「行ってから踏ん張んべ」(10)

シアトル内にあるリンの住まい(この頃には、豪邸一軒家の間借り)に着き、一息をついたところで、「あ、そういや暫く会ってないからジョーのところでも行こうか」という話。

ジョーは俺とほぼ同い年のハーフで、苗字は山田。父は日本人、母は軍居住区(横浜市根岸)の小学校教師。こんなに日本人男児らしい名前なのに、日本語は片言のみ(彼の兄ケンは日本語独学なのにペラペラかつ朝日新聞を愛読するのだが、ジョーとその妹エイミーは日本語が苦手)。 続きを読む

「行ってから踏ん張んべ」 (9)

冬真っ只中の「留学開始」も季節が変わり、もう春らしい陽気の中に芝生が青々と広がり始めている。

三月のワシントン州の気候はほんとに穏やかで爽やかだが、通学時の片道40分徒歩はすでにかなり汗ばむ。 続きを読む

「行ってから踏ん張んべ」 (8)

夕方に帰宅後、ムンちゃんから貰った彼女の電話番号の走り書きを自室の机に取り出す。

サササと書いてた割に彼女の几帳面さが伺える、はっきり描かれた「Moon Kim」の文字を見ながら、「さて、これは…」と脱力。 続きを読む

「行ってから踏ん張んべ」 (7)

渡米三ヶ月目、二月中旬。さすがにその時々行く場所を探すため、キョロキョロと左右を見回すことも少なくなる。移動の合間に運転免許の筆記試験の勉強を開始。

法律や決まり事の正式文書に使われる英語は基本的にややこしくて、今読んでもたまに「ん?これどっちだ?」とこんがらがります。 続きを読む

“I Have Nothing To Lose.”

先日、日常生活で使うイディオムをいくつか紹介しましたが、今回もよく使われるフレーズにまつわるストーリーを紹介します。

“I have nothing to lose.”はよく使われるフレーズで、そのまま、「失うものは何もない。」という 意味です。 続きを読む