アメリカにおけるマリファナ事情

 

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。はるなです。
アメリカでは年明け早々議会襲撃のニュースと、なかなか波乱に満ちたスタートとなってしまいました。前向きな話題が今後増えていくとよいのですが。

さて、去年は個人にとっても世界にとって異常な一年でしたが、アメリカにおける大麻ビジネスにとっても特筆すべき一年だったようです。という訳で、今日は大麻についてのお話をしようと思います。こちらの記事によると、2020年の売り上げは軒並み好調だったようで、その理由としては ①コロナ禍における屋内でのストレス解消や娯楽の一環として消費が伸びた ②嗜好品としての大麻を合法とみなす州が増えたことがあるようです。昨年の感謝祭週末には、国内の大麻販売額が過去最高水準を記録したとのこと。

コロナとの関連で言うと、サンフランシスコでは、大麻を扱うお店が「essential(不可欠な)」ビジネスだという指定を受け、早い段階で営業を再開させるなどの動きもありました。嗜好用というより医療の観点からのニーズを念頭に置いたものだとしても、いかに大麻が社会で受容されているかを示す好例かと思います。

大麻がタブー扱いされている日本から見ると「こんなにも違うのか」と不思議な気持ちになりますが、ギャロップ社の調査では、68%のアメリカ人が合法化に賛成しているそうです。ちなみに、アメリカ国内において嗜好用の大麻が合法のエリア(15州+コロンビア特別区)に住んでいる人は、現在1億人を超えます。過半数ではないとはいえ、かなりインパクトのある数字ですね。

私の住んでいるワシントン州は全米の中でもいち早く嗜好用の大麻にゴーサインが出たことで知られていますが、試しにGoogleマップで“Cannabis Store(大麻のお店)”を検索すると、お店の場所を示すピンが幾つも立ちました。家から徒歩3分の場所に1軒、1km圏内には3軒もあり、ダウンタウンとはいえ、なかなかの密集ぶりです。

近所のお店のオンラインショップをのぞいてみると、まず年齢確認のページに誘導されます。「21歳以上ですか?」という質問に“Yes”と答えると、錠剤、チョコレート、クッキー、グミ、飲み物、オイルなど、いろいろな種類の大麻関連の商品を見ることが出来ます。なかには洗練されたパッケージの洒落た商品もあり、なんというか、ぱっと見ではDean & Delucaあたりにも置けそうです(置けないですが)。

各商品には「THC」(いわゆる「ハイ」な状態につながる、高揚感を出す成分)、「CBD」(医療効果があるとされる成分)の含有量が示されており、THC/CBDの高いものほどお値段も上がります。THCが10mgと少量のものは、例えばチョコレートでは5ドル程度で入手可能です。妥当な値段なのかはよく分かりませんが、同じく嗜好品とされる煙草やお酒などと比較すると、そんなに高いものではないのかな?といったところでしょうか。

 


【近所のアウトドア衣料販売店に(なぜか)置いていた、マリファナの料理本】

映画やドラマの影響からか、「マリファナ=ヒッピーたちが吸っていた、退廃的・逸脱的なもの」というイメージだったのですが、お店で普通に買えるようになった今、「パリッとしたビジネスマンが晩酌の感覚で嗜む」という情景でもおかしくなさそうです。アメリカにおける大麻の歴史や現状について取材や調査をもとに詳述した「真面目にマリファナの話をしよう」(佐久間裕美子著、2019年、文藝春秋)にも、大麻とは縁が無かった層にも新たにリーチしようとする企業の動きなんかも書かれていて興味深いです。

今後はどうなっていくのでしょうか。

かつては大麻を「ゲートウェイドラッグ(より依存性・有害性の高い薬物に手を出す前の入り口となる薬物)」と見る向きが強かったようですが、州政府が大麻を合法化・課税することで得る税収を薬物対策にも充てていることなどから、「危険な薬物とは一線を画するもの」という考えが広がっていると言えます。今でも連邦法下では大麻は「アウト」ですが(州と連邦のスタンスの違いがアメリカらしいですね)、次期民主党政権は公約の中で大麻容認に踏み切る方針を見せており、ますます大麻には追い風が吹きそうな見通しです。

ちなみに、日本人が海外で大麻を使用するのは、たとえ合法の土地における行為でも駄目なよう。なので体験記は書けませんが、アメリカの動向が日本の政策にどう影響を及ぼすのか(あるいは及ぼさないのか)も含めて、日米両国の展開に注視していきたいですね。 

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