」)あたりなら、ホラー映画ファンじゃなくても聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかしご本人はそんなホラー映画のイメージとは反対に、とても穏やかで優しく、表面的な人が多いハリウッドでは珍しい、地に足のついたタイプで、5人の子供を育てた父親でもあります。

ウェスト・ハリウッドの閑静な住宅街にあるBrianさんのご自宅に到着すると、すでに何人もの人達がリビングルームでカクテルに前菜を楽しんでいました。

このようなパーティに招待されたら、ワインを1、2本とか、デザートを一品とか持参するのが普通なのですが、私たちはちょうど12月31日は毎年「年越し蕎麦」を食べていたこともあり、ではパーティ用にちょっと多めに作って持参しよう、ということになりました。

が、12月31日になってみるといろいろと忙しく、おそらく混み合っているだろう日本食スーパーに蕎麦を買いに行く気にならず・・・

キッチンの戸棚をのぞくと「そうめん」なら大量に残ってました。

そこで「今日パーティに来るのは私以外みんなアメリカ人。蕎麦じゃなくても文句を言う人は誰もいないだろう」と判断した私は、年越し蕎麦ならぬ年越しそうめんを作ることに・・・

そしてそうめん用のつゆは、鶏肉とネギを炒め、しょうゆ、みりん、酒など定番の味付けのほかにちょっとした工夫をしました。

そうめんはとりやすいように一口サイズにわけて並べ、彩りよくネギと黒ごまを飾って・・・(こういう装飾、アメリカ人には非常にわかりやすいアジア風なのです)。

ポットにつゆを入れて持参し、Brianさんの家でプラスチックカップに小分けします。

そしてこんな風に並べました。

パーティではこれが前菜のひとつにぴったり!ということになり、チーズ、クラッカー、チップスなどに並んでテーブルに置かれました。

すると・・・

参加していた人々がみんな「わー何これ、おいしそう!」「なんていうヌードル?」と次々に集まってきて、非常に注目を浴びました。

「年越しそば」を無理矢理「Year-end noodle」と訳したり、「何故大晦日にヌードルなのか」と聞かれて、実はちゃんとした由来がわかっていなかった私は「それは31日は忙しくて食べ物がなくて、探すとヌードルしかないので、それを食べるんだ」とか言ってしまったのですが、よく考えるとそれって「引っ越しそば」ですね。年越し蕎麦には他のちゃんとした由来があるようです。

そして、ひと口、ふた口、食べた人達が・・・

「Wow!! This is SO good!!」「Exquisite!!」「What’s in this?!」と、賞賛の言葉を叫びだしたのです。

好奇心旺盛な映画界の人々は、「Ingredientは何が入っているのか、ソイソースと・・・?!」と詳しく聞いてきます。

私はそこでフフフ・・・とミステリアスに微笑むのです。

実は、さきほど「ちょっとした工夫」と言ったのは・・・

あの去年日本で話題になった「塩麹」をいれたのです。

こうやって、日本では伝統の味、ありふれた家庭の味をアメリカのパーティに持ち込み、「何これ、食べたことない、おいしい!!」と人々が驚き賞賛する姿を見るのは、日本人としてとても母国が誇らしく思える瞬間です。

醤油もみりんも酒も、塩麹のような最近見直されている伝統食も、本当に和食はおいしいですね。

LAには超高級なスシ・バーもあるし、洗練された和食の味も知っているハリウッドの人々ですが、「塩麹」は新しい味だったと思います。

塩麹はアメリカの日本スーパーでも買える麹を使って私が手作りしているものですが、麹と塩と水で簡単にできる、と言ったって、麹を使った発酵物というものにまったく馴染みのないアメリカの人々にとっては、非常に敷居が高いのです。

こんなとき、発酵物がふんだんに使われる和食で育って良かった、と思います。私のようなありふれた主婦がこんなふうにお手軽に作れる家庭料理で感動してもらえる、そこが和食の本当の素晴らしさだと思います。

この「塩麹年越しそうめん」は本当に評判がよく、このあとパーティで誰かと話すたびに「あのヌードルおいしかった!」と言われ、最後に帰るときも遠くからよく知らない人が「Good noodle!!」と叫んで手を振ってくれたくらいでした。

さて、こうして前菜をいただいている間に人々が次々到着して、ディナーの準備ができたころには全部で20人ほどになっていたでしょうか。

いくつかの部屋にまたがってテーブルがつながっていて、それぞれの椅子の前には白いリネンのナプキンがきちんと畳まれ、ナイフやフォークが並んでいます。カウンターにビュッフェ形式でチキン、ソーセージ、ローストされた野菜、サラダなどが並び、主菜のプレートの下にはちゃんと保温のためのキャンドルが置かれています。

20人ものゲストのためにこれだけの用意をするのは大変だったと思いますが、Brianさんによると20人はディナーのゲストで、そのあとさらに人が増え、「ディナーのあと、カウントダウンまで」のパーティ第二部にはさらに数十人が来る予定で、延べ50人くらいがこのパーティのゲストの人数だったようです。

ゲストたちが持ち込んだワインをいただきながら、業界柄、最近の映画についての議論があちこちで交わされて、みんな本当に楽しそうでした。

Brian さんのお子さん5人はもう独立していて、奥さんと二人で住む家には、こうしてしょっちゅう友人たちが集まり仕事の話をしたり美味しい食事とワインを楽しんでいるようです。映画人としてキャリアも積んで、多くの人々に慕われるBrianさん。彼は決してハリウッドで超有名な大物プロデューサーとかではありませんが、終始優しい笑顔の彼を見ていると、なんて豊かで幸せな晩年の過ごし方だろう、と思わずにいられませんでした。

さて、私たちは小さい子供を連れてディナーの部のみの参加だったので、遅くならないうちにBrian さんの家を後にしました。Brianさんと彼の奥さん、他の何人ものゲストたちとハグして、何度も「Happy new year!」と挨拶を交わしながら。

翌朝は日本式に初日の出なので、カウントダウンまでは残れません。

帰宅して、早く寝なきゃね、と言いながら結局ベッドに入る直前に新年となりました。その瞬間、どこかで花火が打ち上がる音が遠くから響いてきて、夫と今年最後の「Happy New Year」を言い合い、幸せな気分で眠りに落ちたのでした。 

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4 comments on “New Year’s Eve Party”

  1. あ~素敵素敵。俺も毎回リクエストに応じて自作餃子を持参して、その場で焼いてばかりなので、次回はこの手で…

    てか、塩麹が気になる。

  2. Tamiさん、素敵なパーティですね~。
    そうめんもナイス。
    年越し蕎麦は、いろいろ説があるみたいですが、私はだいたいTo wish for longevityって説明してます。。。なのに、今年、あ、もう去年!年越し蕎麦作るときに、パスタを茹でるときの癖で蕎麦を半分にばきっと折って、おなべに入れてしまい。。。きゃー!これじゃ寿命が半分になるっ(汗)って、もったいなかったけどそのお蕎麦は捨てて、新しく長いお蕎麦で作り直しました。
    あ、ちなみにパスタを半分に折るのは、時間節約のため小さいなべで作るからで、小さいなべに長いパスタが入らないからです。うちのガスレンジ火力が超弱いんで、こんな工夫(泣)
    今年もよろしくおねがいしまーす♪

  3. タツヤさん、餃子を焼いてくれる人がいたらパーティで大人気間違いなしですね!!
    塩麹、「麹」さえ手にはいればあとは塩と水なので、麹を送ってもらったらどうでしょうね。LAから送りましょうか?

  4. Makiさん、そっか、おそばは長寿祈願なんですね。ポキンと折るのわかります、私も子供が小さいうちはなんでも折るのがくせになってました。うどんもそうめんもパスタも・・・
    今年もどうぞよろしくお願いします!

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