アメリカ企業での自分の売り込み方法
どうもこんにちは、Erinaです。
久しぶりにアメリカ企業ネタでも書いてみます。
学生インターンも入れると、3つのアメリカ企業で働いてきましたが、「これができればアメリカ人」と自分で勝手に決めた(笑)ある水準があります。
一つめは「給料の交渉」。
日本では、自分の給料を、直属の上司と交渉するなんて考えられないことですよね。
または仕事のオファーをもらった後、カウンターオファー(オファー返し)で給料の交渉をするなんてことも、アメリカではあるそうです。
salary.comなんかのウェブサイトでは、「勤務歴○年のソフトウェアエンジニアの平均年収はいくら」と見つけられるので、自分のプロフェッショナルな価値を客観的に見ることができます。つまり、こういう物差しを使って、自分の市場価値を決めて、現在の給料が妥当かどうか、会社と交渉するわけです。
私はまだこれをやったことがありませんが、やることがあれば、報告します。(笑)
二つめは「仕事をもっとくれ、というアピール」。
今日はこれについて書いてみます。
Go-getterという言葉もあるように、今あるものに満足せず、自分からもっとやりたいとアピールする人たちがいますが、アメリカでは、ポジティブなボスの下であれば、こういう人はどんどん波に乗り、仕事も増え、結果として昇進していくわけです。
私も今のポジションで働いて3年が過ぎました。
そろそろ「アナリスト(Analyst)」のポジションから卒業したい、次に進みたい、と考えるようになってきたわけです。
アメリカでは、数学・ファイナンス系の勉強をすると、新卒の仕事は「アナリスト」という人が多いです。株・ミューチュアルファンド・保険・不動産・ローンなど、何を分析するかというのは様々ですが、まずは実際の数字に触れて、それをどう読み取るかを学ぶポジションです。
ジュニアアナリスト(Jr. Analyst)
↓
シニアアナリスト(Sr. Analyst)
↓
ポートフォリオマネジャー(Portfolio Manager)
なんていう流れが一般的ですが、中にはポートフォリオには興味はなく、キャリアを通して分析をやりたいというアナリストもいて、彼・彼女たちは人間と話したりするより、数字と向き合うほうが好きな人が多いです。
ちょっと話がそれました。
私のボスも、昨年から「そろそろ新しいことをやりたいでしょ?」と、ポートフォリオマネジャーの仕事の一部をくれたり、今年の目標に加えたりしていました。
しかし、今年に入って大きなマージャー(合併)がクローズし、大きな変化がおこりました。その間、ボスも忙しく、挨拶すらしない日もあり、私はまたアナリストの仕事に完全に戻ってしまったのです。
「う~ん、私は一体どうなるんだろう・・・?」
と、もやもやしながら過ごす数ヶ月。
「次に進みたいって、君のボスに伝えても良いんだよ。」
私の旦那が背中を押します。
「待ってるだけじゃダメだよ。」
仕事について相談してきた人たちの言葉が後押しします。
しかし、上司に「もっと仕事をくれ!」というアピールはしない文化で育った私にとって、これはかなり高いハードルでした。
結果から言うと、私はボスにこのアピールをすることができました。そこで見つけた方法はこんな感じ。
このアピールに必要なもの。それは、
- 言い方・伝え方
- タイミング
それぞれ見てみましょう。
1.言い方・伝え方
フムフム、「やる気を伝えても良い」ということはわかった。
ここでの問題は、「もっと仕事をくれ」なんて直接的なことを、どう伝えるか?なんて言うか?ですよね。
私は旦那に聞きました。
私:「どうやって言ったらいいの?」(How can I say that to her?)
旦那:「“Do you have a plan for me for the next couple of years?”(私のために次の1~2年の計画はありますか?=私をどう使う予定ですか?)
とか、
“What do you have in mind for me for the next coming years?”(次の数年で、私をどう考えてますか?)
とかじゃない?」
ふ~ん・・・なるほどね。(言うほど直接的じゃないじゃない・・・)
旦那:「君のボスがどう思ってるか、知りたいってことでしょ?彼女が君を使う予定がないなら、君もmove onできるじゃない。」
私:「まぁ、そうだね。」
たしかに、今の職場で次に進む可能性がないなら、
- 転職するのか
- 自分に必要なものを見つけて成長するのか
を決めなきゃいけません。
はっきりとした答えをもらえなくても、『私は次に進みたいです!』っていうアピールをするべきです。
オーケー。伝え方はわかった。
2.タイミング
これが一番難しい・・・。
会社のマージャー(合併)をきっかけに、チーム編成、ボスの仕事内容、トップマネジメントからの要求、社内のシステムなどに大きな変化があった今年の前半・・・・とにかく忙しそうなボスに、いつ切り出そう?
そんな中、新しい仕事を任せられることになりました。
「エリナを中心に進めて欲しい。」
まぁそれは良いけど、メインの仕事はどうなのよ?
・・・・と、聞きたい。けど聞けない。笑
この新しい仕事は、正直に言うと、やりたい仕事ではなかったのですが、チームにとってとても重要な役割だし、とりあえずここで結果を出すチャンス!と考えて、積極的に動き回ります。
結果、自分で想像していたより、物事を進める力がついていたこと、仕事を片付ける意識が強いことを示す機会になり、ボスも認めてくれました。
「よし。きっと今がチャンスだ。明日は金曜日。明日、ボスと話そう。」
そう決めた木曜の夜。
次の日の朝、出勤すると、ボスのほうから私のオフィスにやってきて、これからのチーム拡大について切り出してきました。
ボス:「そんなわけで、月曜の朝、二人でミーティングをしましょう。」
私:「へ?」
ボス:「あなたのその週の仕事内容について、相談していきたいの。その内容を見ながら、新しいこともやってもらいたいから。」
私:「そうですか・・・。わかりました。ところで、私も相談があるんですけど。」
ボス:「えぇ、何かしら?」
私:「ちょっと似たような内容ですけど、do you have a plan for me for the next couple of years?」
一瞬、ボスは驚いたような表情になりました。
ボス:「そうね。新しいメンバーにはあなたが今リードしている任務のサポートもしてもらうつもり。それで余裕ができたら、あなたにはポートフォリオを少しずつ増やしていこうと思ってるわ。」
私:「そうですか。今の仕事もあと2~3週間である程度は片付くと思います。そうしたら年末まで少しスローになるだろうから、それも知っててもらいたくて。」
ボス:「オーケー、わかったわ。あなたがマネージできそうなポートフォリオを考えておくから。」
私:「お願いします。」
そう言うと、ボスは戻っていきました。
とりあえずやる気があるというアピールはできたし、彼女もそれを考慮してくれそうな手ごたえ。
家に帰って旦那に報告。
旦那:「きちんと話せて、よかったじゃない!
あとは彼女次第。目先の忙しさにかまけて君を放っておくようなボスなのか、成長させてくれるボスなのか、君がよく知ってるはずでしょ?だから、be patient.」
そして翌週からは、ボスとのミーティングで私の仕事量を確認し、新しい仕事をさせてくれるようになったのです。
アメリカでは、「何も言わない=現状に満足」という考えが前提で、「言わなきゃわからない」というのはこういうところでもあるようです。
そして実際にアピールするときは、
- 個人的な「やりたい!」というアピールではなくて、マネジャーの「チーム編成構想」、スポーツで言う「采配」に合ったアピールをする
- 「こうすれば(=自分を使えば)、こういう面でチームにプラスになりますよ」というポイントを売り込む
- マネジャーの視点から見ると、「自分の役割は何か」を具体的に理解している部下は、ありがたい上に信頼できる
ということを念頭に。
さ、また明日から仕事しよう。
みなさんは仕事でどんなアピールしてますか?
日本では、与えられた仕事を誰よりも良くすれば、誰かがそれに気付いて上にあげてくれますが、アメリカでこれをするとあなたは与えられた仕事が大好きだと思われてしまいます。
一年に二度は自分の将来の興味をボスと話し合いましょう。あなたからボスにその様にお願いし、ミーティングをスケジュールしてください。
このミーティングで、自分の次の希望を伝え、そこに行くのにはまだ何が足りないかを聞きます。自分で始められることは、それをその場でアクションアイテムにします。ボスの助けが必要な事は、何と無くボスに打診し、ボスがやってくれると言ったことは、それをボスのアクションアイテムにします。このアクションアイテムを半年に一度ボスと進捗をチェックします。
殆どの会社で従業員のランク付をしているはずです。これは、年次の査定と違って、各従業員を、可能性と実績を元にしてランク付をするのです。あなたがどのランクかを聞いて見ましょう。実際のランクは教えてくれないかもしれませんが、リーダーシップポテンシャルに含まれているかは教えてくれるはずです。もし含まれていなければ、何が足りないか聞き、それをアクションアイテムに入れて下さい。
あなたが向上心があると言うことと、自分の将来は自分でコントロールすると言う姿勢を見せることが大切です。それと同時に、自分の出世は自分のボスが一部を担わなければならないと言うことを常に気付かせる事です。
ボス自身もこの様に積極策で、今の位置を得ているとはずなので、好印象を持たれる筈です。
ボスが何をして今の位置を得たか聞いて見ましょう。快く話してくれる筈です。学ぶところは真似をしましょう。ボスに将来の希望も聞き、それに向かって何をしているのか聞いて見ましょう。
以上は、私の部下達から学んだ出世術です。実は、私は彼らの真似をしてきました。
Good luck!
もう一つ。実際に年次の査定で給料の交渉を持ち出した人は、私の経験では一人しかいませんでした。これはアメリカでは一般的に行われている印象がありますが、私の経験では稀です。
普通なのは、年始めの目標設定時に、高い評価を得るにはどうしたらいいか詳細に聞き、それを全てこなしたのに何故評価が低いのか問い詰める人はかなりいます。これは、マネジャーとしては面倒くさい手順なのですが、重要なステップだと思います。
評価は結局他の社員を含めた相対で決まるので、言われたこと以外のプラスアルファが重要になります。このプラスアルファの結果を何と無くボスに日常知らせることが、好評化を得る鍵になります。査定の時だけ知らせるのではダメです。常にボスに知れせる事が重要。それがベターペイへの早道です。
Nao-Tさん、コメントありがとうございます。
なるほど~・・・管理職の方からの情報は、なんというか、貴重ですけどmake senseですね。
Nao-Tさんのコメントが、このまま記事になっちゃいそうなので、ぜひよろしくお願いします。笑
私も今回のこの体験で、「あぁ、自分はまだまだJapaneseだな・・・。」と感じました。ボスの都合を気にして、いつまでも話を持ち出せないとか。笑
何事もプレゼンの仕方次第だなと感じたので、どんどん頑張ります。
アメリカ企業は、ある程度の大きさになれば、どこを見てもシステマティックというか、ルールがきちっとしていて、どのレベルでもそれに従うという印象があります。
もう「ゲーム」ですよね。
それをうまく使って出世する人もいれば、外れていく人もいるのでしょうけど・・・。