アメリカの実力主義を学べ!料理番組”Chopped”
こんにちは、Erinaです。
日ごろ、テレビはあまり見ない私ですが、年末年始からうちの家族が妙にはまっているチャンネルがあります。
それは”Food Network”。
あのジェイミー・オリバーやレイチェル・レイなどを輩出している、なんともアメリカらしい料理番組専門チャンネルです。私は試食担当で、特に料理が楽しいわけではないのですが、うちの旦那と子供たちがなぜかこのチャンネルに釘付けになっています。
その中でも”Chopped”という番組があります。
これは、全米から選ばれた4人のシェフが、与えられた課題食材を使って、1回戦はアパタイザー、2回戦はメインディッシュ、3回戦でデザートと対決します。
各調理時間は30分。一皿ごとに一人ずつ脱落し(Chopped)、最後まで残ったシェフが優勝です。
この番組を家族で見て、「誰が脱落するか」を議論している最近の我が家。
「どうして脱落するか」
「どうして生き残るか」
なんて子供たちも子供ながらに真剣に考えているようで、なかなか見ていて面白いです。
番組の審査員たちは、料理批評家や有名シェフたちなのですが、彼・彼女らの声を聞いていると、「アメリカの実力主義社会」を学ぶものすごく良い勉強になります。
今回はそれを少し考えてみます。
「実力主義」ってそもそも、何でしょうか?アメリカでよく聞きますよね。
このよくわからない魔物に、よくわからないまま不安になったり、果てはよくわからないままに「自分には実力がない」と決め付けてしまう日本人をたくさん見てきました。”intimidated”(尻込みしてしまう)なのです。
まずは「実力」という言葉を聞いて、どんなことを想像しますか?
「あの人は実力がある。」
と言ったとき、それは具体的にどういう意味なのでしょうか。
- 与えられた仕事をできる (Comprehensive)
- 他の人より優れたパフォーマンスができる(Performer)
- 難しい問題を解決できる (Problem solver)
- 何でもできる (Versatile)
そんな感じでしょうか?
これらを達成するのに必要な資質はどんなものでしょうか?
- 決断力
- 分析力
- 問題解決力
- 資源活用力
- 総合力
- 忍耐力
- 経験
- プレゼンテーション
まだ他にもあるかもしれませんが、ここまでbreak downしてみると、今までよくわからなかった「実力主義」に必要とされる要素がちょっと見えてきた気がしませんか?そもそもの「実力」という単語自体がものすごく曖昧なんですね。
そして少なくとも、「実力」というものは生まれながらに備わっているもの(inherited)ではなく、自分次第で身に付けたり、鍛えることができるもの(acquired)、というのがアメリカ人の意識ですから、「自分には実力がないから」と言うのはやらない言い訳にならない、と私はこの13年間のアメリカ生活を通して思うのです。
そしてこれも当たり前のことですが、この8つを全て兼ね備えた人間はいません。
人によって強い部分もあれば、弱い部分もあり、大事なのは与えられたポジションで必要なバランスが取れていることだと思います。
この”Chopped”の審査員たちは、調理終了後、各プレートに
「このソースはユニークで良い。」
「ちょうど良い火の通り具合だ。」
「ちょっと魚に火が通り過ぎ。」
「この組み合わせは甘すぎる。」
などと具体的にコメントしていきます。しかし、「君のは完璧だ」とは絶対に言いません。どのプレートにもプラスの点とマイナスの点があり、それを総合した評価で脱落者を決めるのです。「こういう総合評価はアメリカらしいなぁ。」と思いました。
「君のここは強い。でもこういう弱点がある。これをこうすればもっと良くなるよ。」
という分析は、完璧な人間やシェフは一人もいなく、常に努力しなさいと言われているようです。ここがアメリカ人の強いところだと思います。
昨日見た”Chopped”のエピソードでは、最後に残ったのは男性シェフ二人でした。
Aはレストラン経営35年のベテランシェフ。
Bは有名レストランで働くエグゼクティブスー・シェフ。
最後のデザートで作ったものは、偶然にも二人とも「フレンチトースト」。
しかしながら、同じ課題食材を使ってもできあがった完成品は全く別物であり、全く別の評価を受けたのです。
このエピソードが始まってすぐに、
「誰が残ると思う?」
と聞いたのはうちの旦那。
しかし、始まりからAが残るのはかなり明らかでした。
“A is at a totally different level (from others).”
「Aは他の人とは比べ物にならないレベルじゃない。」と私は答えました。なぜなら・・・
“He is the only one who sees how the plate will be at the end. Others are thinking as they go.”
調理スタートから「完成品はこうだ」というものが頭の中で出来上がっているAに対して、他のシェフたちは「やりながら考える」という状態だったのです。
それが最終ステージでも現れ、同じフレンチトーストにも差が生まれました。
“It’s been delightful to work with you, but….”
と審査員に言われて、ChoppedされたのはやはりBでした。
私はこれを見て、
料理も仕事も似ているなぁ。
どの分野でも「実力のある人」に共通するものは同じだなぁ。
と感じたのです。
つまり「実力のある人」とは、
課題を適切に捉え、
状況と資源を判断し、
効果的に遂行し、
他人には真似できない形で、
人に“I like it!”と言われる結果を出せる人
のことでした。
どうでしょうか。
アメリカの実力主義社会で勝負したいあなた。
“Chopped”を見て、自分のための戦略を立ててみてはどうでしょう?
はじめまして。アラフォーの私は先週アメリカに引っ越してきたばかりです。英語も初心者レベルですが料理が好きなのでFood Network(ビジュアルで何とか理解しています)を見てます。CHOPPEDも見たばかりでコメントしたくなりました。アメリカの実力主義をCHOPPEDから照らし合わせて考えている部分がなるほどです。他の記事もとても興味深く拝見させていただいてます!
イヅミさん、こんにちは!コメントありがとうございます。
そして Welcome to the USA!!
Choppedは面白いですね!家族で見出すとはまります。色々な分析がされて、奥深いです。
確かに英語が必要ないので、Food Networkの番組はオススメかもしれませんね。