「いい加減さ」への順応
先日の引越しの際、いくつか室内のリノベーションも行いました。
業者には「必ず、引越し前に作業を終わらせてね」と頼んでおきました。
業者は「もちろん、ちゃんとリノベーションが終わってから引っ越してこれるようにしますよ」と約束してくれてました。
さて、引越し。
リノベーションは終わってません。
「あと一日だけかかります」と言われました。
その一日が過ぎると
「あともう一日」
翌日は
「今週いっぱい」。
というわけで、引越し後数日が経過した今日現在、いまだに生活空間の一部が工事中で、朝早くから夕方まで業者が出入りしているので落ち着きません。
私達は日本風にドアのところで靴を脱ぐようにしているのに、業者はどんどん土足で入ってくるし。
と、愚痴のように書いてみましたが、実は全然怒ってません。
「引越し前に終わらせる」と言われた時点ですでに「まっさかー、終わるわけなかっぺよ」と思ってました(なぜか茨城弁)。
「あと一日だけかかります」と言われた時点で「はいはい、あと一週間くらいだろうね」と思ってました。
どちらのときもお互い笑顔で「Ok! Thank you! Don’t worry!」とか言ってましたけどね。
渡米13年ともなるとこんなもんです、もうあらゆる業者に対して何の期待もしていません。
相手がいい加減だからこっちもいい加減に対応します。
8時に行くから、でかけないで家にいてください、と言われたけど、「はいはい、いますよ」と言っておいて7時半にでかけます。鍵は工事中に使ってたコードを押して開ける鉄製のものを取っ手にかけ、「ま、自分たちでなんとかするでしょ。They will figure it out」ってことで連絡もせずそのまま。
ちゃんと勝手に入って勝手に作業してました。
と、自分側の適当加減もわかってくるとアメリカ生活もなかなか快適です。
さて、そんな順応してきた私ですが、仕事となるともう少しキリキリする場面が増えてきます。
先日、私が仕事に使っているデータベースに何度注意しても正しく入力してくれないユーザーがいて、その日もまた言ったとおりに入力してくれていなかったので思い切りきつく「ちゃんと入力してよね」メールを出しました。
と言ってももちろん「ちゃんと入力してよね」って書いたわけじゃありません。「Could you please…?」と非常~に丁寧にお願いしました。しかしこのことを私が以前から何度も言っていて、直接言ったこともあるし彼のマネージャーを通して抗議したこともあるし、私が相当怒っていることを彼は良く知っているので、丁寧に書けば書くほどその怒りが伝わったことと思います。
このような抗議のメールには、私は必ず第三者のアドレスをCCにいれます。彼のマネージャーなんかにするのが一番効果的ではありますが、この件はマネージャーを巻き込むにはあまりに細かい事項なのでそれはしません。
かわりに、DBの作成を担当していた別の社員にCC、送信直後に社内チャットでその彼に話しかけて「ちょっと、あなたからも一言伝えておいて、ちゃんと入力するようにって」とリクエスト。
彼は「Okay, I will follow up」と約束してくれて、「よし、これで少しは真剣に受け取ってくれるだろう」と一安心。
その後の、どうしても正しく入力してくれない社員(Aとする)と、DB作成担当者(Bとする)とのやりとり。
(A)いやー、ごめんね、僕はすごく怠け者だからちゃんと入力できないんだよ。どうしたらいいかな~、いいアイディアある?
(私の心の声)自分で怠慢とか認めるってどういう反応?!いいアイディアある?って何だよ!自分がちゃんと入力すればいいだけだろ~~~
(B)そっか、君がそんな怠慢で入力できないなら、アシスタントに頼んだら?それか、僕がやってあげてもいいよ、ドーナッツ13個で引き受ける!安いもんだろう?
(私の心の声)ちょっと!DB担当者としてちゃんと注意してよ。ドーナツくれとか言ってないでさー!
(A)あ、ちょうど昨日辞めた人がいてその人のためのドーナツが箱にまだいくつか残ってるよ・・・あ、でも13個はないかな。わかったわかった自分でやるよ!
(私の心の声)調子にのって冗談言ってないで、最初からやれ~~!!
その日の午後、テレビ会議で画面越しにこの社員Aと対面することになりました。
画面に現れるなり、私に笑顔で手をふるA。
「Hey! I’m sorry!! さっそく入力し始めたけどまだ終わってないよ~」
硬い表情で
「Well. Thank you for starting.」
と答える私。
そしてAはこう続けます。
「実は、わざとやったんだよね~、こうでもしないと、君は僕に直接メールをくれないでしょ。それが目的だったんだよ、あっはっは~~~」
その場にいるみんなが笑ってます。画面のこちらのみんなも笑っています。
こうなってくると、一人でキリキリしているまじめな日本人社員の私は、だんだん馬鹿らしくなってくるのでした・・・。
本当に、何年住んでもやっぱり日本人な私です。