金曜日はShabbat Dinner
私はユダヤ教徒の夫と結婚したので、家ではごく基本的なユダヤ教の習慣を実践しています。
我が家はそれほど厳格ではなく、ユダヤ教徒といえば豚肉を食べてはいけないという戒律がありますが、「あえて豚肉を買ってきて調理はしないが、たまにおいしい豚骨ラーメンを食べに行くのはOK」という、なんともゆるーいルールを勝手に作っていたりします(笑)
細かい戒律にはこだわらず、日常生活に取り入れられる習慣、日本人の感覚としても「これはいいな」と思った習慣を大事に毎日少しずつ学んでいるところです。
中でも私がとくに気に入っているのが、金曜日のShabbat Dinnerです。
Shabbatというのは日本語で「安息日」と訳されることが多いヘブライ語(の英語表記)ですが、ユダヤ教の安息日は土曜日で、その前の晩の金曜日、おいしいディナーを作ってお祈りし、キャンドルに火をともして食事をします。
「ユダヤ教のお祈り」と聞くと、なんだかいかにも宗教っぽい、堅苦しいイメージを与えてしまうでしょうか。
実際にそのお祈りの内容はどういうものかというと、「今日もこうしておいしい食事ができることを神様に感謝します」「家族がこれからも健康に暮らして行けますように」というような内容で、日本人の私の感覚としては、食事の前にちょっと長めの「いただきます」を言うようなものではないかと思っています。
お祈りの言葉を言いながらキャンドルに火をともすのですが、よく、ロマンチックな食事の代名詞として「Candle-lit Dinner」なんていう言葉があります。
照明を落として、キャンドルの灯りのもとでするお食事。
レストランではよくある光景ですが、これを自宅でするのもなかなか良いものです。
Shabbat Dinnerは、多分厳密にはいろいろなルールがあると思いますが、私の理解では「おいしいごちそうを家族で囲む」が基本。あくまでもゆるい我が家の場合、メインはたいていチキンにして、野菜と一緒にローストします。
それとパンは「Challah」という特別なパンを用意します。これ、なんて読むと思いますか?
あえてカタカナにすれば「ハーラー」が近いです。しかし「ハ」にちょっと力を入れて発音します。
Challahの見た目は写真のとおり、三つ編みのように編んであって、卵が入っているので少し黄色い生地、たいていハチミツやお砂糖でほんのり甘みが加えられています。
甘くてモチモチしていて、ブランドによりますが、ケーキに近いくらい甘いものもあったりします。子供も大好きです。
このパンを食事の前に順番に一口分ずつちぎりながら隣の人に回していくのですが、そのときに歌う歌があります。
「今日もパンを食べられることを神様に感謝します!」という歌なんですが、とても明るくて楽しい歌で、これを元気に歌いながらパンをちぎり、最後に「アーメン♪」と歌い終わって家族で一斉にパンを一口食べる・・・少し甘くてモチモチのパンがおいしくて、なんとも幸せな気分になります。
そして楽しくおしゃべりしながらメインコースにとりかかります。
Shabbat Dinnerはたしかにユダヤ教という宗教の儀式ではあるのですが、結婚してから毎週金曜日行ってきたこのキャンドル・ディナー、今ではすっかり私にとって一週間の締めくくりにかかせない、とてもリラックスできる素敵な習慣となっています。
どんなに仕事が忙しい一週間でも、夫婦喧嘩をした週でも、ストレスフルな一週間でも、金曜日になったらShabbat Dinnerを用意して、キャンドルをともして、ほんのひととき、ゆっくりとただ「毎日の幸せに感謝する」という時間を設ける・・・
何千年もの間ユダヤ教徒が実践してきた習慣ですが、忙しい現代人にこそ必要なひとときであるような気もします。
一週間の仕事が終わって、Shabbat Dinnerを迎えることで、私もきちんと仕事モードから家族とのリラックスモードにスイッチすることができます。
キャンドルに灯をともしてお祈りの言葉を言ったあと、私と夫と娘、それぞれハグとキスを交わします。とても幸せな瞬間です。
みなさんも、いかがですか?ユダヤ教の習慣からヒントを得て、「金曜日の夜は家族でキャンドル・ディナー」、お祈りの代わりに「いつもありがとう」「I love you!」・・・きっととてもリフレッシュして週末を迎えられるはず!
*キリスト教徒が圧倒的に多いものの、移民の国ならではの多くの宗教が存在するアメリカならではの情報として、これからもときどきユダヤ教について書いてみたいと思います。
私も金曜日の夜が大好きです!仕事をしていると、すごく特別に感じますね。
うちは月~木曜の間、旦那が家族と一緒に夕食を食べられないのですが、金曜になると家族揃ってディナーです。しかも彼が作ってくれるので一番まともな食事・・・笑
どの宗教も、しきたりの形だけを見るのでなくて、それを実践する考えとか価値観とかを理解できると「素敵だな~」って思えることはたくさんありますよね。特に家族を大事にっていうのは、個人的にすごく同意できるから好きです。
ユダヤ教についての記事、楽しみです!
Erinaさん、ユダヤ教はあまり宗教という感じはせず、数千年におよぶユダヤ人の知恵の結晶、よりよく生きるための哲学、という感じに近いです。
私がその哲学の中でとくに好きなのは、このシャバットもそうなのですが、子育ての中で重要なのが「子供にたくさん質問をすること」、というところです。
金曜日の夜、ディナーを楽しみながら、まだ小さいうちの娘にも、「プリスクールで何したの?」「何が楽しかったの?」「何で泣いちゃったの?」たくさん質問して、たくさん説明させます。子供の言いたいことにそうやってしっかり耳を傾ける、ということがとても強調されていて、すごく同感なのです。
現代、家族がバラバラに食事したり、一緒にいてもテレビをつけたまま食べたり、親も子供もスマートフォンでテキストしていたりする家族もいますが(実は私も疲れた平日の夜はTVの前で子供と一緒に食べることも・・・)、宗教のイベントとして必ず金曜日夜の団欒を守ることで、子供がより健やかに育つという、やはり数千年の知恵かな、と思ったりしています。