フロリダで学生をしていらっしゃる「あみさん」からご質問をいただきました。
「将来的に就職するならインターンかCo-opを初めた方が良いと思っているのですが、現時点ではまだ専門分野の勉強が始まっていないので知識がありません。アメリカでは大体ジュニアからインターンをはじめると思うのですが、会社側はどの程度の知識をインターンに要求しているのでしょうか?」
すばらしい質問ですね。と言うか、今、日本から留学されている方たちも、インターンをしようと考えていらっしゃると思いますので、その方々を代表するようなご質問です。
では...
私が過去いた会社の話をさせてください。いろいろな考え方がありますので、一概に「こうだ」とは言えないことをご了承ください。
インターンを何人も面接しましたが、採用をする際にポイントになるのは、決して知識ではありません。
インターンに知識を期待している人は誰もいません。失礼な言い方ですが、所詮、彼らに知識を期待するのはかなり無理があります。
私は大学卒業以来、ずっと電子設計技術をやってきているのですが、思うに、大学生レベル、あるいは、大学卒業レベルの知識は全く使い物にならないのです。卒業して、入社したとたん、ほとんどの知識がリセットされました。
もちろん、物理とか、数学とか、非常に基本的な部分は、リセットされるとまずいですから(笑)、それはそのまま活き続けるんですけどね。
アメリカでも同じです。
新卒で採用されたエンジニアは、まず間違いなく知識がリセットされます。
先日、採用が決まったインターン君に対しても、採用後の研修は誰が面倒を見るのかで、ちょっとした議論になるくらいですから。彼ほどの知識があっても、一線で活躍するためには、はるかに多くの知識が必要になるのです。ですよね?
ですから、インターンには知識は九分九厘期待しません。期待する会社があったら、どんな考え方で採用しているのか見てみたいですよ(笑)。
では、インターンの採用のポイントはどこにあるのか。
やる気
ですね。仕事に対する意気込みが大切だと思います。ほとんどが会社に勤めたことのない人たちですから、どう働いたら良いのかが分からないはずなんですね。だから、初めて本当の仕事に接することによって、自分は何をしたいのか、何を見つけたいのか、それを今後どう活かしていくのかを示すことが重要だと思います。
キーワードは「Motivation」と「Challenge」の2つ。
面接時にこの2つをうまく表現できれば、私は必ず採用されると思いますね。
今、うちには3人、インターンがいます。2人はシニアの男で、大学ではElectrical Engineeringを学んでいます。そのうちの1人はハードウエアグループで手伝いをしています。もう1人は、どう言うわけかソフトウエアグループ。将来はハードウエア技術者になると言っています(???)。
3人のうちの1人は女性なのですが、彼は、ハードウエアグループで手伝いをしています。ところが彼女はComputer Scienceに席を置く、ジュニアの学生。将来はソフトウエアの仕事に就くとのこと。
これを見ても、インターンは大学の専攻に関係ない部署に配属されることが多いと言うことが分かると思います。
大切なのでもう一度言いますね。
インターンの採用/不採用は、「やる気」で決まります。
カテゴリー: アメリカ企業
インターンの採用基準は?
ファミリーデー
「ファミリーデー」と言われても何のことか分かる方はいませんよねぇ。
では、カンパニーピクニック。
分かりますか?
簡単に言えば、会社が従業員家族を招いて「ウィークデーの午後のひと時を楽しく過ごす」と言うイベントです。多分、よほどのことがない限りほとんどの会社が年に1度はやるイベントだと思います。
ビーチに行って浜辺でBBQパーティをしたり、会社の駐車場をつぶして、ちょっとしたゲームコーナーを作ったり。普通、費用は会社持ちです。そうじゃないと、誰も来ませんからね。
うちの場合は、毎年8月中旬の金曜日にファミリーデーがあります。去年は、何があったかなぁ...。子供たちを集めてのゲーム大会とか。新しいオフィスビルに引っ越してからの初めてのファミリーデーだったのであまり大したことはしませんでしたねぇ。ビール、ジュース、ハンバーガー、サラダ、くだものなど、食べ物は豊富です。ケーキももちろんあります。
会社が小さい場合には、ボーリング大会や、ボートをチャーターしての海釣り大会なんかをするところもあるようです。冬の場合には、スキーもありますね。場合によっちゃ、ラスベガスまで繰り出して、カジノ大会とか。イベントはさまざまです。
今年のうちのファミリーデーは去年とは違い、一大イベントがあります。
バンド演奏
実は、バンドを組んでいるKevinが我々には内緒で応募してました。サプラーィズ!
30分くらい時間がもらえるそうなので、5曲くらい出来るかな。他のメンバーは少しびびり気味。練習時間もそれほどないですからね。
Kevinと私はおおはしゃぎ。こみ上げてくるこのエキサイティングなものはなんだーってな感じ。
楽しみだなぁ...。
アメリカ企業で働くためのメジャー(専攻分野)
「美国より」のmisakiさんからコメントをいただいていましたので、もう少し詳しく話をしようと思います。
私の働いている会社は、通信系のICを開発販売しているのですが、周りの人間を見回してみると結構いろいろな大学から来ています。
ハードウエア技術者を見ると、大きく分けて2つの専攻分野から来ています。
1.Electrical Engineering
2.Computer Engineering
私の理解だと、1は大きな意味で2を含んでいます。多分、1を専攻していれば、ある程度2についても勉強できると思います。そう言うクラスが取れるはずです。
1は、電子工学から、電子回路、電気回路、通信、無線通信まであらゆるものを含んでいます。2は、基本的にはコンピュータのハードウエアについて学びますが、今の時代、どこにでもコンピュータが載っていますから、「コンピュータ」と言う狭い世界について学ぶのではないと思います。個人的には、今は、1、2と言うわけ方じゃうまくいかないんじゃないかと思いますが。
2は、おそらく、IC内の回路のデザインなど、かなり細かい部分まで学ぶはずです。Verilogなどのハードウエア記述言語を使ってFPGAの設計なども学ぶでしょう。でも、1でも学べると思いますね...。
ちなみに、上記の学士号を持っている人はBSEE(Bachelor of Science, Electrical Engineering)を、修士号を持っている人はMSEE(Master of Science, Electrical Engineering)とレジュメに書くのが普通です。
ソフトウエア技術者を見回すと、圧倒的に、Computer Scienceを出てきている人が多いですね。多分、九分九厘そうでしょう。Computer Engineeringと違って、コンピュータのソフトウエアのことについて学びます。日本語で言う「情報処理」はここに入ると思います。
マーケティングや、プログラム/プロジェクトマネージメントも、技術者出身の人が多いですね。大学や大学院を卒業した後、しばらくハードウエアエンジニアやソフトウエアエンジニアの仕事をして、その間に、夜間大学でMBAの勉強をし、MBAの学位を取得した後、マーケティング部署に移動するとか...結構います。
会社によっては、うちの会社のように、「マーケティングはMBA必須」と言うところも結構あるようです。
特許関係の部署にも、技術者上がりの人が多いです。大学を卒業して、技術者を続けながら、大学で特許・法律を学んで、学位を取得したら、特許部に移るとか。
その他、エンジニアリングの専攻分野として、機械工学(Mechanical Engineering)、環境工学(Environmental Engineering)とか、いろいろな分野があります。アメリカの大学のホームページをご覧になると、もっといろいろと載っていると思います。
インターンをインタビュー
少し前に、うちに来ているインターンの学生を正社員として採用するかどうかを判断するインタビューをしました。
実は、今、うちの部署は「ハイヤリングフリーズ」になっていて、これ以上社員を雇えないことになっています。「ハイヤリングフリーズ」 ”Hiring Freeze”とは、「採用を一時ストップ」することです。ハイヤリングフリーズする理由はいろいろあって、会社が傾いているとか、予算がないとか、ポジションがないとか、など。うちの場合には、ただ単に、前期に人を雇いすぎて、オーバーフローしているだけのようです。
ちょっと話がずれました。
このインターン君、去年の夏からうちで働いています。週3日、午前中のみ出社して、いろいろと我々を助けてくれます。超が付くほどのロボットオタクで、ロボットのハードウエアやソフトウエアを自分で設計して作ることが3度の飯よりも好きで、大学のプロジェクトでもリーダーをやっていますし、どこかのコンテストにもよく参加しているようです。彼のパソコンの壁紙はロボットです(爆笑)。
その彼、自分の就職先についても真面目に考えているようで、インターン中から、ディレクタやシニアマネージャ連中にアピールをしていました。このインタビューの話も、実はディレクターから降りてきたんです。「彼がうちに興味があると言っているから、オープニングはないけど、インタビューして、使えるかどうかを判断してくれ」と。
彼の技術レベルは、この6ヶ月間で大体分かっていたのですが、仕事に対する姿勢や目標などについて真面目に聞いたことはありませんでしたので、30分のインタビュー時間にはちょうど良い議論になりそうです。
会議室に入ると、彼は落ち着いた感じで椅子に座っていました。
私 “Hey xxx, what’s up?”
彼 “I’m doing OK. But a little nervous”
まぁ、これから数人とインタビューをするわけですから、緊張するもの当然でしょう。
でも...
彼がすごかったのは、彼のロボットをインタビューに持ち込んだところ。会議机の上に、デーンとロボットが乗っかっています。私も技術者の端くれですから、興味が無いわけはありません。
こちらのペースに持ち込むどころか、完全に向こうのペース。これぞ、インタビュー時の鉄則!
「相手をこちらのペースに持ち込め」
インタビューは彼のペースで進みます。
私 「ここはどうなってるのかなぁ」
彼 「そこは結構苦労したんですよね。だから、皆で手分けして進めたんです」
私 「それって、お前がリーダー役買ったわけ?」
彼 「ええ、もともとプロジェクトリーダーが僕なんで、コストからスケジュールまで全部管理しなきゃならないんですよね。競技会1週間前には作り上げて、後はデバッグですよ」
私 「ふーん、結構やってるじゃん。プレッシャーもあるでしょう。」
彼 「まぁ、競技会前はね。でも、好きでやってることだから。」
とまぁ、こんな感じで進みました。
このインタビューでも私の目的は、彼の仕事に対する意欲、姿勢、仕事の進め方などを見ること。
終始彼のペースで進んだインタビューでしたが、肝の部分はしっかりと押さえておきました。
私が下した判定は...
「合格!」
他のメンバーも彼のペースにはまったらしく、すべて「合格」。
これで、6月になったら、彼は我々のチームメンバーです。
Presentation
昨日、久しぶりに本社に出張しました。車で1時間15分ほど。距離にすると...120キロくらいですか...。
私、本社出張って結構好きなんですね。1時間ほど車の中で1人でいられるわけですよね。好きなロックを聞きながら、時には大声で歌いながら、ヘッドバンキングしながら(爆)。誰にも邪魔されずにいられる時間です。昨日は残念ながら30分ほど、電話会議に引っ張り出されましたが。
車の中の電話会議ってあまりやらない方がいいですよ、ほんと。イヤフォンマイクを使ってハンズフリーでやるわけですが、事故を起こす可能性が絶対に高いと思います。議論の内容によりますね。話がこじれると事故につながると思います。やめましょう...。
話がずれてしまいましたが、昨日の本社出張の目的は、他部署へのプレゼンテーション。簡単に言えば、情報交換みたいなもの。ようするに、我々が「デザインベフィリケーションテスティング(Design Verification Testing)」と称して何をやっているかを説くものです。
内容はさておき、会議室に入ると、聴衆は50名ほど。10~20人程度だと思っていたので少しびびりました(汗)。ま、学校と違って、そのプレゼンの合否が出るとか、成績がつくとか言うわけではありませんので、てきとーにやれば良いんですけどね。だから、気分的にも楽です(笑)。
気分的に楽だったので、プレゼン資料を作る以外は何もしませんでした。練習ゼロ。
実際にプレゼンしてみると、やはり練習が必要だと感じましたね。英語で考えながら英語で話していないんです。日本語で考えて、頭の中で英語に翻訳して、英語で話す。どうってことないように聞こえますが、これ、結構プレゼンテーション技術から見るとかなりマイナスだと思います。話すのに時間がかかっているはず。
Ah-とかHmm...とか、Wellとか、How you call it…とか、日本語で言う、えー、そのー、まーって感じの言葉が多いこと多いこと。説明の筋は通したと思いますが、観衆は少し疲れただろうと感じました。
やっぱ練習が必要ですよ、ほんと。どんな簡単な会議でも、プレゼンでも、少しは練習をしておく必要があると思いますね。少なくともどう言う流れで、どこを強調して、どこをさらっと流すとか。大枠で流れを決めておけば割とすんなりといくような気がします。それに、「練習している」と言う気持ちがあれば、気分的にさらに余裕が出来ますので、質問にも余裕で答えることが出来るでしょうし、リラックスできると思いますね。
とりあえず、昨日は、「特別ゲスト」でご招待されましたから、プレゼンの結果がどうであれ、割と皆さんから感謝されましたけど。
でも、少し恥ずかしかったかな。少しは練習をしておけばよかったと言う気持ちですね。
言い訳ですが(きっぱり!)、日本語でプレゼンをする場合、プレゼン資料を作りながら、説明の大体の流れを頭の中で組み立てて、どう言う言葉をつかって、どこを強調して、みたいなことを考えているんですね。だから、極端な話、時間をそれほど気にする必要がなければ、練習ゼロでもそれなりに出来てしまう場合が多いと思います。
でも...使う言葉が英語になるとそうも簡単にいきません。日本語で組み立てて、英語に翻訳して話していてはスピードが遅くなります。聴衆を飽きさせないためには、ポンポンとテンポ良くプレゼンする必要があると思いますね。
と言うことで、kinda disappointedなプレゼンでした。
次回はもっとがんばろっと...