脳科学的に見たバイリンガル

みなさんこんにちわ、KAZでございます。

 

子供連れで渡米された方はよく分かると思うのですが、なんで子供はあんなに英語をマスターするスピードが速いのでしょうね?

確かに若いうちのほうが吸収力があるのはよく分かりますが、大人になって一生懸命勉強したものの、やはり完璧なネィティブレベルの英語をしゃべるのには無理があります。それはなぜでしょう?

今回はその事について脳科学的に勉強していきましょう。

バイリンガルと言われるのはご存知のとおり、2ヶ国語を喋れる人のことですが、
厳密には、外国語を母国語とほぼ同じように操れる人のことをいいます。

母国語は流暢に喋られるけれども、第二言語をはそれほど流暢に喋られない人の場合は、バイリンガルとはいわず、セミリンガルといいます。
しかしここではややこしくなるので、2つ合わせてバイリンガルという言葉を使わせて頂きます。

ネイティブと言われる程度の言語能力を身につけるには、臨界期(critical period)までにそれを行う必要があるといわれています。臨界期はだいたい12~13歳頃に訪れるそうです。

13歳までに英語を習得した人と、13歳以降になって習得した人の脳の中はどのような違いがあるのでしょう?
それは、「言語野」とよばれる言葉の機能を司る部分に大きな違いがあるようです。

脳の言語中枢には「話すこと」に関係のあるブローカ野、「話し言葉を理解すること」に関係のあるウェルニッケ野などがあります。他にも関係のある部分はいくつかあり、これらが互いにネットワークをつくることで高度な言語活動を行うと考えられています。

特にウェルニッケ野は1ヶ所で全ての言語をつかさどるのでなく、言語ごとに中枢が分かれています。ただ、外国語を習得し始めた頃は母国語と同じ言語中枢が働くため、これが外国語を流暢に話せない原因になります。

バイリンガルの脳機能を調べるために、過去にこんな実験が行われました。

英語を母国語とし、年齢や教育水準の近い人を対象とし、このうち英語のみを話すグループ、5歳になる前に2カ国語目を習得した「早期バイリンガル」のグループ、それ以降の時期に外国語を習得したグループに分けました。MRIによる画像によると、早期バイリンガルのグループでは、左側の大脳皮質にある「言語野」の部分が大きく発達していることが分かりました。
しかも、「早期バイリンガル」の脳では、2つの言語に対して別々の言語中枢が活発になるのに対し、遅くに外国語を習得したヒトの脳では、一カ所しか活発に働かなかったそうです。

すなわち、まだ脳が柔軟なうちに他言語を習得しておけば、2つの言語を別のものとして明確に区別することができるため、相手の話す言語にあわせてスイッチを切り替えることで自在に2種類以上の言語を操れるということのようです。

逆に、遅くに外国語を習得したひとは脳の柔軟性がないため、いつまでたっても2つの言語を同じ場所で処理してしまい、それぞれの言葉をごちゃ混ぜにしてしまうことによって言葉の切り替えが難しくなるようです。

うーむ、今更そんなこと言われても・・・て感じですよね。

 

しかし最後に、バイリンガルの人にとって朗報です。

バイリンガルの人って、アルツハイマー病を含む認知症に罹る確率が低いんだそうですよ。

しかも、より多くの言語を喋れる人ほど、よりアルツハイマーになる確立が低くなるんですって。

その理由は、2つ以上の言葉をを話すことによって言語中枢がより広範囲で働くため、脳の中で神経細胞同士が新しいコネクションを作ることにより脳が活性化されるんですって。

いやぁー 脳って本当に素晴らしいですね。

それではまた再来週お会いしましょう。

さよならさよなら。
 

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5 comments on “脳科学的に見たバイリンガル”

  1. この写真で〆るか~そうか~そうなのか~…
    やっぱり日本であまり小学校過ごさなかった帰国子女の友達とか、中学で帰ってきた友達とか、日本語が少し変だったものね。

    世代によって「一般的」言われる語彙が違うとか、色々な要素があるんだろうけど、これを読むと、結局重要なのは「小学校」または「中学入りたて」か、とか。

    どう考えても「英語→日本語」のほうが難しいと思うんだが(特に読み書き)、最近歳のせいか「日本語をちゃんとやらんといかんな」とつくづく思うわ。

    セミリンガル未満のアラフォー、がんばるぞ。えいえいおぅ。

  2. 臨海期、なるほどーですね。
    同じ場所で言語がごちゃまぜ、っていうのに、大きくうなづいてしまいました。
    そう言えば、13歳頃から、学校の勉強内容も雰囲気(ザックリしててすみません^^;)が変化する気がします。
    息子はちょうど13歳なのですが、器用にスイッチを使い分けてる、しかも、無意識になんだろうなあ・・・、てな印象を最近特に受けます。
    うらやましいですねえ。
    ですが、コチラはすでに、いいオトナ(笑)それなりにでも頑張るしかありませんね。あはは….

  3. いわゆる「ルー語」を話すのは大人になってから渡米した人のほうが多いのもこの理論で説明できますね。子供のころからいたバイリンガルはパチッとスイッチが切り替わったように日本語なら日本語、英語なら英語しか話さないですよね。
    ほんとウチの娘を見てると思います。私が40年近く勉強してもできないことを生後数年でできるようになるってどういうこと!!しょっちゅう発音も直されますし(涙)

  4. 「話すこと」と「話し言葉を理解すること」って脳みそのなかで別々の場所で行われているんですね!!!移民二世の友達(母国語が英語)が、両親が話す中国語は聞いて理解は出来るけど自分では話せないと言っていた理由が今わかりました。なるほどね~為になるわ~。

  5. 遅く第二言語を勉強し始めたら、脳のスイッチが切り替わらないかもしれないけれど、いつまで経っても必死で外国語を話すから、まぁ、脳の刺激にはなっていいかもね。

    Tamiさん、英語の発音ダメだしされるんですか!?それはつらいな~。
    あ、でも、私は四歳の娘が変な日本語話していると、「そんな日本語ないよ」とずばっと言います。私のほうがきついね。

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