アメリカ企業で出世街道を10倍うまく歩く方法ー オンサイト面接を勝ち抜く

前回から続きます。電話インタビューを無事突破すると、オンサイトのインタビューに招かれるでしょう。ここまで来ると競争率は2倍か3倍、つまり競争相手は1人か2人と言う事です。オンサイトのインタビューは恐らく1日がかりで、何人もの人と会う事になります。同じ部門の同僚から、他の部門の人達、先輩から直属のボス、ボスのボス等場合によっては数十人と、一対一やグループインタビューを通して会う事になるでしょう。模擬体験や現場見学、現在のあなたの仕事の要約をプレゼンテーションなどが含まれるかも知れません。

インタビューも、「あなたを動物園の動物に例えたら何ですか?理由も述べなさい。」と言った哲学的な質問を多用する会社から、「今まで実際にあった事例を元に、多くの反対者を説得して、あなたのアイデアを実施させた経験を話して下さい。」といった、非常に現実的な質問に絞る会社まで様々です。どちらも、それなりにHRのセオリーに基づいたインタビューの形式ですが、インタビューされる側はビビる質問ばかりです。

今は、インターネットで各社の過去の質問例など参照出来ます。一通り頭の中で質問に答える練習をしておくのは有効な準備だと思います。面接の時は、最初に頭に浮かんだ答えを即座に言うのでなく、15秒位の間をおいて、最適な答えを見つけて言う方が、相手の印象に残る返答が出来る筈です。

最終決定はインタビューに関わった人全員の意見を統合してhiring managerが決めます。従って会う人全員に好印象を持ってもらうことが目標です。しかし、会う人が皆あなたの専門分野に精通している訳ではありません。どんなにあなたがその分野での逸材でも、その価値を分かってくれる人は会う人のごく一部である可能性があります。

私が関わったオンサイトインタビューの殆どで、コミュニケーション力が採用決定の大きな比重を占めました。ここで言うコミュニケーション力とは、英語力ではなく、相手が何を知りたいか即座に察知し、話し方を臨機応変に変えられる力です。

同じ分野の先輩でタイトルにSeniorやChiefがつく人、例えばSenior EngineerやChief Analystは、あなたの専門分野での知識の深さや正確さに重点を置きます。従ってあなたの答に少しでも間違いや、不適切な部分があると、あなたにネガチブな印象を持ちます。この様な人とのインタビューは、詳細に時間をかけ正確さに心掛けて答えるのが良いでしょう。知らない事は知らないと言った方が無難ですが、知らない事を避けるように、質問を再定義して答えるのも良いと思います。

同じ課の同僚になる人は、採用されればあなたが競争相手になります。従って、あなたが専門分野でいかに優れているかを強調し過ぎると、マイナスになるかも知れません。その場合は、能力を強調するより、チームの貢献度などに主点を置いた方が良いでしょう。

他の部門のマネジャーは、あなたの専門分野にあまり精通していないかも知れません。この場合は、詳細を深く掘り下げて答えるよりも、専門的な事は簡潔に答え、人間関係をどうやって上手く活用するかを説明した方が効果的でしょう。

ボスのボスは、あなたが役員会議で報告出来得る人かを見ているかも知れません。細かい事をダラダラと説明するのでなく、要点を簡潔に説明出来る能力を計っているかも知れません。

この様に、相手によって話し方を変えられる力がコミュニケーション力です。

優良企業は、オンサイトインタビューの日程表を数日前に送ってくる筈です。それには会う人の名と肩書きが記載されている筈です。会う人全員の経歴をLinkedInなどで調べて頭に入れておいて下さい。窓口のHRの人に、会う人全員が社内でどの様に繋がっているか聞いてみましょう。恐らくOrg Chartは見せてくれないでしょうが、口頭で社内での関係を教えてくれる筈です。この知識は、採用決定の権限の比重が憶測でき、オンサイトインタビュー攻略の作戦を立てる時の資料になります。

オンサイトインタビューは、あなたの一挙手一投足全てが評価の対象です。工場見学や昼食が含まれている場合、これらの機会を如何に有効に使うかが、他の応募者と差を付ける鍵になります。今まではあなたが質問される方でしたが、現場見学や昼食はあなたが質問できる絶好のチャンスです。オンサイトインタビューは、こんな機会が無ければまず入ることの出来ない会社の内部を見る絶好の機会です。応募した会社が市場で優位性を保つ鍵を垣間見るチャンスだと思って、どんどん質問しましょう。

私が過去に昼食会に参加した応募者は3パターンに分かれます。もっぱら聞き役になり、社員の雑談に時たま参加する人、自分が話題を提供するが、話題は自分の趣味や体験談が主である人、そして、社内文化や会社の今の課題等について色々聞いてくる人の三種類です。概ね、三人目が好印象を残すようです。最終的に採用されなくても、トレードシークレットを知る機会の様な意気込みでオンサイトインタビューに挑めば良いでしょう。

最後に、英語が苦手な日本人は、オンサイトインタビューを勝ち抜けるでしょうか。私は十分に勝算ありと見ます。前述した様に、英語力とコミュニケーション能力は違います。アメリカ人は自己主張は上手いですが、自分の考えを系統立てて簡潔に、相手の立場に立って述べるのが上手くない人が多くいます。私はこの分野は日本人が一般的に優位と思います。英語が上手くなくてもゆっくりはっきり話して、コミュニケーション力の優位性を示せれば内定を得る事が出来るでしょう。

オンサイトインタビューの予定が入っている方、もう少しです。頑張って下さい。 

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