サイエンスとお金

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アメ10読者の皆さんコンニチワ、KAZでございます。

ぜんぜん関係ない話ですけど、半沢直樹面白いですね。
ボクは普段は日本のドラマはほとんど見ないのですが(途中で飽きてしまう)、半沢直樹は見ています。

ただ、実際に銀行や証券会社で働ている(いた)人たちに言わせると、ツッコミどころの多いドラマらしいですけどね。

それでも、半沢直樹が会社の不正をバッサバッサ斬っていく姿を見ていてとても清々しいです。

もしボクにもあんな勇気と行動力があったら・・・と、昔の苦い経験と照らし合わせて見てしまいます。

というのも、日本の大学にいた頃は数多くの不正を見てきました。

しかし当時のボクはまだワカゾーだったため、意見しても誰も受け入れて貰えず、「そういう世界なんだ」と思って見過ごすしかありませんでした。

アメリカに比べて日本は不正が多い気がします(もちろん一部ですが)。しかもそれを揉み消そうという体質は日本人の民族的性質なんだと思います。

大学や研究機関の不正に関しては、あまりオモテに出ることはありません。
内部告発などによってニュースにならないと、一般の人たちには知られることはありません。

つい最近、論文の不正に関してメディアを賑わせたニュースがありました。
「自称 iPS研究者」の森口尚史や、ノバルティスのディオバン問題などです。

特にディオバンに関しては、ノバルティスが年間1000億円の売り上げを上げていた薬だけに、世間の衝撃は大きかったようです。

研究費の不正利用もよくニュースになります。

日本の大学では研究を行うためには、国の機関(厚生労働省、文部科学省、環境省)などから研究費を獲得しなければいけません。大学から支給される研究費用はほんの僅かです。そういったお金は、日本国民の税金から賄われています。

日本での一般的な研究費は「科研費」と呼ばれ、年一回募集が行われますが、アメリカに比べるとその額は低く、日本の大学の研究室の台所事情はそれほどよくありません。

そこで、不正を働くヤツがでてきます。業者に架空の請求書をつくらせ、そのお金を業者にプールするやつがいます。日本の科研費は年度繰り越しができないため(*今はできるようになった)、そのお金を次年度のために貯めておくのです。

しかしそれはまだ良い方で、業者に預けたお金を現金や商品券として業者から返金させ、それを私用に使うとんでもないヤツもいます。これも結構ニュースになっていますが、氷山の一角。

日本の大学では、そういった不正や不祥事は組織内で揉み消そうとしますが、アメリカは全く逆で、オープンにしようとします。

しかし実際アメリカでは、研究費の不正利用というニュースはほとんど聞きません。

人事関係やCOI(conflict of interest)のトラブルでニュースになったりすることはありますが、研究費の不正に関するニュースは聞いたことがありません。

なぜか。

それは、アメリカでは日本のように研究費が自由に動かせないからだと思います。

まず、アメリカで試薬を買うときは、日本のように仲介業者を通しません。
試薬会社や研究機器業者のウェブサイトから直接購入します。

そして、支払いはクレジットカードではなく、 P.O.ナンバー(注文番号)を伝えるだけで、あとは事務が処理します。現金が動くことはありません。

ただ、この方法で問題なのは、試薬を買うたびに運送料がかかってしまうこと。

$20の消耗品を購入して運送料$25も取られたりすると、ものすごくもったいない気がします。

 

アメリカは研究費が潤沢なイメージがありますが、それはもう既に過去の話。
NIHの研究費の採択率はリーマンショック以降年々下がっており、現在の採択率は5%といわれています。
つまり、100人応募してお金がもらえるのは5人だけ。

しかも、国としては自国民に優先して支給するため、ボクたちのような外国人の採択率はもっと低いのが現状です。

研究費が貰えないと、研究はできません。

さらにアメリカでは、P.I.自身の給料の一部(ボクの大学では25%)やポスドクやテクニシャンの給料全額はグラントから賄われるので、グラントの獲れないラボは実験する人を雇えなくなり、結果、データも出なくなってしまいます。結果、ラボは潰れます。

アカデミックといえども、P.I.は中小企業の社長のようなモノです。

また、グラントの一部は間接経費として大学に入るため、グラントの獲れないファカルティーはうちにはいらない、といって大学をクビになってしまいます。

アメリカのアカデミックではテニュアになれば将来安泰というイメージがありますが、実際はそうではありません。

アメリカで一般的なグラントはNIH grantで、年に4回募集があり、P.I.はみな必死にグラントを書いてアプライしていますが、本当に厳しい状況みたいです。

なかには、もうアメリカでの研究を諦めて、もっと経済的に豊かな国(シンガポール、中国など)に移り始めている人もいます。

お金がなければ実験できませんからね。

ボクもどうなる事やら・・・

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2 comments on “サイエンスとお金”

  1. お〜、きわどいお金の話ですねぇ・・・。
    私も半沢直樹を見てますが、久しぶりに面白いドラマですよね。たまに時代劇を彷彿とさせますが。笑

    私もアメリカの銀行に就職して、お金を動かすことの大変さ(というか面倒臭さ)を知りました。以前は消費者側から見て、「銀行って仕事遅すぎ!」と思ってましたが、実は時間がかかるには理由があったんですね。
    一つの融資をクローズするために、本当にたくさんの物事が同時進行していて、そこにcontingencyとか入ってきたらもう大変です。たぶんほとんどの銀行員が「自分がお客さんだったら怒るだろうな・・・」と思いながら仕事してます。(でも一生懸命働いてるので許してね)

    これに政府が関わってきたらもっとひどいです。サンディエゴは軍需関連の仕事をしている人が多く、「政府が関わるとペーパーワークが5倍になる」って言われてます。本業(予算とか会計分析)より書類を読む時間の方が多いそうです。

    それもこれも、アメリカはやはり訴訟大国であり、個人の一存で決断しないからでしょうね。あらゆることにガイドラインがきちんとあり、日本によくある、情・つきあい・派閥・しきたりっていう非物質的なものを決断要因に使わないからだと思います。

    私は何事もクリアにしてあるのが好きですが、面倒くさいと思う人もいるのでしょうね。それが仕事の効率を下げてるなら考えものです。

  2. うちの夫もプロポーザルを書きまくってます。
    大学で研究してるというと、大学から研究費が出てると思われがちですが、自分でグラントを勝ち取ってこないと研究費がないんですよね~。シビアな世界。
    うちはtenureのポジションはもらえる当てがないんですが、でも定年も無いので、まぁ、自分がやりたいだけ、やれる限り働くみたいです。リタイアは絶対しない!って言ってます。私的にはリタイアしてのんびりして欲しいんですけどねぇ。

    プロポーザルの提出もグラントの管理も、夫の大学では専門の部署があってきちんと管理されてる感じですが、日本は事情が違うのでしょうね。

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