常識って何?
お元気ですか?美加です。
サンディエゴでも秋、冬には雨が降ります。雨の日は年に数えるほどなので一日中雨だと嬉しいです。
昔、日系の会社で働いていたころ、永住組でサンディエゴに20年くらい住んでいた日本人のボスが、雨降りの朝には必ず、「今朝はいい雨ですな。」と言うのを聞いて、「そうですね」と言いながらも、なんで雨がいいのかしら、と思ったものですが、今自分が20年選手になってみると雨降りの日には必ず「いい雨ですな」とつぶやいています。
こうやって人は環境に馴染んで変わっていくのがおもしろいな、と感じます。他にも、こちらの習慣や常識に応じて変わっていったことは多々あると思います。例えばあいさつのしかた、お辞儀、パーティーなどでのマナー、小さいことですが違いは大きいですよね。そんなこんなで今日は『常識』について考えてみました。
まずわたしの私的観察ですが、アメリカ人は『常識』という言葉を日本人ほど使いません。日本では「あの人は常識はずれ」、とか「そんなの常識でしょ」、といった言い回しをよく聞きますよね。そんな言い回しをアメリカでは聞いたことがありません。どうしてでしょうね。わたしなりの見解は以下のとおり。
仮定1)違った人種が文化やバックグラウンドが違うのでまとまった常識というものがない。
仮定2)日本と違い個人主義なので社会的にひとつの常識にそって同じ事を相手に求める習慣がない。
仮定3)アメリカでは、なんでもあり=規則にしばられない、ほうが自分も他人も楽なので、規則や常識を嫌う傾向がある。(そのくせ規則は契約書とサインで白黒つける。)
これだ!といった正解はないかと思いますが、常識にしばられないで、個人として扱ってくれる社会のほうがわたしたち外国人には入りこみやすいと言えましょう。
コミュニティーカレッジのアドミッション(入試課)で働いて10年以上になりますが、職場で「違うんだな~」と思ったことは多々あります。わかりやすく日本での常識(主に習慣について)を使いながら職場での様子を紹介します。
朝のあいさつ:
日本ではオフィスに入ってきたときに職員に「おはようございます。」と声をかければそれで終わり。うちのオフィスではあいさつに加えて週末はどうだった、家族はどうしてる、といった近況についての会話がふつう。そのために5~10分の会話になってしまうこともある。これを各自がお互いに行うと時間のロスはすごいものになります・・・。
ちなみに今朝の会話です。
私:おはよう、リサ(仮名)!
同僚:おはよう、美加!週末はどうだった?
私:楽しかったよ。(病気で寝込んでいる以外はネガティブな返事はしない)お天気も良かったしね。クリスマスの飾りつけをしてヨガに行って。。。でも洗車はさぼっちゃってまだ汚いままよ~。あなたは?
同僚:わたしもクリスマスの飾りつけしたわ。クリスマスには娘のボーイフレンドのママが泊まりに来るから家の掃除も始めなきゃ、だし大変よ~。
わたし:わお!ボーイフレンドのママ?どこから来るんだっけ?どれくらい滞在するの?
同僚:ボストンよ。1週間の滞在。
わたし:すごいね~。えらいわ、そんなに滞在させてあげるなんて。まだ結婚もしてないのに・・・。
同僚:まあね。でも大丈夫よ、楽しく過ごせると思うわ。
といった、かんじです。ちなみにわたしは初めてこの職場に来た頃、この朝のあいさつの『常識』に気がつかず、一言あいさつをして即仕事にとりかかる、に専念していました。多分職場のみんなには愛想のない変人と思われていたと思います。今思い起こすと汗がでます。もちろんこれはうちの職場のカルチャーなので職場によって違います。要は始めてのオフィスでは頭にアンテナをたて十分観察をして学んでください。
上司への気配り:
日本では上下の関係が厳しくはっきりしているので上司を大切に扱いますよね。こちらでももちろんボスには尊敬は払いますがちょっと違うんです。
ある日のポットラックランチでの会話
同僚:ポットラックランチの用意ができたわよ~。
わたし:ありがとう。あれ、ボスがまだ来てないけど呼んだ?
同僚:あら、いいのよ。彼はきょうミーティングがあるから。
わたし:じゃあ、あなた(ボスの秘書)彼の分のプレート(お皿)確保しておけば?みんなが食べたあとじゃなくなっちゃうかもよ。
同僚:いいわよ、全部なくならないし、自分で欲しいものとるわよ。
わたし:そお~?(でもまだ気になっている。)
どうして気になってたのかな、と考えたら日本では上司にまず声をかけて上司が来るまで待つのが常識。そしてもし都合が悪ければちゃんとお皿をとっておくと思うのです。もちろんうちでは上司がオフィスにいても彼(彼女)を待つことなく食べ始めます。これが気にかかった自分がいかに日本の常識に洗脳されていたかと気づきました。
常識、習慣のちがいはルールの違い。どちらが正しいかを決めることはないのです。ただそのルールに従ってカメレオンのように色を変え楽しく毎日を過ごせばいいのでしょうね。
確かに「常識」っていう言葉は使わないですね。日本では”common sense”って習ったけど、こっちでは”common decency”って言ってますね。でもこれも日本で言う「常識」とは違う気がします。”common decency”は「良識」かな。
私の好きな村上春樹さんのエッセイに「やがて哀しき外国語」というのがあるのですが、そこに、トヨタのカムリがアメリカで流行った理由が書いてあったんです。春樹さんいわく、「カムリはアメリカの普通の家族に適している」ということでした。
これをアメリカ人に言ったら、「アメリカの普通の家族って何?」って逆に聞かれて、「あ~、『普通』ってないんだ・・・。」と思いました。
面白いですね。
私も自分のオフィスにこもる変人かも・・・。もっとおしゃべりしにいこうっと。笑
美加ちゃんのオフィスに連れて行ってもらったことがあったので、みなさんの様子を思い出して微笑ましく、楽しく読みました。美加ちゃん、オフィスのひとりひとりにわたしのこと紹介してまわってくれたのよね。「友人のリコです、ジャマイカから来てて、、」というだけじゃなくて、わたしの描いた絵や、ロックバンド時代の写真まで見せて、それで半日過ぎたような。笑。
日本とのちがいに驚くことばかりじゃなくて、自分でも気づかず染みついている自分のなかの日本人的部分に驚きますね。
えりなさん、そうですね、こちらでは「普通」もないですよね。わたしも今でもめんどくさいときは適当にあいさつして自分のデスクにこもってます。
玲子ちゃん、そうだったよね、オフィス全員に紹介して、おんなじせりふを何回もくりかえしたよね。でもあれが普通なのよ。自分のお母さんや、夫や、子供をつれてきてはあんな感じで紹介するのよ。みんなに紹介しないと気を悪くする人もいるから、大変なのですよ。ジャマイカなんか日本の常識が通じないことだらけでしょう?ブログに書いてみてよ。