そろそろホームシック

今年の夏に無事初渡米し、我が「Friends University」に通い出した可愛い可愛い生徒達。

中には二十代の生徒もいるが、ほとんどがまだ「今年高校卒業」の十代。

皆いくら想像をしていたとは言え、また当校の場合そのほとんとが英語に不自由のない生徒達とは言え、「初めて親元を離れる」「初海外」という慣れないことばかりの環境。

もちろん「当初の想像よりも断然激しい」宿題・課題の山に追われる毎日が急に始まる。これも(結果は別問題として)とにかく慣れていくことが重要。

そんな精神的に厳しくも楽しい、そして何より忙しい彼等の留学生活。

自分の居場所やらグループやらの「心のより所」を見つけれると、その紆余曲折の中にも「自分のペース」みたいな「慣れ」を実感できるようになる。

「全部が新鮮」「自分一人でやれている」「初めて友達との共同生活」「夜中の買い物」などなど、何か楽しいのもこの頃。

到着当初、夜中によく来ていた「タツヤ、ヘルプ」コール(またはフェースブックのメッセージ)は少しずつ減っていく。廊下で擦れ違っても新しく作った友達との会話に忙しく楽しそうにしている。

しかし、「いやぁ、めでたしめでたし」とうっかり安心していた矢先、突然来てしまった、「辛い」「帰りたい」コール。

しかも全然予想していなかった(超活発で完全に普通に溶け込んで見えた)3人から、ほぼ同時に。

留学を含む海外生活ではよく聞く話だが、これは意外と厄介で、以前自分も体験してるので(現在進行形だが)、かなり心配になる。

キャンパスには悩み相談を受け付けるカウンセリングの専門家が待機していて、しかも全然仕事の範囲外だが、とりあえず「俺で良かったら、話相手になるよ?」と伝える。

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一人目は、サッカーで来ているビジネス専攻の英国人生徒。

(比較的よくあるパターンだが)まず専攻の内容を好きになれない。課題に熱が入らず、成績が悪い。先週キャンパス内のバイトの面接に落ちた(ドイツ人留学生が雇われた)。今年サッカーでレギュラーが取れなかった。などなど。

キャンパス内のカフェにあるソファで、コーヒーを飲みながら約一時間ほど話相手になる。

色々と話してくれるので黙って聞いてると、「あ、そう言えば、ご両親て何してらっしゃるの」と切り出す。今まで聞いたことなかった英国にいる家族の話が溢れ出す。

正直興味深かったので、どんどん問い出すと「ほんとはもっと薔薇色な成功を思い描いていたのに、今の自分が両親に申し訳ない」という内容に展開。

「あ、俺もそれ分かるわ」と相槌を打つ。

サッカーの話は、「ま、スポーツだから、ある話よね」と流しつつ、「来年まだこの大学にいるなら、来年があるってば」と言うと、「大学の皆は優しいし、教授も物凄い良い人ばかりだから、是非戻って来たい」と言ってくれる。

「バイトは、次何か見つけたら採用担当者に電話しておくから」と言うと、「もうさっき別のに応募した」と言う。その場ですぐ担当者にメールと電話をすると、ちょっと嬉しそうに「ありがとう」と去って行く彼。

この会話の後、「クラスについては、ちょっとカウンセリング通したほうが良いかもね」と違うオフィスにいる同僚で親友であるアンドリアに回す。

当校だと、教授に相談すると簡単に色々対応してくれるもんだが、ま、そこは慣れない環境だしね、と「こちらで世話を焼きましょう」という展開。

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二人目は、やはりサッカーで来ているフィジカルトレーナー志望の英国人生徒。

専攻に問題はないが、こちらは「経済的に厳しい」「来学期、戻って来たいけど、戻って来れるか、分からない」という。

オフィスで、色々話を聞いてると「バイトがどうにかならないのか」と言う。

「留学生は基本的に週20時間までしか働けない」という話に追加で、「事情によっては、有料だけど労働申請が可能ではあるけど」との旨を伝える。

「将来も何をしたいのか分からない」と言う。

「やべぇ、人生相談は難しい」と正直に伝えるが、自身の経験談を交え、「てかさ、俺も大した人生歩んでないけど、二十代そこそこの時に描いてたやりたいことと、その後の展開、今やっていることとか、全然脈略がなさ過ぎて、俺もうすぐ40とかだけど、実はまだあんまよく分かっとらん」「計画通りに行ったことないから、計画立てるのやめた」と言うと、少し笑ってくれる。

一通りその時点で話せることを話し尽くすと、「とりあえずバイト探してみるわ」と言って少しスッキリした表情で部屋を出て行く。

その直後、彼が「見つけたんだけど」というバイト先には俺とアンドリアから電話が行くのであった。

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三人目は、チアリーダーで教育専攻の韓国人生徒。

「当初仲良かったルームメートが最近好きになれない」「自分の居場所を見失っている」と言う。

大学の全専攻で「一番忙しい」と言ってもおかしくない、教育専攻。とにかく課題の難易度や量の多さは半端ない中、成績優秀で、担当教授達から一目置かれる彼女。

チアリーダーもやり、常にアメリカ人に囲まれ楽しそうにしている様子しか目にしていなかったため、正直驚く。

ついでに「食事が辛い」と言う。

フェースブックのチャットで始まったこの会話。その後「じゃ、話すついでに韓国料理でも食べに行くか」という展開に。

車で迎えに行くと、乗り込みながら「後でチアの練習あるから、軽くしか食べれない」と言うが、(アメリカに同化されず主に英語が片言な韓国人が集まる)店内に入ると、嬉しそうに「アニョー」と店員のおばちゃん達と会話をしている。

店内で手作りのキムチを摘まむと、「うぉ~」と本当に嬉しそうな笑顔になる。

カクテキをコリコリと摘まみながら、「韓国人としての自己を最近見失ってる気がする」と言う彼女に、「俺も日本人だけど、日本に帰省するたびに『何か違うな』とか思うもんよ」と言いながら、韓国の海鮮チャンポンをフーフー食べる。

外国にいるアジア人同士。

お互いの話を少ししながら、尽きないアジアの話題と、簡単な韓国語講座、しょーもない日本語講座、ナムルのおかわり、お茶のおかわり…

「そろそろ戻らないとね」とお会計を済ましていると、「ルームメートにお土産」と韓国のポッキーをニコニコと大事そうに抱えてる彼女。

その後の夜中、爆睡して気付かなかったが、フェースブックに入っていたのは彼女からのメッセージ。

「何かニンニク臭い」「少しスッキリした」「また韓国料理食べに行こ」「ありがとね」という内容。

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今学期が初めての留学中の皆様。

ホームシックって、国籍とか言語とか年齢とか関係なく、本当にごくごく普通のこと。

必ずしも自分の中に溜めておくものではない気がしてます。

ちなみに何年経っても完全に振り切れることはなく、海外にいる限りは「うまく付き合っていく」しかないもんです。

秋学期の〆が目前に迫っている今こそ、周囲に愚痴こぼしたり、悩み相談をしたりするのは悪いことではないのかな、と思います(「自分で何とかせぇよ」て反応する人もいるかも知れませんが)。

あえて言葉として口から発すると、頭の中でモヤモヤしてるだけのものが結構まとまり、冷静に「自分の今」を理解できたりする側面もある気がします。

「辛い時は、辛いって言ったほうが良い気がする」と言ってあげたいし、「いやぁ今の悩みも辛いだろうけど、そんなに焦らなくても大丈夫だって」と伝えたいです。

人生、まだまだ先は長いですからね。

さて、今学期、当校は残り一ヶ月を切りました。

とりあえず風邪には気を付けたいところ。

みんなで踏ん張りましょう。
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Photo courtesy of Flickr.com
 

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6 comments on “そろそろホームシック”

  1. 素敵な仕事ですね。
    たつやさんの良いアニキっぷりが目に浮かびます。親にも友達にも先生にも言えないけど、たつやさんには話せること、たくさんあるんだろうなぁ。
    自分の学生時代を思い出しちゃいました。

  2. おじちゃん、いつでもみんなの味方だぜ、みたいな感じね。
    あんま詳細について言われると反応に困ってしまうことも多々あるけどね、みたいな。

  3. この前、フレンズ大学のダンス専攻について相談した者です。とても丁寧な対応にお人柄を感じて他の記事も読んでます。
    お父様の最期、涙涙で、いろんなこと考えさせてもらえました。
    この留学生のホームシックの記事もとても興味深いお話でした!
    今、娘は来年秋にカンザスのコミュニティカレッジ入学を目指し、そのさきは大学にトランスファーする方向で考えてます。
    コフィービルカレッジが編入率も高く良いのかなぁと話してますが、全然わからないです。もし何かアドバイスありましたら、教えてください。よろしくお願いします!

  4. のぶこさん、度々遊びにきていただいて、どうもありがとうございます。

    カンザス(他数州)のコミカレについてなら、現地に出向いたこともある学校が多いので、学校により印象程度になりますが、いつでも「どんなでしょう」て聞いてみてください。メールでの問い合わせも全然OKです。

    何卒どうぞよろしくお願いいたします。

  5. タツヤさん、さっそくのお返事ありがとうございます。
    メールでの問い合わせ…試みたのですが、どうやればいいかわからなくて(・・;)
    どこからメールできますか?

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