「Air Capital of the World」の終わりの始まり?!

僕が住む「カンザス州ウィチタ」には、(意表をついて)世界有数の大会社本部が多くあります。

特にアメリカ国内の有名航空機製造メーカーの拠点が集中していて、この業界では「Wichita, Kan.」を「the Air Capital of the World」と呼んできました。以下、長年ここに居を構え、ウィチタ市民の生活の一部となっている航空機製造会社(参照)。
– ボーイング
– ボンバーディア/リアジェット
– セスナ
– レイシオン
– エアバス
– ホーカービーチクラフト

本日1月4日、そんなウィチタのイブニングニュースを騒がせたのは「ボーイング、ウィチタから完全撤退」。

第二次世界大戦以前からウィチタを拠点にし、主に政府・軍事用機の作業を行っていた工場が今後2年間をかけて、その歴史に幕と閉じます(2013年に撤退完了予定)。理由は、お馴染みの「生産コスト縮減」。アメリカ政府の軍事費削減目標が、そのまま製造業に降りかかった形です。

「…in this economy」と言えば「不景気」を意味するこの不安定な時代、製造業界はいつものように「解雇」と「製品の整理」でギリギリ乗り切るのでしょう。

ただ、昨年ボーイングは政府系の大型受注に成功したばかり。この入札に向けてカンザス州の政財界が長年一丸となって活動してきたこともあり、「約束をやぶった」と全方向から非難の嵐が吹き荒れてます。

また、その「ボーイング、受注に成功!ウィチタに7500人分の雇用確保!」という大見出しに若干の希望の光を見ていたウィチタ周辺の市民は、今回「ボーイング、ウィチタからの完全撤退!2160人の作業員に影響!」という間逆の結果に不安を隠し切れずにいます。

その後ボーイングは、シアトルとオクラホマ、テキサスに労働力を集約させる予定だとか。また旅客機向けの部品をウィチタ内の他社部品工場に大量発注を予定しているため、州経済への長期的な影響は少ないとしています。

ロイターの記事にありましたが、2007~2009年にアメリカ国内では750万人分の仕事が消滅したそうです。その後回復したのは、わずか120万分。
仕事柄、最近また頻繁に「失業のため」という理由で復学している20代後半から、上は40代前半の生徒をよく見かけます。ただ、年末セールの売り上げで見ると、全米どこの業界も比較的潤ったそうです。まだまだ上下どっちに向かっているのか分かりませんね(コダックも破産準備してるらしいし)。

「収入は減るのに、物価は上がるから支出は増える一方」という気持ちが強いので、なかなかアメリカの歴史ある(現金は無くてもモノは欲しい、という不条理な心理優先の)「クレジット社会」には馴染めてない僕。近い将来「…in this economy」をタメ息が混じることなく笑顔で「前向きな意味」で言える日が来てくれることを願いつつ、今は自分の責任を一つ一つ着実に、感謝しながら果たしたい思います。

Photo courtesy of WIRED.com.
 

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2 comments on “「Air Capital of the World」の終わりの始まり?!”

  1. へぇ~、ウィチタってそうだったんですか。知らなかった!
    アメリカの各地(僻地?すいません・・・笑)には、世界的大企業がぼんっと存在して、地元の経済に大影響を与えてるってことすごくありますよね。うちの旦那の地元にも、トヨタの大工場があって、その町の大学のフットボールスタジアムにもトヨタの名前がついてます。(ってどうでもいいか)

    こんな大きなビジネスが町から撤退となると、悪影響も大きいだろうし、地元の人は不安でしょう。
    景気の波が早く良い方向に進行することを祈るのみですね・・・。

  2. いや本当に明日は我が身というか、恐いものです。
    ただ、ウィチタが本拠地で、(故意にあまり情報公開しないことで有名な)石油系「Koch Industries」てのが、まだまだ居座るのだろうて、たぶん大丈夫ですが。
    この会社の現経営者は、「Koch Brothers」は謎に包まれていて実はあまり情報がないことで有名なのですが、ちょこちょこと調べ始めると面白いですよ。なんか映画の世界です、不明なことばかりで。この兄弟二人、米国だけで見ると、ウォーレンバフェット、ビルゲイツの次に位置する規模の資産家らしいです。

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